30.5.3 税金計算用税理士が消える日
1、申告納税制度
所得税・法人税・相続税・消費税は、本人や事業主が自分で税額を計算して権利を主張するというシステムをとっている。
面倒もあるけど、税務署が気分で税額を決められても困るし。
経費になる・ならないなどの判定は、納税者が行いましょう、税の仕組みや使い道についても考えるきっかけにしてくださいネ。というのが「申告納税制度」というもの。
2、きっかけは税務署の手抜き
・・・歴史的には、昔は納税者が少なかったから税務署がひとりひとり計算していたんだけど、昭和22年4月、納税者も増えてきたし手間がかかるしクレーム処理が多すぎだから自分で計算してネという仕組みになったんだよ。(その後シャウプさんがやってくる)
つまり、税務署の手抜きが申告納税制度の始まりだったわけ!
とりあえず納税者に計算させて納税させて、納税者が間違えてしまったら後から追徴するシステムになっている。
(新・国税庁HPより 申告納税制度の理念とその仕組み)→ https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/32/230/hajimeni.htm
申告納税制度が導入された昭和22年は、日本経済が疲弊のどん底にあり、インフレがとめどもなく昂進し、所得税の負担は極端に重く、納税者の税務官庁に対する信頼感は最低で、(中略)
このような環境の下で賦課課税方式から申告納税方式への制度の切替えは税務行政に大きな混乱を招き、殊に、個人所得税においては、昭和23年は約70パーセントに及ぶ納税者が申告怠慢とした政府の更正決定を受け、おびただしい異議申立て(当時の税法では「審査の請求」といった。)が行われ、税金の滞納も慢性化した
3、申告納税制度の長所短所
申告納税制度のいいところは、上述の通り自分で税額を計算するところ。
一方、申告納税制度のイマイチなところは、税金のルールが複雑怪奇、知ってる人が得する格差システムであること、計算に時間がかかることがある、結局ミスったら罰金などなど。
「もう、税務署が勝手に計算してくれ!」と思う気持ちも分かります。所得税・法人税・相続税も、消費税の簡易課税のようにみなし経費率を作ってくれたらいいのにね。
4、国民主権?しらんがな
しかし、戦争に負けて主権者が天皇から国民に変わったことなどから、国家運営のための税金を公務員が勝手に計算できなくなっちゃんたんだねぇ~。
今は、サラリーマンや年金受給者が多くを占め、「主権者として申告納税制度を!」とか言っても、給料や年金から天引きされる関係で納税意識があるわけではなかったりする。
「は?国民主権?税金と関係あるの?」ってな感じだったけどね、わたしは。
5、税理士の役割を考える
国民主権である!
だから、税金のルールは国民が決めていくべきである!
税金計算を通して、変な税法は国民が主体となって変えていくべきである!
そのためには、複雑な税金のルールを納税者が理解できなければならぬ。
税金のルールの説明は、税の専門家である税理士に聞けばよい訳である!
税理士は、納税者に対し税の考え方につき分かりやすい説明を行い、時代に合わせた公平な税法を模索するのが役割だと思う!
税法は専門家のためではなく、国民のためにある、と私は思うよ!
6、国税庁がライバル
伝統的な税理士の仕事は、税金計算を行って申告書を作成することや、税務相談、税に対する意見を聞くこと、などがあげられる。
独占無償なので、税務申告や個別具体的な税務相談は税理士以外はできない。なんでかというと、税金はちょろまかされると国が潰れるから、ライセンスを与える税理士を大事にしてくれているわけ。(ただしライセンスを人質に監視され下請け作業をやらされる)
しかし、国税庁HPを見ますと、
「課税庁は、納税者が自分で申告書を作成するようすすめています!」
「税務相談もやります!」
「税に対する意見を聞きます!」
「納税者に分かりやすい説明をします!」
って書いてある。
!!
なんか、とりあえず一時の税務署人手不足問題は乗り越えたからもう税理士はいらないよ感を感じる!
国税庁ホームページや税務署の職員の対応により、徐々に税金計算用の税理士は絶滅していくのであった。
(新・国税庁HP 申告納税制度 納税者サービス)→ https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2005/04_1.htm