特別支給の老齢厚生年金決定取消

最高裁 判決を読み解く!

平成29年4月21日 午後1時30分 平成28年(行ヒ)
第14号
特別支給の老齢厚生年金決定取消 判決 第二小法廷

傍聴に行ってきたところ、判決文だけ読み上げ、1分で終わり。結局なんの裁判だったのか?を読んでいこう!
・・・合ってるのか???

1、事実関係を整理

裁判例検索より→http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/709/086709_hanrei.pdf

9/16生まれの父ちゃん(仮名)は、特別支給の厚生年金が支給停止になっていた。
父ちゃんは、65歳になる前月、8/30に会社を退職した。

今回の最高裁では、9月分だけ特別支給の厚生年金はもらえるって第1審では判決が出たのに、高等裁判所では、それはもらえないって判決。どっちが正しいのかを最高裁が判断した。

結果、9月分はもらえません、第1審の判決は誤りという判決。

最初の年金の受給権が発生するのは、退職月の翌月がスタンダード(退職時改定。本ケースは旧法の退職日の翌日の翌月)。だけど、65歳改定の方が優先されちゃうの。
父ちゃんは、8/30に会社を辞めたから、9月分から年金が出ると思っていたのかもしれない。
でも、9月に誕生日で65歳になるから、65歳改定を優先されちゃって、10月分から年金が出る。
9月分の年金がもらえないってなんで?不公平じゃないか、こんなのおかしい!というのが裁判の始まりだったのかもしれない。

妄想だけど。

2、退職時改定とは?

年金をいくらもらるかの計算は、ある時点ごとに計算されるみたい。年齢による計算と、65歳未満で退職した時に計算することもたまにあるらしい。この、退職時に特別支給の厚生年金を計算することを、「退職時改定」っていうみたい。
私は社会保険労務士じゃないから、詳しくは分からないんだけど。

・退職時改定 27.10 法律改正

27.10.1から、「改定の起算日」という、年金支給に関する大事な基準の日をいつにするかが変わったんだって。

27.9.30までは、「退職日の翌日が起算日」だったので、例えば8/31に辞めた人は8/31が退職日となり、翌日の9/1が起算日で翌月の10月分から年金がもらえる。

一方、8/30に辞めた人は8/30が退職日となり、翌月の8/31が起算日で翌月の9月分から年金がもらえる。
一日早くやめることで、1ヵ月早く年金がもらえて助かるね。1カ月分の社会保険料は自分持ちだけどね。

なんか不公平じゃない?一般的に月末に退職する人と、月末の前日に退職する人とで年金をもらえる月が1ヵ月ずれちゃうのって、国民の理解が得られなくない?ということだったのか、公務員の共済年金との一元化の関係からか27.10.1から改正があって、

27.10.1からは「退職日が起算日」に変えた。だから例えば8/30に退職しても8/31に退職しても、翌月の9月分から厚生年金計算を再計算し、厚生年金がもらえるようになったんだよ。メデタシメデタシ。

3、65歳改定とは

65歳になったとき、年金をいくらもらえるかの計算をするらしいよ。基礎部分の年金がもらえるようになったり、特別支給(2階建ての部分)の年金の再計算をしたり、大きな節目だよね。

特別支給をもらっていても、もらっていなくても、65歳になったら、受給手続きをしないともらえないからね!

4、退職時改定と65歳改定と、どっちが偉いか

退職時改定と65歳改定とがバッティングした場合、65歳改定が優先されるんだって。退職時改定は、65歳未満が条件だから。

だけど、辞めた時は64歳であっても、「退職日の翌月の末日」までに65歳になっちゃったから、65歳改定なんだって。

5、特別支給の厚生年金とは

特別支給の厚生年金て、60歳~64歳までにもらえる厚生年金部分のこと。特別支給の厚生年金をもらえる始まる年齢は、段階的に引き上げられている。

もともと、年金って60歳からもらえてたんだって。だけど、日本の財政がひっ迫して来て、年金をもらえる年齢を65歳に引き上げたんだよね。国は、会社に定年の年齢も引き上げて!ってお願いしたらしい。

だけど、いきなり受給年齢を引き上げちゃうと、会社も65歳定年の準備が出来てないし、みんな困るから、厚生年金部分は本当は65歳から支給だけど60歳から「特別に」支給しよう、というのが、特別支給の厚生年金という名前の由来らしい(激変緩和措置ということはこれのこと)。65歳になると、「本来の」厚生年金が支給される、という仕組み。

これにより、雇用保険の助成金など制度は複雑に複雑になっている。64歳付近で色々しちゃうと、法律の抜け穴で、不思議なことが起こるんだよね。きちんと制度化するべきだよね。

6、支給停止とは

年金は、年とって働けないから制度で助けましょう、今まで国を支えてくれたんだから!みたいな意味でしょう。だから、年とっても働ける人は、年金は支給しなくていいよねって考え方。積立預金と違うんだ、という考えだね。

それで、64歳までは月額28万円(給与と特別支給の厚生年金の合計)、65歳以上は月額46万円(給与と厚生年金の合計)以上だと、年金が段階的に給付がストップしちゃうんだよ。

支給停止の金額である、28万円・46万円には、基礎年金(繰り上げ支給も含める)や加給年金は含まないよ。

7、年金のことは社労士に聞こう

はぁ。年金て複雑すぎて難しいね。細かい点が間違ってそうだし、特に64歳近辺の方は社労士に聞いてみてね。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。