年末調整から税理士法を考える

東京も神奈川青税も、年末調整があるから納税者の税負担の意識が低くなり、税の使い途を深く考えなくなっちゃう。年末調整をもう一度検討しよう!という考え方みたい。

1、年末調整は超便利

年末調整って超便利じゃん。還付金は儲かった感があって使っちゃいがちだから経済が潤うよ。年末調整で会社がプレ確定申告を済ませてくれて、課税関係が終わるし。
それにさ、確定申告はなんか難しくて面倒くさいよ。

青税の「みんなに税を知ってもらって一緒にいい方法を考えよう」は素晴らしい。高い目標を掲げることは大事よ。ちょっとずつ上がればいい。

でも、税法は難しすぎない?国税庁HPでは、どんどん打ち込んでいくだけで個人の確定申告書はできるみたいだよね。

だけど、「税を考える」はそういう意味じゃないよね。

2、租税教育も大事だけど

「この税のルールってほんとに平等なの?」「どんな経緯で出来たの?」とひとつひとつ検討していくのは無理よ。それを楽しむのは税理士だけだよ。
税金のことを考えるのは大事なのは分かる。でも、はるかに今日の晩御飯やスポーツニュースの方が大事なんだよね。それが生活よ。

税金やこの国の行方について考えるのは大事だけど、1日のうちどのくらいそれを考える時間をかけるかというと…ほとんど、かけないよ!それは「無責任」ではなくて「生活そのもの」でしょう。
それぞれ、仕事頑張って、趣味や家庭の時間も大事にしてもらいたいじゃん。

3、税理士がやってくれないかな

だとすると、税金について考えるのが大好きな集団である、税理士たちが色々議論をしてある程度の問題点を指摘して提案すればいいんじゃない?

税理士は、仕事の性質上、納税者の財布の中身を知るよね。
納税者は、税理士の前で見栄張っても、お金ないふりしても意味ないよ。
税理士には守秘義務があるんで、「どこそこの誰は、いくら稼いでる」なんて絶対に言わない。言えない。国家資格で縛ってるわけよ。
だから、納税者の方も(言いたくなくても)仕方なく内情をすべて話すんだと思う。

そして、税理士にはリアルな納税者の声が手に入る。

私は税を学んだから、納税者の方からの話で、自分は納税者の気持ちが全然分かってないことに気付けたよ。

そして、納税者の気持ちを優先すると、国が成り立たないことに気付けた。

民主主義には限界があるかもしれない。

誰も税金は払うより、そのお金で旨いもん食べに行きたい。でも、納税する。不満もあるかもね。
でもそれ、何が不満なのかすら理論的に説明できない不満なんだよ、多分。

4、年末調整の廃止はもっと簡素にしてから

年末調整があるから納税意識が低いっていうのは正しいと思う。で、仮に年末調整を廃止して、確定申告を義務付けると事務手続きがめんどくさくて頭にきちゃって冷静に税のルールを考えたり出来ないんじゃないの。

だから、制度側の都合優先ではあるけど、年末調整はあった方がいいよ!
源泉徴収の事業主の罰則を緩和しよう!
(過去記事)年末調整は任意 → https://mina-office.com/2017/03/15/zeinoshirube/

確定申告を簡単に出来るように所得税個人住民税は、もっともっと簡素化すべきよ。

5、税理士法第1条

これからも、税理士は納税者の気持ちに沿いつつ、国益を考えて行けばいい。国益とは、納税者の利益なんだからさ。
税理士法第1条 税理士の使命 という話でした。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。