2026.5.29 最高裁判所で裁判傍聴(弁論)に行ってきました~。令和6年(行ヒ)第160号
金融機関との和解し、相続発生後に9億円ほどが債務免除になった経済的利益課税の裁判です。(所得税の更正処分取り消し請求)
30人を超える傍聴者と一緒に、暑い5月に並びました。税理士さんも何人か来てた( ̄ー ̄)ニヤリ。最高裁で税理士が補佐人で発言してました。
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・最高裁 令和6年(行ヒ) 概要をだいたい
事件の概要はこちら 最高裁HPより 事件の概要と争点 PDF→ https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/jiangaiyou_06_160.pdf
Aさんは16億円超を金融機関から借り入れをしました。どういう事情かは詳細には調べませんしここに記載しませんのですが、Aさんと金融機関と話し合い(裁判)をして、6億2630万円を期限内に返済すれば、残りの9億円超は債務免除する、という和解が成立しました。
Aさんは、返済金100万円を残して亡くなってしまいました。
Aさんのご遺族(上告人ら=相続人かと思いますが、単語で迷子になるので正しくないけど”ご遺族”と書いちゃいます)は、期限内に残りの100万円を返済して残りの9億円超の債務免除を受けました。
相続税申告では、債務免除を受ける予定であった9億円超を、債務控除されなかった。
それで、相続発生後にご遺族が約束の100万円を返済し、9億円超の債務免除が成立した。
税務署長は、9億円超の債務免除益をご遺族である相続人(ら)の一時所得として所得税の更正処分を行った。
・事件の裁判番号 履歴
東京地裁 令和元年(行ウ) 第615号
東京高裁 令和5年(行コ) 第105号
最高裁 令和6年(行ヒ) 第160号
・税務申告から最高裁までの道順を妄想
亡きAさんが生前に和解に持ち込んでいた9億円超の債務は、Aさんが亡くなった後に債務免除が確定した。
ご遺族にその9億円超の債務免除益が発生し、ご遺族は所得税の対象と思っても無かったのでしょう、確定申告書に含まれていなかったと推測しました、税務署長が債務免除益を一時所得として更正処分をした。
納税者が納得しなかった。
ここからは私の憶測だけど、税務署の判断やり直してと請求したが覆らなかった→国税不服審判でも覆らなかった→東京地方裁判所で覆らなかった→高等裁判所で覆り、税務署(国税)が負けた→国税が、高等裁判所の判断はオカシイと最高裁判所に上告した→
おのでらが税務の最高裁弁論があると聞きつけて最高裁判所に傍聴に行った → 判決は来月、令和8年6月です
・相続税の債務控除”されなかった”
相続税申告では債務控除”されなかった”とあるので。当初申告では債務控除したのかもしれません。
相続発生後、いつのタイミングで残りの100万円を返済して9億円超の債務免除を確定させたのか、通りがかりの私には分かりませんけれど、相続発生日には「確実な債務」ではないので相続税の計算上、債務控除されなかったのは妥当なのでは。
まぁ、100万円を約束の期日までに返済しなければ、9億円超は返済するので、銀行借入金の残高には記載されていたとは思います。実際の案件で債務控除で申告するかどうか、迷うかな~。
・所得税の非課税 9条 相続取得
所得税9条は非課税の規定です。1項16(令和3年以後は9条1項17)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(~以下略
相続税と所得税が二重課税されたら
所得税の非課税9条1項17(相続により取得は所得税非課税)には、当初の相続税申告に含まれていたかどうかは、必須ではないと私は思います。(令和3年までは9条1項16)事実認定だから。
この「相続取得は所得税非課税」の規定がないと、相続税と所得税と同じ事情で2回納税することになるので、二重課税になっちゃいます。
二重課税って難しくて。私はうまく説明できないのだけど。(研究が足りてない!)
一般に聞く「給与で所得税を負担してるのに、消費税が課された」「相続した不動産を売却した値上がり益に課税された」など聞くけどそれ税務の世界では二重課税って言わないかな、というのは私の感覚です。(人それぞれ、思うのは自由)
たとえばこの「相続所得の所得税非課税」規定がない場合を妄想して簡単に試算してみます。5000万円の現金を一人っ子が相続して相続税160万円を納税、同時に所得税も711万円を納税、住民税248万円を納税になっちゃうのです。
令和8年現在、この規定があるから相続税のみで済み、所得税・住民税は非課税になってます。相続税って、安いんですヨ。
仮に相続税・所得税住民税フルで課税になる世界になったとしても、納税した残りの3881万円がもらえて自由に使えるので。経済的に恵まれたことは人に言わずに納税して、人知れず好きなことに使えばいいと思います。
相続税申告のために税理士との打ち合わせ、だなんて、勤務先に言わないの!人に言わないの!税理士にだけ言う!
積極財産だけが相続取得の所得税非課税か?
今回傍聴した弁論では話題になってました。
積極財産だけが所得税非課税の範囲内なのかどうか?(国税側は積極財産だけだ、という主張だった記憶)
借入金を相続すると、それは所得を構成しないのが普通で、今回の事件のような債務免除なんて通常は発生しないのですが、今回の事件の争点にあがってました。(東京高裁でそれで納税者が勝ったから)
・債務免除の確定日は相続発生後
けどさ。債務免除が確定したのは、相続発生後なのよね。
それで、Aさんが生前に、あと100万円を返済していれば経済的利益課税で一時所得だったわけだから、相続発生後なら一時所得ナシで済むのはどうなんだ(不公平だ)、と思いました。(関連した趣旨の発言があったからだと思います)
・弁論の様子 「意義」あり
最高裁判決 平成22年の個人年金の二重課税の判決とは本件は違います。
所得税法67条の4の課税の繰り延べのこともちょっと出てました。
それ!相続取得の課税の繰り延べの話!今年の確定申告期に気になっちゃってしょうがなかったんだけど、所得税法60条は、条文の書き方がおかしいんだよ!とスピンオフして思って聞いてました。
納税者側が、国税側は平成22年判決を間違って判断している・説明になってないとか、所得税法67条4は関係ないのを持ち出しているとか、法人と自然人は違いますとか、独自の解釈で課税していてケシカラン(意訳)など、武闘派の弁護士さんドンパチやってました(≧▽≦)
法廷なのだから、納得しないことはハッキリ言うのがいいよね。程度の問題だけど、スピリッツを見習おう。
・裁判官からの質疑
裁判官からの質問(というの?)で、
借入金の元本は所得を構成しないよね?潜在的な利益には課税しないよね?いつ課税になる決まり?な質疑がありました。
納税者側の補佐人の税理士さんが弁護士さんからエスコートをうけて回答してました。
私は税務以外の法律が分からないので、弁護士さんや裁判官の発言よりも国税の話の方が馴染みある言い回しで、分かりやすかったです。(とりあえず言ったみたんだな、ということも透けて見える)
最高裁は憲法を争うところと聞いたことがあり、税務専門の裁判ではないので、そのやり取りはどういう?と不思議に思うこともありました。
30分ほどで閉廷、エッこの程度のやり取りで判決?と拍子抜けしてしまいます。(書面で散々、審議しているらしいけど。こういうもん?)
税務の事は、税理士が国税とやり取りして着地させたいね。裁判所では「それじゃない話題」で時間ばっかりかかっちゃうことがあるかもね。
いずれにしても一番大事なのは、納税者の気が済むことだと思います。
・迷子の債務免除益、どこへゆく
16億円のお金を借りて、6億円強を返済して何らかの事情で9億円超の債務免除を受けた。
借りた16億円は不動産購入などに使ったことが予想され、預金口座にまるまる残っていたわけではないと思いますが、話を簡単に考えると、
返済せずに結果的には貰えた9億円超の見合いの財産は相続税の課税対象にはなっているわけよね。債務控除してないし。
それで、生存中にあと100万円を返済していれば、9億円超はAさんの一時所得で所得税課税されていたんだよね。
債務免除が確定したのは、相続発生後なのよね。
う~ん。東京高裁の納税者勝利の判決が私にはフィットしなかったかな。
・大岡政談の鯨裁き
今月は、江戸時代の裁判傍聴(?)ともいうべき、講談で「鯨裁き」という演目を聞いてきました。
オープニングの「鎧の着逃げ」からの”一番槍”つながり。
仕留めた鯨の手柄は誰のものか、を争う裁判。一旦は敗訴して悔しい思いをした村は、担当が大岡越前に交代してから上告(?)してました(≧▽≦)
”一番槍”の定義は?が争点になりました。
鯨を仕留める様子はさすが軍談名手の講談師さん。臨場感があり、聞いてて船酔いしました(新調した眼鏡の度が合ってない)。おもしろかった!
