税理士法1条の解釈

29.11.18 池袋にて、15人ほどが集まり税理士制度についてあーだこーだ話してきたよ。ワークショップ。研修ね。

税理士法1条は、改正案が廃案になったり、プランを提示したり、色々考えられてきているみたい。

・税理士法1条

(税理士の使命)
第一条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

切り取ってひとつひとつ、勝手に考えてみたよ。

・「税務に関する」

「税務に関する」だから、税務以外の経営や暮らしなどお金に関することの専門家という意味も含んでいると勝手に解釈した。

・「独立した公正な立場」

「独立した公正な立場」これは、課税庁・納税者のどちらの味方でもない、という意味と解釈されているらしい。なるほど。提携している不動産会社にひいきして、納税者の利益を考えずに不動産売買を勧めてはならぬ、のような意味と思っていた。浅かったね!

・「申告納税制度の理念」

「申告納税制度の理念にそって」とは書いてあるものの、つまりは納税者が自分の意思を持って、という意味だからこれをもって年末調整がケシカランということはないんじゃないか、と勝手に解釈した。

・「納税義務者の信頼」

「納税義務者の信頼にこたえ」この、納税義務者、という文言はどうやら課税庁の要請で入れたとの噂が。
消費税や源泉所得税のように、税の負担者が納税義務者ではない場合もあるけど、ゼロ円の納税義務がある、とも解せるので私は文句ありません。

・「租税に関する法令」

「租税に関する法令に規定された納税義務」これについては租税法律主義を言っているんだと解釈できると思う。法令に規定されてなければ納税義務が生じない、という考え方。
私は、通達や判例ではなくて、実態で考えるのがよいんじゃないと思っている。法令だけだといびつなこともあるし。・・・そう考えると、法令に規定された、という文言には疑問なんだろうか。うーむ。自分が分からない。

・「納税義務の適正な実現」

「納税義務の適正な実現」これが税理士に求められる基本中の基本。

・税理士法改正案があった

ところで、平成5年東京税理士会では、「税理士法改正要綱」というものを作ったらしく、そこには、
「税理士は申告納税制度の理念にそって、納税者の権利利益を擁護するとともに、租税制度の改善に努力しなければならない」
と入れたかったみたい。

納税者の権利利益を強調されていたけど、私は租税制度の改善に努力、という所がいいなぁと思うな。

現行の税理士法1条だと、「とにかく、決められたとおりにやればヨイ」みたいに読めて、ちょっとつまんない。

国税庁ホームページが無かった頃、税務情報の頼りは税理士だけだったよね。もうすぐ、ありがたいことに国税庁AIが税法辞書をやってくれるようになる。取引についての税務の取扱いは、国税庁AIが判断してくれるので、それを指標に有利な税務判断をすることができる。
事前に課税庁の判断をカンニングできるじゃん!(甘い?)

有利規定には、細かい適用除外要件があったりして罠が多い・・・。納税者・税理士の税務リスクが多くて、保守的な申告になってしまいがちじゃない?
国税庁AI、絶賛お待ちしております。

もう、インターネットで調べられるから、「決められたとおりにやればヨイ」だけでは納税者のニーズが満たされないんじゃない。

せっかく納税者との距離が近い国家資格なのだから、税理士が納税者とのやり取りから導き出す、あるべき税制を考えることも納税者の権利擁護になるんじゃないか、と思ってる!ヒマもあるし!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。