29.11.18 池袋にて、15人ほどが集まり税理士制度についてあーだこーだ話してきたよ。ワークショップ。研修だね。
前回に引き続き。
税理士って誰から何を期待されているのか、を改めて考えさせられた勉強会だった。税理士のしごとって、なんでしょうね。
1、私の目指す税理士像は
私にとって税理士は、納税者が頑張ってるの知ってる人。納税者がツライの知ってる人。でありたいなぁ。
納税者の財産を全て把握しなければ納税申告書が作成できない場合が多い税理士は、職制上の縛りが多い反面、税理士にしかできないこともあるよね。
法人顧問であっても、社長の家庭事情のすべてを知らないと、つじつまの合わないお金が出てくる。
記帳代行、法人税申告、所得税申告、相続税申告は、納税者の全て・・とは言わないけどある程度の環境と納税者の考え方、求めている未来を漠然とでも知らないと、適正な申告ができない。・・・と私は思うんだよね。そういう事務所にいたことがあるから。
今では、流行おくれなのかもね。面談して、最近はどうだったとか家族がどうのとか、仕事の不安や愚痴でもこぼしてくれれば、いいなぁ、とか思う。事業主って孤独だし。誰かに話せば自分の中で整理がつくことってあると思って。
・・・今のところ、ニーズが少なく仕事がないけど・・・うっ(自爆)
2、国民が求める税理士像は
議論メンバーの中には、「税理士は課税庁の下請けではない、納税者の権利を守り納税義務の履行に協力する姿が国民から求められているのではないか」という意見があり。
実際のところ、国民から税理士に対して何が求められているのか、私にもよく分からない。
税理士になったと同級生に言ったときには、
「おめでとう!どこの税務署で働くの?」
「依頼すると税金がいくら安くなるの」
「申告書作ってよ、え?お金取るの?」
というご祝辞が寄せられ。
サラリーマンや個人事業主には、税理士という存在はあんまり好感されている感じがしなかったりする・・・。
「税理士?金持ちのために働く人だよね?なんなの」みたいな本音ポロリを聞くこともあって、現実はこんなもん。
でも、事業主だけのために税理士が存在する訳ではないと私は思うのです!
3、税務署が求める税理士像は
「e-taxよろしくね。全国平均より低いよ」
「ダイレクト納付のススメよろしくね」
「軽減税率制度の定着よろしくね」
「33条書面添付やれば?」
「マイナンバーよろしくね」
「確定申告書は送付をやめるから税理士から納税者に言っといて」
「無料相談会を開催するので個人の電子申告環境整備をよろしくね」
「税務調査の調整をよろしくね。なお納税者には税理士が仲裁よろしくね」
納税事務には極力協力しないと、行政コストがかかっちゃうから私も出来ることはやらないとね。けど、なんでも押し付けられてもね・・・。
4、税金はフェアに
私も国民も税務署も、誰もが税理士に期待するところは、「ちゃんとみんなの税金計算をフェアにやってほしい」ってことね。
すべての税理士は、脱税志向の考え方に厳しいので、それは大丈夫よ。
5、税理士試験制度
税金をフェアにすべきだ、というDNAは、どこで身に着けたんだろう。本会の講義の中で講師は「税理士は税法にドップリ浸かることで税に対するモラルを学ぶ」というような内容を言っていた気がする。
そうかもしれない。
実務経験を積んでいる過程でも、所長が顧問先に対して「そういう考えは危険です!社長がそれを通すのなら、顧問を降ります!」という会話を数回聞いたことがあり。ちょっと所長の過剰な反応だなぁと思ったこともあったけど、あれは税理士としてのDNAがそういう反射をしたんだろう。納税者に対する租税教育だったのかもしれない。
税法の受験勉強と、実務経験を重ねることで基本的な税理士の在り方を植え付けられていったのかもしれない。
そうだとすると、税理士試験制度には意味があるし、実務経験も必要だよね。
暗記一辺倒と批判されることもある税法の試験だけど、私は法律の試験だから暗記は当然だと教わり、疑問もなく暗記した。税法の暗記には随分助けられたけど、結構忘れてきていて・・・。合格したからといってアグラをかいてはならぬ。
実務応用能力が不足すると言われる税理士試験だけども、税理士登録には実務経験が必要なのでそちらでカバーできるようになっている・・・・はず。後は自分の努力次第。
実務経験には、一般企業での決算業務経験を組み込んでいるのは好ましくない。会計事務所・税理士法人などで税理士が顧客に怒られている姿を見ずに税理士登録して独立できてしまっていいのか。OB・会計士・弁護士が実務経験ゼロで税理士登録してしまえることも、イマイチね。現場のリスクを体感すべきよ。
税理士業界全体のレベルがどうのってことじゃなくて、登録した税理士を守るって考えに近い。
6、理想の税理士像は
理想の税理士像は、税理士と国民と税務署と、みんなで考えてもらえるといいよね。時代によっても期待されるものは変わってくるし。
きっと、いつまでも理想を追って、コレだというものを模索していくのが税理士側が考える「理想の税理士像」なのかもしれないなぁ。
つまり、理想の税理士像は、存在しない。が結論となりました。国会の4つ目の台座みたい。きれいにまとまった!拍手~♪