2025.12.22 令和7年12月19日、自民党の令和8年の税制改正大綱が出ました!閣議決定は12月下旬予定。法律になるのは年明けです。
具体的内容を読みます。 一 個人所得課税から!6000字もの長さになってしまいました!
自民党HPより→https://www.jimin.jp/news/policy/212129.html
与党税制大綱 令和8年度 32頁から64頁まで。
一 個人所得課税
1、物価上昇局面における基礎控除等
(1)基礎控除 令8~
所得税の基礎控除(合計所得金額2350万円以下)を4万円引き上げる。(基本部分)
※令和7年以後は、基礎控除の上乗せ特例分があります!金額は色々・・・・。
合計所得金額2350万円以下の所得税の基礎控除は令和8年分以後は、62万円(基本部分)。
2350万円超で逓減、2500万円超で基礎控除ゼロ。
年金受給者は、年金機構等の支払者が還付等をするための措置を講ずる。
(4)基礎控除の上乗せ特例 令7~
令和7年以後、所得税の基礎控除の上乗せ特例があり。
住民税は基礎控除の特例分無し。いちいち表を見ないと分からない魔改造!
(2)給与所得控除 令8~
令和8年分から給与所得控除の最低保証額を69万円に引き上げ。住民税も同様。
※令和8年・令和9年は、さらに最低保証額の5万円の上乗せ特例があり!
源泉徴収税額の改正は令和9年1月から。令和8年分は年末調整で反映。
(5)給与所得控除の最低保証額の上乗せ特例
令和8年・令和9年は、給与所得控除の最低保証額を5万円引き上げる特例を創設する。住民税も同様。
(3)控除対象扶養親族など 令8~
令和8年以後の所得税について、控除対象扶養親族などの合計所得金額要件も、基礎控除(基本部分)が4万円上がったので、同様に4万円引き上がります。
配偶者控除、扶養控除、ひとり親控除の子に該当するかどうかの判定となる、配偶者など家族の合計所得金額を62万円に引き上げ。(現行は58万円以下)住民税も同様。
勤労学生の合計所得金額要件を89万円以下(現行は58万円+27万円=85万円以下)に引き上げ。住民税も同様。
家内労働者等の事業所得等の特例計算の最低保証額を69万円(現行は65万円)に引き上げ。(住民税に記載なし)
2 住宅土地税制 P34
(1)住宅ローン控除
適用期限などの改正があり。令和12年末まで5年延長。最長で13年間適用有。
令和8年1月以後、新築の自宅が災害危険区域等内にある場合は、適用外あり。注意が必要!
P46 住民税
令和8年から令和12年の間に居住した者の住宅ローン控除が所得税で控除しきれなかった残額は、翌年度分の個人住民税から、所得税の課税総所得金額の5%(上限9.75万円)を減額する。個人住民税の減収額は国費で補填する。
(3)優良住宅地の長期譲渡所得の課税の特例
見直しありで3年間延長。
地域経済牽引事業関連の法律改正を前提に、企業立地の産業用地が確保できるように?、自治体と連携した民間開発事業者による産業用地整備の譲渡も加える。個人住民税も適用有。
令和10年1月以降、地すべり防止区域内に存する場合は適用除外あり。
(5)マンション建て替え等の円滑化に関する法律に関連して、
買取請求等に基づく一定の要件を満たすマンション再生事業の施行者に対する土地等の譲渡も、優良住宅地の譲渡所得の課税の特例の対象になりえる。(法人税も同様)
※メモ:優良住宅地の特例は、2000万円までは国+地で15%、2000万円超は国+地で20%
換地処分でも対象となるケースがあるので、その時に詳しく調べる笑(換地は法人税も同様)
移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入制度の適用対象となる収用等について、マンション再生等の円滑化の法律に関連がある一定の場合で、配偶者居住権関連も適用があり得るように改正予定。
マンション除去などの組合は、完全子法人株式等に係る配当等の課税の特例の適用対象外とする。
(個人住民税も所要の措置)
(6)歴史的風致維持~造成事業等の譲渡所得の特別控除
地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の改正を前提に、認定歴史的風致維持向上計画に記載された公共施設又は公用施設の整備に関する事業のように供されるために、土地等が地方公共団体等に買い取られる場合、
引き続き、特定住宅地造成事業等の土地等譲渡等の特別控除1500万円の対象に。(法人税も同様)(個人住民税も所要の措置)
(7)低未利用地の長期譲渡所得の100万円特別控除、3年延長(個人住民税も所要の措置)
(8)特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等を2年延長(個人住民税も同様)
(9)~(11)既存住宅の耐震改修・改修工事、認定住宅の新築等(災害危険区域除外あり)の所得税の特別控除を見直しあり3年延長
・廃止、縮減等 P45
居住用財産の買換え及び交換、居住用財産の買い換えの譲渡損失の繰越控除、令和8年1月から災害危険区域除外で2年延長。(個人住民税も同様あり)
特定の増改築等の住宅ローン控除は廃止。
特定住宅被災市町村の区域内土地等を地方公共団体等に譲渡した場合の2000万円控除は縮小。(個人住民税も所要の措置)
3 金融・証券税制 P47~
(1)NISA
①NISAの年齢の下限を撤廃(令和9年から?)。
②NISAの金額も改正に。18歳までは未成年口座で管理する。基本的に、18歳までは非課税では払い出せない。
12歳である年までは居住家屋被災により全壊などの場合は払い出せる。
12歳である年以後は教育費や生活費などのためならば、親権者が同意を得た書類添付して非課税で払い出せる。
被災でも生活費や教育費のためでもなく、払い出しをした場合には、譲渡所得と累積配当所得を所得税15%住民税5%の税率で特別徴収する。譲渡損は切り捨てして配当所得と損益通算ナシ。(譲渡所得は確定申告不要制度でOK。)
<払い出せるんだ・・・・ジュニアNISA(2023年で廃止)は払い出しに制限があった記憶があって。私は知識が疎いです。>
③NISAの累投に受け入れられる種類を追加
④NISAの累投非課税、非課税口座開設者の住所等確認措置を廃止。住所変更の届出書がない場合、上場株式等を受け入れないこととする等運用上の対応を行う他、口座年間取引報告書に記載をする。
NISA口座があって、引っ越しをした人は、不利益が生まれないように、NISA口座の証券会社等に連絡しましょう!!
(2)暗号資産 金取法の改正法施行日の翌年から
適用日:金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日が適用開始日の予定。
対象:商売で使う暗号資産や、自分で管理する暗号資産は対象ではなさそうです
①居住者が暗号資産の譲渡を暗号資産取引業者に譲渡する場合、分離課税に。所得税15%、個人住民税5%(別途、防衛税と復興税あり)
②暗号資産取引業は、年間取引を翌年1月末までに税務署長に提出する。
③暗号資産を暗号資産取引業者に譲渡したことの譲渡損失は(暗号資産同士で内部通算して)3年間の繰越控除可能。
④先物取引に係る雑所得等の課税の特例&先物取引の差金決済に係る損失の繰越控除の適用対象に暗号資産デリバティブ取引の雑所得等を加える
(先物取引と暗号資産が一緒になるってこと???確認が必要!)
⑥総合課税の譲渡所得の起因となる暗号資産について、(商売で使ったりなど、分離課税から除かれるもの、という意味かと)
イ)総合課税の譲渡所得の特別控除は無し。(総合譲渡の特別控除50万円無し)
ロ)総合課税の譲渡所得の暗号資産は5年超でも1/2無し
ハ)総合課税の譲渡所得の暗号資産は、損益通算させない
(3)同族会社の社債利子、(4)勤労財産~非課税、(5)特定口座の持株会契約の上場株式
(6)23歳未満の扶養親族を要する場合の生命保険料控除の適用1年延長、漁業組合の組込み型共済契約の掛け金が介護医療保険料控除対象になることを明確化
(7)エンジェル税制の発行期限3年延長
4 租税特別措置等 P55~
(1)超富裕層の税率30%へ 令9~
個人の基準所得金額が1億6,500万円超の者の所得税の税率を30%にする。令和9年以後から。
(現行は、3億3,000万円で22,5%)
(2)肉用牛の売却 農業所得の課税の特例 3年延長(個人住民税・法人税同様)
(3)青色申告特別控除を最大75万円へ 令9~
※会計ソフトを使って複式簿記、e-taxの場合は75万円控除がとれそうです
※2年前の不動産収入か事業収入が1000万円超の方は、青色控除10万円が取れなくなります(不動産収入と事業収入の両方がある方は、合計せずに、どっちかだけで判断するのだと思います。そのうち国税庁からFAQが出るよ)
①55万円の青色申告特別控除は、P/L提出、期限内提出、e-taxを条件に変えて65万円控除にする。
②更に、65万円控除の対象者が仕訳帳&総勘定元帳を電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の定めるところにより電磁的記録の保存を行っていること(次のイ、ロのいずれかに該当する場合に限る)との要件を満たすものとした上、控除額を75万円に引き上げる。
イ)仕訳帳及び総勘定元帳について、国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たす電磁的記録の保存を行っている場合
ロ)特定電子計算機処理システムを使用するとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(特定電磁的記録に限る)のうちその保存が当該特定電子計算機処理システムを使用して~
③青色10万円控除の対象者から除外する
イ)その年の前々年分の不動産所得に係る収入金額が1000万円を超えるもの
ロ)その年の前々年分の事業所得に係る収入金額が1000万円を超えるもの
(4)山林所得の森林計画特別控除を2年延長、(5)~(7)一定の職業訓練・一定の自立支援資金貸付の給付金等、一定のひとり親の住宅支援貸付けの免除は所得税を課さない
(8)セルフメディケーション税制 令9~
医薬品の範囲を見直し、適用期限を5年延長、スイッチOTC医薬品は適用期限を撤廃。(個人住民税同様、R10~)
5 その他
(2)通勤手当 令7年4月~
①自動車その他の交通用語を使用することを常例とする者が受ける通勤手当の非課税限度額の引き上げ(個人住民税も所要の措置)
②一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を負担することを常例とする者の1月当たりの非課税限度額は、その通勤距離の区分に応じた非課税限度額に駐車場等の料金相当額(5,000円を上限)を加算した金額とする
信じられないことに、令和7年11月19日に政令が公布し、遡って令和7年4月から通勤手当の非課税限度額の改正が適用になりました( ゚Д゚)
課税分として処理をしていた通勤手当のうち、急な改正で非課税になる部分は年末調整で対応。(上限を超えて課税していた通勤手当が一転、非課税にできるケースは少ないのでは)
国税庁HP 通勤手当の非課税限度額の改正について → https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm
(5)公的年金等に係る雑所得の見直し 令9~
給与所得控除と公的年金等控除の合計額が280万円を超えるケースはレアケースです。
①給与収入と年金収入がある方で、
その年の給与所得控除と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える場合には、
その超える部分の金額をその公的年金等控除額から控除することとする。(個人住民税も所要の措置)
これは??例えば、65歳以上で給与収入が300万円で年金収入が200万円の場合を試算すると、給与所得控除額98万円+公的年金等控除額110万円=208万円。
給与所得控除と公的年金等控除額の合計額が280万円を超える方は、あんまりいないね。
給与収入600万円(給与控除は164万円)だと、単純にならして月収50万円。毎月の給与と年金収入の合計が51万円くらい超えると年金の厚生年金部分が支給停止になるから(年金の支給停止額のラインは令和8年からは62万円くらいらしいです)、
給与所得控除と公的年金等控除の合計額が280万円を超えるケースはレアケースです。
控除の合計が280万円で打ち切りとどこかで読んだ気がしてた(^^;)
(6)農業者年金基本法の改正を前提に、農業者年金制度の保険料の額の上限を月額7.4万円(現行6.7万円)に引き上げた後も現行の税制上の措置を適用する。(個人住民税も所要の措置)
(7)小規模企業共済の証明書の添付・提示に代えて社会保険料控除(国民年金の保険料及び国民年金基金の掛金に係るものに限る)の適用を受ける場合を加える。令和8年分(令和9年1月以降提出)から適用(個人住民税も同じ)
(8)特定外国人患者の診療報酬
社会医療法人制度の認定要件のうち、特定外国人患者(自費患者である外国人であって公的医療保険に加入していない者をいう)の診療報酬の見直し後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
テレビで見るやつで、増えているんでしょうねぇ・・・・。
(9)社会福祉法の改正を前提に、解散時に残余財産の帰属として認められるものの範囲の見直し後も、社会福祉法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。
(10)従業員の食事支給非課税枠
使用者からの食事支給の経済的利益の所得税非課税を、月額7,500円(現行3,500円)に引き上げる(個人住民税も所要の措置)
(11)深夜勤務に伴う夜食
使用者が深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭の所得税非課税の1回の支給額を650円以下(現行300円以下)に引き上げる(個人住民税も所要の措置)
(12)~(19)所得税を課さない・差し押さえ禁止のものもある
高校の就学支援金、B型肝炎ウイルス感染者給付金等、分娩費・出産時一時金(仮称)、介護給付等、寡婦福祉法の一定の給付金、新たなワクチン追加後の健康被害救済給付、労災の保険給付等
地方税(4)ふるさと納税 令10~
お金持ちのふるさと納税に制限をかけました
①限度額を個人住民税所得割2割と、次の金額のいずれか低い金額にする(現行は個人住民税所得割の2割)
道府県民税77万2千円 市町村民税115万8千円
(指定都市の住民は、道府県民税38万6千円 市町村民税154万4千円)
②(意訳)当該寄付金の60%が都道府県等に残るようにする。寄付金活用額の使途を公表すること。令和8年10月以後改正、激変緩和措置あり
(5)利子割の清算制度の導入
都道府県は納入された利子割額から徴収取扱費を控除して、各都道府県ごとの清算基準額に応じて按分する。清算基準額は、各都道府県ごとに過去3年間の平均額。
(6)国民健康保険税 限度額引き上げ
課税限度額を67万円に引き上げ。(現行66万円)
子ども・子育て支援納付金課税額に係る課税限度額について、所要の措置を講ずる。
(7)国民健康保険税の減額対象の所得基準
5割軽減対象は、被保険者等の数に31万円を乗ずる。(現行は30.5万円)
2割軽減対象は、被保険者等の数に57万円を乗ずる。(現行は56万円)
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P64まで、次は二 資産課税