納税の義務があるのはなぜか キタノ理論を学ぶ

租税法連続基礎講座 キタノ理論 第1回。@東京

「課税庁」の立場から読む租税法と、「納税者」の立場から読む租税法は違うらしい。
「納税者」の立場から、租税法を読む。内容を回顧するよ。

1、日本国憲法を読む

税法の勉強なのになんで憲法なの??
ところが。税法と憲法はつながっていた。どうして、法律は守らなければならないのか、を考える。

法律をきちんと整備しておくことが大事よ。なんかテキトーだと困るし、権力(取り締まる側)の行動を抑制しないと。
憲法にはこんなこと書いてあるんだね。権力は、歯止めがきかないから、こういう規定は大事なんだって!

日本国憲法 99条 (中略)その他の公務員は、この憲法(日本国憲法のこと)を尊重し擁護する義務を負う

税金については、日本国憲法に2つ書いてある。前回の記事の通り、30条は日本の与野党が追加したんだって。それがケシカランとキタノ先生は言っていたわけなのだけど、考え方の違いね。憲法学者とは意見が違うらしい。いいね!議論大事。

日本国憲法 30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

日本国憲法 84条 には、税金のルール変更は法律で決めてね、と書いてある。

2、本法・施行令・施行規則・・・

税理士受験で暗記対象となる、本法・施行令・施行規則・措置法・措置法施行令までが法律なんだって。通達は、法律じゃないよ。(さいたま市の税理士のHPより。措置法とは?)→http://niiyamacf.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_6abc.html

で、国会を通っているのは本法だけなんだって。措置法も国会を通ってるみたい。
施行令は内閣が、施行規則はなんとか省の大臣が出すんだって。だから、国会を通っていないけど法律。ふーん。だから、ここまでは日本国憲法により守らなければならない税金のルールなんだって。なるほどー。

これが、30条の中身。

3、納税義務があってもいい

どうして納税義務が憲法に書いてあるとケシカランのですか、と租税法の先生に個別に質問して教えてもらったけども、なんか難しすぎて入ってこない。日本国憲法13条に、「国民の権利については、(中略)最大の尊重を必要とする」って書いてあるんだから、その見返りで納税義務があるのは普通じゃない?もらいますけどお支払いはお断り、というのはおかしいでしょ、と私は思うんだよ。

まぁ、私も試食だけして買わないってあるけど。
・・・でも、あれは私が試食していれば他のお客さんも試食しやすくなって、人が人を呼ぶから経済活動に貢献しているの!ウィンウィンてやつよ。
ルール通りの税金について、お支払いお断りはダメよ。

4、不服申し立てや加算税の意味

刑法199条 殺人罪を皮切りに、授業は進んだ。難しい話だから、掴みを分かりやすくしてくれて、興味が湧いた。

人間て弱いから。ダメと分かっていてもつい・・・ということがある。でもズルはよくない。
そして税金はみんなのお金だから、みんながズルして納税しなくなったら、国が滅びてしまうよ。

法律をきちんと整備して、取り締まる側の行き過ぎがないように裁判でしっかり考えてもらおう(裁判規範)。

あとから逮捕されたり罰金とられるのはばからしいからちゃんとやろう、という国民に対する抑止力(行為規範)。

憲法ではこのような考え方で納税に関する二者に対して制限をかけている、という認識でいいんだろうか?
税金計算のルールを法律で決めている。税金計算をミスったら罰則もある。
税法に沿った考え方で税務署に話しても納得いかなかったら税務署の上司に訴えることができる!

5、通達

通達は、税務署内の社内ルールと言える。法人税法の通達の表紙には、「通達頼りにしないで、実態を大事にネ」と書いてあるんだって。だから、通達に書いてあるから無理に経費にしちゃえ!はナシだし、通達に書いてるから課税しちゃえ!もナシだよね。
だけど、公務員がなんの線引きもなく税務調査しなくちゃならないと、大変だから通達があるんだって。だから、ちゃんと説明すればいい。この法律により経費にしている!と。

消費税と相続税は通達が全てと聞いたことある。あれば、ただの決まりだから税法の解釈の余地がないんだろう。

6、犬のエサは経費になる

ワンちゃんのご飯は経費になる場合もある。でも、ほんとレアケースと思うんだよ。愛犬のごはんは家族なのでダメよ。ペットショップ経営上のエサなら経費になるよ。

ワンちゃんのエサが人によって経費になったりならなかったりするけど、これは「平等」ではないと言えるんだろうか?ワンちゃんのエサは一律経費にしない、と決めたら、ペットショップは不利だよね。平等ではないよ。

エサだけで経費になるかどうかとは考えない。どういう使われ方で経費になるかどうかを考える。これが税法で考える「平等」だと思うわけ。

「俺の友達は経費にしてもらってるのに、おたくの先生は経費にしてくれない」と言われたことがあり、「それぞれ事情が違うんだから、実態に応じてルール通りに処理してるわけ!友達と俺は顔も取引先も環境も違うでしょう、これは経費になりません」と言った。事務所のノウハウによって、答えは変わるでしょうね。こういうところが、税法は面白いね。

だから、平等イコール不平等なんだと思うんだ。

7.地方税は国会を通っている

地方税は、都道府県の条例で決めてるんだって。そういえば、横浜市は「みどりの税」という追加の税金があったりして大変だよね。川崎市は、ないけど。
やめてくださいませんか。うっかり忘れちゃうじゃないの、と内心思っている・・・
この、地方税の話も面白そうだったんだけど、時間切れで聞けず。

8、おじさん最強説

授業後、租税法の先生に追加で色々質問してみた。

先生は、一人一人がもっと税に関心を持って、使い道も含めて考えることが大事。だから税理士はそのサポートをすべきだ、と。でなければ、民主主義がうまくはたらかない、(ビシィッ!)という考えだった。

おお!さすが!やっぱりオジサンの話は面白い。惜しげもなく教えてくれてとてもありがたい。来週も楽しみよ。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。