自宅を買換える時の税務

「小野寺さん、自宅は賃貸なの?夢のマイホーム買いなさいよ~。ま、頑張りなよワハハ」と励まされるの巻

言っておくけど、負け惜しみではないから!自宅は賃貸がいいんだから!

・今回のテーマは買換えと譲渡損!

妄想話は続き、さて、私が持ち家を売っぱらい、次の持ち家を購入した場合を考えてみよう!

前回研究したように、自宅を売却して3000万円控除を受けた場合には、住宅ローンが受けられないという制限があるのが分かったよね。

これは、ラッキーは1回ね、という考えなんでしょう。でもさ、3年待てば住宅ローン控除は受けられるんだよね。面白い話。

世の中には、持ち家を売却しても手元にお金が残らないケースがある。税理士試験でも理論でがっさりと出題されたことがある、居住用財産の買い替え特例についてしら~っと考えてみたよ。

もう忘れてるよ!

1、買換え特例 課税の繰り延べ(措置法36条の二)

超簡単に言うと、所有期間も居住期間もだいたい10年を超えていて、売り払う旧自宅の売却金額が1億円以下で、次の自宅を購入(買換え)し、色々なハードルを乗り越えた勇者には、その売却はなかったものとみなされる!

けど、いわいる、手元に残るお金には課税される、というもの。

売却金額を次の自宅の購入資金に充てて、お金がない人のために、税務上の利益は現在の自宅を販売した時まで繰り延べる特例ね。

さらりと勉強したけど、数々のハードルがあり、辿り着くには大変。

この自宅の買換え特例を受けると、旧自宅の取得費を引き継ぐことになったりして・・・。なので、いずれ売却することが予想される場合には、将来トータルで見ると、買換え特例を受けると高くつくこともある。

(国税庁HP 買い替え特例 取得費) → https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3362.htm

飛びつかないで考えることも必要なのかもしれないね。

(国税庁HP 売ったお金より安い金額でマイホームを買換えた場合)→ https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3358.htm

実際の適用の際には、こんなに簡単にはいかないみたいね。

2、買換え特例 譲渡損の損益通算・繰越控除(措置法41条の五)

自宅を買換えて、売却損があり、新たな自宅(小さすぎでも大きすぎてもダメ)を住宅ローンで購入した場合には、売却損は他の所得と相殺してOK、来年持ち越しも可能という規定。

土地建物の譲渡損益は、総合課税の所得(事業所得や不動産、給与所得や年金所得)とは別の線路を走っているので、相殺することはありえないんだけども、常識を打ち破った!

空と海が混じる!

旧自宅に売却損がある場合で借金してまで次の自宅を購入しなくてはならない人は可哀想だから・・・みたいな考えなんだろうか。

(国税庁HP マイホーム買換えの損益通算・繰越控除)→ https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm

実際の適用の際には、こんなに簡単にはいかないみたいね。

3、オーバーローンの譲渡損失(措置法41条の五の二)

土地建物の譲渡損を、総合課税と相殺してしまう特殊な税制。まだある。

旧自宅の住宅ローンの返済が難しくなり、自宅を売却したけどもそれでもローンの残債があるという悲惨なケースの場合には、次の買換えた自宅がなくても、譲渡損のうちオーバーローンの金額までは総合所得(配当所得・給与所得・年金所得・事業所得・不動産所得など)と相殺していいし、更に相殺しきれなかったら来年に持ち越してもいいから・・・・という制度。

所有期間5年超の規定があるので、買ってすぐ、はダメね。

税理士事務所を構えたし、自宅を勢いで購入(仮に3000万円)したものの、住宅ローンが返済できず泣く泣く売る羽目(仮に1000万円)になり、返済に充ててもローンが残っている(仮に1500万円)という悲しい場合には、この規定の適用があるね。

ローンの残額が2500万円で、売却金額1000万円を充ててもローン1500万円が残っている。譲渡損失は1000万円-取得費3000万円=2000万円の損失。(減価償却は制度説明上考慮外)

2000万円>1500万円なので、1500万円を、譲渡した年分の税理士事務所の所得と相殺できる、こういうシステム。

しかし相殺する事業所得もないというようなことがないように、私は自宅は賃貸で結構です・・・。ううっ。

(国税庁HP 住宅ローンが残っている自宅の売却損)→ https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm

実際の適用の際には、こんなに簡単にはいかないみたいね。

4、住宅税制 おそろしい子

ちょっと国税庁HP漁っただけでも、随分時間がかかった。措置法は難しく、期限切れもあるんだよね。

住宅税制は金額も大きく超複雑なので、税理士報酬も高い。あと1年待てば受けられた税制優遇などもあるので、よ~くよく調べてから売却を検討するのも手かもね。

といっても、買いたい時が買換え時!なのかもしれません。その物件、1年たったら他の人が買ってるもんね。

譲渡はやらない税理士も多い、そのくらい住宅税制は奥が深いよねぇ~。収用換地が絡むと・・・。うっ考えるだけで具合悪い、寝るバタリ。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。