消費税法の「事業者」とは ~副業の消費税はかかるか~

2022.8.27 副業収入って、消費税がかかるのかしら?結論:ケースバイケース。

所得税と消費税では、「事業」や「事業者」の考え方が違うのだけど、今日は消費税に重きを置いて考えてみたいと思います。

消費税の課税の対象は、消費税法第四条と定義八によると、 1,国内において2,事業者が3,対価を得て行つた4,資産の譲渡等に、消費税を課されます。

1,会社員の不動産貸付け

会社員が賃貸用不動産を持っていて、店舗や事務所として貸す場合、消費税の課税対象です。

タックスアンサー

国税庁のタックスアンサーにも記載がありました。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6109_qa.htm#q1

事業者が「事業として」行うものとは

Q

給与所得者が副業として行っている店舗の貸付けは、課税の対象となりますか。

A

消費税は、国内において事業者が「事業」として対価を得て行われる取引を課税の対象としていますが、この場合の「事業」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続かつ独立して行われることをいい、その規模は問いません。
したがって、店舗の賃貸は「事業」に該当しますから、消費税の課税対象となります。

(消法2、4、消基通5-1-1)

不動産は資産の貸付けだから分かりやすいかも。

タックスアンサーの根拠をみてみましょう。

消費税法
(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 国内 この法律の施行地をいう。
二 保税地域 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。
三 個人事業者 事業を行う個人をいう。
四 事業者 個人事業者及び法人をいう。
(中略)
八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。
(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
通達

通達を見てみます。消費税の判断のよりどころとして私は通達、大事だと考えています。

(事業としての意義)

5-1-1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。(平23課消1-35により改正)

(注)

1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。

2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

 

2,副業の消費税は?

不動産貸付以外の副業は、「事業として」になるかどうか?考えてみました。

私の私見にすぎず、実際の判断はケースバイケースですので!!とおことわりしておきます。

事例1 ママ友のベビーシッター

・ママ友が濃厚接触者になり、お子さんを3日預かり、2万円もらった →

継続取引がないから消費税ナシ。

所得税は雑所得、20万円以下申告不要の適用あり得る。

事例2 会社員のカーシェア

・平日は仕事なので、自家用車をカーシェアサイトに登録し、週に3日ほどのレンタルがある →

資産の「貸付け」で、反復継続独立しているため、消費税の対象。(自家用車を「売却」の場合は消費税なし)

所得税は雑所得、20万円以下申告不要の適用ありえる。

事例3 会社員の講師業務

・会社員の副業としてWEBサイト登録し、週に2~3回、ZOOMでセミナー講師や家庭教師をしている →

反復継続独立しているため、消費税の対象。継続して課税売上げ1000万円以下である場合、規模によってはインボイス登録せずに消費税をオンしない選択肢が良さそう。

所得税は雑所得、20万円以下申告不要の適用ありえる。

事例4 週末に配送業務の副業

・平日は会社員。土日祝日のうち数日、配送のバイトで毎月4万円程度の収入あり →

雇用契約なら消費税ナシ。

業務委託契約なら消費税あり。継続して課税売上1000万円以下ならインボイス登録せずに消費税ナシにするか、あえてインボイス登録して消費税10%オンして簡易課税で益税狙う(税務申告と納税が必要なので、免税をインボイス登録しない人が多数派と想像。)か、どっちか。

所得税は雑所得、20万円以下申告不要の適用あり得る。なお、事業所得は不可能かと。

事例5 ブログ収入

・会社員。2年前に作って放っておいたブログの広告収入が年間300万円あった(夢あるな~) →

国内取引ならば消費税アリ(YouTubeなどグーグル関連は国外取引のケースあり。詳しくは調べてみて。)。継続して課税売上げ1000万円以下ならインボイス登録せずに消費税ナシがよさそう。

所得税は雑所得が妥当(本業が会社員で広告収入の役務提供がないから家事費計上は不可能)。

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税務って、個別事由で判断されるので、汎用性のある答えがないのです。分かりにくいですよね~。

判断材料のご参考になれば幸いです(*’▽’)

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。