2019.6. 小田急線で男子大学生がトークしていた。
見てよ、このマスコット。ダサくね?
彼は、友達に自分のカバンにつけているマスコットを見せる。
8センチほどの小さいお人形。スポーツ関連のキャラクターのようだ。
彼は、続ける。
これさ。家族でテレビ見てたとき、親父に聞かれたから、「このキャラクターは知ってるよ」と言ったんだよ。そしたら、俺がそのキャラクターのファンだと思い込んだらしくてさ。違うのにさー!
ワハハ、と友達が笑ったので、ちょいダサいキャラクターなんだろう。彼は続ける。
しばらくしたら、俺の親父さ、このマスコット買ってきた訳。聞いたら、会社の2つ先の駅のドンキホーテまでわざわざ買いに行ったらしい。マジかよと思ってさ!
だから、俺、いらないって言ったんだよ。そしたら親父は悲しい顔をして、マスコットはずっとそこに置きっぱにされてさ。悪いけどスルーだよね。
でさ、先週、試合だったじゃん?そんとき、カバンを置いといたら、いつの間にか親父が俺のカバンにこのマスコット付けてたんだよ!勝手にさぁ。
ま、外すのも面倒だから、そのままなんだよ。
…
男子大学生にもメンツがあり、部活のスポーツ関連キャラクターのダサいマスコットをカバンにつけている理由を伝えておきたかったんだろうね。
仲間から、あいつ、センスねーなとか、陰で言われるもんね。
この子、親父が会社の2つ先の駅のドンキホーテに行ったことを覚えていたり、しばらく置きっぱのマスコットを気にしてたり、優しいよね。
結局、仲間からの評価を意識しつつ、親父からの気持ちを尊重したんだ。
いいやつだな。