29.12.15 与党税制改正大綱が発表。まだ、法律になっていない。
基本的な考え方を読む。
H30与党税制改正大綱 → https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf
第一 基本的な考え方
人生100年時代を見据えて経済社会システムの大改革に挑戦!働き方改革を後押ししちゃう!
給与所得控除や公的年金等控除を基礎控除に振り分けしちゃう。(低所得者でも増税ありえそう)
事業承継を応援するよ。
森や外国からの観光客のご対応のため、ちょっぴり増税。
地方は各自のオリジナルな個性を生かして頑張って、地方財源の是正。
BEPS、ICT、もう聞き飽きた?
「今後とも格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築」を頑張る。
たばこ税は値上げ。
平成31年10月1日より消費税は10%に値上げするし軽減税率は平成30年の年末までに措置を決める。
らしいですよ。
1、個人課税の見直し
「高齢者が長年培ったノウハウで下請け受注で請負作業をしたり、起業支援等を行っている」
って、そうなの?あんまり聞かないけど?それって天下りって言うんじゃないの。
給与所得者と年金受給者が所得計算上、有利だったので既得権益を徐々に減らしていくらしいですよ。
働き方改革で、フリーランスを応援するのに、なぜ既存の会社員の給与所得控除と年金受給者の公的年金等控除が削られたのか意味が分からない。(追記:所得金額調整控除というものがあるので、一定所得以下の人は結局削られていない)
基礎控除に振り替えました!って、だったら青色申告特別控除を10万円増やせばよかったのに。
つまりは、低所得者層も含めて、じわりと増税にしたかったんだよ。高額所得者の上限の話ばかりで目くらましされているけども、実は年金受給者でかつ、バイトしている方の場合は低所得者であっても増税!こっちが目的ってこともないんだろうけど、スルーされちゃって巻き込まれ事故っちゃいそう。(12.16追記 詳細を読んだけど、私のこの読み方は誤り)
そして、給与所得控除は年収と家族に22歳以下の子供や障碍者の方がいる場合などの家庭環境に合わせて超カオス時代。家庭環境丸見え制度。
高額所得者の年金受給者は公的年金等控除を引き下げて所得税を値上げへ。全体の数%の金持ち増税のためだけに作られる制度!これにより、「公平だ!バンザイ」と思う人、何人いるの。「やってやりました感」出したいための制度。
基礎控除を10万円上げるけど、お金持ちには制限をかけるらしい。基礎控除については、「課税最低限」とか、「最低限の生活費には課税しない」という考え方のようだけども・・・。「年間の食費かなぁ」くらいにしか思っていなかった。不勉強である。
ところで、基礎控除の引き上げによって、健康保険や扶養の判定の金額はどうなるのか??これについては、「社会保障制度の給付や負担の水準について意図せざる影響や不利益が生じないよう(各種役所で)適切な措置を講じなければならない」
・・・・決まってないのいかーい!バシっと、「今まで通り!基礎控除の金額を上げたんだから、健康保険や扶養の判定となる金額も同額を上げる」と書いていない!なんか、取扱いが雑。
詳細を見ると、健康保険についての言及はないものの、扶養の判定や住民税については国税で控除額増加した金額は個人住民税・扶養の判定でも同額を増加すると明記されている。
更なる、給与所得控除などの金額を基礎控除に振り替えることを視野に入れているんだって。
お金がないから結婚や出産を諦めることがないように税制で手当したいんだって。それはいいことだよね。今のお金がない、ということばっかりじゃなく、自分の老後資金という観点もあるんだけどね。目先の「若者や子育て世帯を応援!」と言うなら、年金制度の安定化も一緒に考えてもらわんと。
自助努力も含む将来の備えについて、働き方による有利不利がないように税制で手当てを検討する?
単純に厚生年金制度・企業年金制度を廃止して、社会保険料控除を含む所得控除を税額控除(社会保険料×5%を税額から控除)にすれば?公的年金等控除は一律120万円、などの金額にすればいいんじゃない。
2、デフレ脱却・経済再生
所得が上がっているのに賃上げや設備投資しない大企業については、生産性向上設備の税額控除や研究開発の税額控除の適用除外とするらしい。ちょっと、意図するところが分からない。
認定経営力向上計画に基づく固定資産税の課税標準の特例措置は、平成30年の年度末で終了。「年度」なので、今から買っても2年分間に合うのかな??
非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度を大幅に適用拡大!経営者の個人保証の適正化をしていってくれる。これは、本当にヨカッタね。悪用されませぬよう。
組織再編の適格要件を拡大する模様。ヤフーの租税回避問題のような組織再編であっても、改正後ならセーフになるってことかもしれない。
消費税、外国人観光客に対する免税制度が使いやすくなるみたい。輸出物品販売場における免税は、改正が多いね。使いやすくなるから、いいね。
なんと、登記の登録免許税の減免がきた。少額土地(一筆10万円以下)ではあるけど、ちいさな一歩なのでは。法務局の仕事がすごーく増えそう。司法書士依頼で登録免許税減免の私のアイデアも使って!公務員が疲弊しちゃうよ。
3、地方税財政基盤
地方消費税の振り分けについて議論した模様。
固定資産税は、超大事!って書いてあるので、固定資産税はなくならない・・・。色々と課税標準について考えているみたいで、ちょっと私には知識がないから分からない。
12ページは良いことが書いてある!(気がする)地方交付税について考えていて、地方間の公平性の確保をしなくてはね、と。ほんとそうよね。
地方交付税を受けていない自治体は黒字化しているところがある(それは川崎市)が、地方交付税を受けている自治体は赤字が続くなどしているらしい。それは交付税を受けないと更に赤字だったという意味なのか、「交付税を差し上げても効率的に使ってない」という批判なのか不明なのだけども。
やはり、特定の都市のみが潤うのではなく、都市も地方も支えあうという考え方は大事!
・・・消費税10%値上げ時には、法人の地方税制について改正があるようで、その際に「都市と地方の支えあい」についての課税について考えるみたい・・・。なんとか、増税せずに乗り切れるといいんだけども。
4、森林のために毎年1000円
森って大事だし。個人住民税の均等割りに1000円を上乗せ制度。平成36年度辺りから、「森林環境税(仮)」なる森林へのカンパ税が開始されるかもしれない。
まぁ、森って大事だし。「横浜市はみどりの税・水源環境税・森林環境税の三重苦になる」(産経新聞)との見出しがなかなか面白い。
こういう、「ちょっと足りないからカンパ」のミニボンビ税は毎年増えていくんだろうねぇ。必要なら、私は負担する。金額も、1年で1000円なら大丈夫だし。
けど、年間1000円でも、苦しい人はいるので、個人住民税の均等割りにしてしまうのはどうなんだろう。「徴収しやすいし」という観点から個人住民税の均等割りに入れ込んでしまうのは、いかがなもんでしょう。
市町村の会費という性質、ということは分かったけど、木こりさんや森林へのカンパと市町村の会費という意味って関連性があるの?
なお森林環境譲与税(木こりさんへのカンパ)は、森林環境税の地方への割り振りの話のように読める。
5、国際活動の国際化
高度外国人等が日本に居住し、長くいてもらうために、贈与税・相続税を緩和。一時的に外国に住所を移すことで課税逃れはNGと規定し、本国へ帰国後に行った贈与・発生した相続については、国外財産を相続税等の課税対象外とする。
ちょっと、可哀想なケースがあったので、特例的な措置を設けたんだね。よかったよかった。
6、ICT化など・7、たばこ税
電子申告をどうしても頑張ってもらいたいから、行政側も頑張る、とのこと。
一般社団法人スキーム(やっぱり来たね)、小規模宅地等のスキーム(これはちょっと思いつかなかった)封じ。
日本は高齢化したので「財政物資としてのたばこ」税を増税するんだって。また?
・感想
P.16まで、基本的な考え方を見てきたよ。
平成32年から開始予定の個人課税にツッコミどころがありすぎた。低所得者増税にもなる場合もある。大綱はあくまでもプランで、法律はまだ通っていないので、まだ間に合いますので考え直していただき・・・。
個人課税は複雑に複雑にして、税理士が「もうこんなの無理ー」と値を上げるのを待って、記入済申告書にまで持っていくつもりなんじゃない・・・。
個人が電子申告で青色特別控除を10万円オマケする制度、マイナンバー普及にも役立つといいね。おそらく、永遠には続かない。電子申告機器購入で5000円の税額控除、みたいなもんでしょ。すぐ終わったよ。
個人課税改革以外の部分については、個人的には「イイね!」な制度が多かったな~。そろそろ税理士受験の合格発表なので、続きは明日にいたします。