2020.12.2 政府税制調査会2020年11月13日。記帳についての議論がありました。
先に言っておくと、白色申告者だからといって、直ちに税務調査が行われ、70%の人が追徴される、という訳ではありません。きちんとやっていれば青色でも白色でも大丈夫です。
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政府税調2020.11.13の納税環境整備の議論の資料内に、「記帳水準の現状」の報告がありました。
記帳水準は低いが、適正な記帳や申告に対する意識はあるといった方々については、税務調査に要する時間、労力がかかるものですから、こういった方々に対して、手軽に記帳できるような形でいかに記帳していただけるか誘導していくことが課題になると思います。
一方、記帳水準が低く、また、適正な記帳や申告に対する意識もないといった方々については、当然ながら税務調査も困難になりますし、さらには帳簿書類の破棄みたいなものと、不作成、不保存等の区別も困難で、いわゆるペナルティーとしての重加算税を賦課することもできない。
そういう事例もある中で、こういったことへの対応を検討していく必要があるといった御紹介をさせていただきました。
その中には、
白色申告の税務調査では、70%以上が記帳不備を指摘された、といった数字が。
委員は、「白色70%が記帳不備ならば、白色申告そのものを廃止すべきでは」の意見が出た。
あのですね。
納税者が白色申告を選んでいる訳ではなく、青色か、青色申告以外という分け方をしています。「青色申告以外」を「白色申告」と俗称しています。
委員のご意見、白色申告を廃止という意見は違和感があるけど、そのご発言の趣旨(みんな記帳しなさい。記帳しない人は損するようにする)はいいと思います。それは、現行制度である程度はかなえている。申告納税制度なので、締め付けありきなのは良くない・・・・と現場の税理士は思います。
青色申告者に税務調査が行われる場合には、記帳に基づいて調査をします。更正処分は、帳簿書類に基づかなければ行えないのです(例外はある)。(所得税法155条。試験勉強で暗記した)
けど、白色申告者は、帳簿に基づかないで税務否認できます。その場合、理由は「記帳不備」が簡単なのでは。
政府税調の資料にはウソを書いていない。
委員の読み込み方が足りないといえばそれまでだけど、実務家ではない委員にそこまで求めてもね、と思います。
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そこで、私は言いたい!
白色申告だからといって記帳不備なのではなくて、白色申告者への税務調査を行った際、申告漏れを指摘して追徴するケースが70%台である、というだけの話。(ある程度の怪しさがあり、追徴が見込めるから税務調査も行われているのでは。)
まるで、白色申告者の70%以上が記帳をサボり追徴される、というミスリードを招かないよう、私は注意喚起します。
数字・エビデンスのひとり歩き。
こうやって都合の良いように利用されることがある。