30.11.22 税のしるべ(30.11.20)を読んでいたら、扶養控除等申告書の提出がなかったので乙欄で源泉所得税を追徴課税という裁決の記事。
・マル扶を忘れて追徴課税
扶養控除等申告書は、年初に毎年、従業員・役員に名前と住所と生年月日を記載してもらうシステム。(サイドビジネスの人はまた別規定があるけど、今回は考慮外ね)
去年と一緒だし・・・・とか、社長の家族の分など、億劫がって記載しないケースもあるわけですが、なんと。なんとです!
大阪には税務調査で扶養控除等申告書を確認している調査官がいることが分かりました!暇なの!?
不服審判所の裁決検索システムで、「平成30年2月7日分」キーワード「扶養控除等」と入れてみましたわ。
裁決要旨検索システム→ http://www.kfs.go.jp/cgi-bin/sysrch/prj/web/pub/printSaiketsuyoushi
他の従業員は年末調整をしているのに、Aさん(退職済と読み取れる)だけ年末調整未済なのはおかしいと怪しんだみたいです・・・。Aさんがどのくらい給料をもらっていたのか不明ですが、乙欄で源泉漏れとして追徴。
・乙欄課税は回転すし状態
あのねえ!源泉所得税の性質を考えてよ!法律の文章を読んだだけか!?
事業主から乙欄追徴分の源泉所得税と加算税を徴収して、税務署はAさんに源泉所得税を還付して、事業主はAさんから還付金分を返してもらう、という手順を踏むわけだ。
源泉所得税の回転すしか!甲欄と乙欄の差額が回転レールの上でくるくる回っただけじゃないか!厳重注意して終わらせなよ、更正処分までやって、なにやってんだよ!
という見せしめ事例がありました。大切なことは、調査官に文句を言うことではない。自衛して税制改正を要望すること。
・扶養控除等申告書をゲットせよ!
・扶養控除等申告書は、面倒でも毎年手書きで提出してもらう。
(手書きしてもらわないと、知らない内に引っ越したりしてるからね。いきなり退職したり死んだりするのが人間です。後で書いてもらおう、はよくないの!)
事業主が書類を保存して、税務署から言われたら見せることに決まっている。所得税法では、「税務署へ提出」と書いてあるが、言われるまで事業主が持っててという法律が別途あるのよ。施行令だったかな?
税務署の倉庫はいっぱいだから、事業主に負担を押し付けるの。行政って頭がいいんだぁ~。
・生命保険料控除申告書は、年末に名前だけでも書いてもらって提出してもらうのが実務。(全員分が揃わないと、提出したのか誰かが無くしたのか分からなくなるし。てか会計事務所のせいにされるし。結局提出していなかったというオチがあった。大騒ぎ。)
ぽっちりの年末調整還付金を返しておくのが法律。(年末調整は任意ではない!私は任意かと間違えていた・・・。年末調整書類の提出は任意、と190条から読み取れますがいかがでしょうか。)
・誠意のある証言を
裁決では、事業主が誤魔化しきれると思って証言を二転三転したことが嫌われたみたいに読める。「事業主の証言は信用できない」などと裁決に書いてあるよ。
まぁ、分かるよ。扶養控除等申告書なんて毎年のことだし、もらったかどうか、忘れちゃうよね。
なんとなくだけど、Aさんが既に退職したから、他人が手書きしちゃったんじゃないかなぁ・・・。
適用条文集
扶養控除等申告書
所得税法194条
知らない内にマイナンバー記載が義務って書いてあるね。しかし、マイナンバー記載がないことを理由に源泉所得税の額を変化させろとは読めないと思いますが、いかがなもんでしょう。
(給与所得者の扶養控除等申告書)第百九十四条 国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者(その支払者が二以上ある場合には、主たる給与等の支払者)から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地(第十八条第二項(納税地の指定)の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地。以下この節において同じ。)の所轄税務署長に提出しなければならない。一 当該給与等の支払者の氏名又は名称二 その居住者が特別障害者若しくはその他の障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生に該当する場合には、その旨及びその該当する事実三 同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合には、その旨、その数、その者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)並びにその該当する事実四 源泉控除対象配偶者の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)五 控除対象扶養親族の氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)並びに控除対象扶養親族のうちに特定扶養親族又は老人扶養親族がある場合には、その旨及びその該当する事実六
年末調整
(年末調整)第百九十条 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)において、同号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第二号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。
配偶者控除等申告書
(給与所得者の配偶者控除等申告書)第百九十五条の二 国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ニに掲げる配偶者控除の額又は配偶者特別控除の額に相当する金額の控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。一 当該給与等の支払者の氏名又は名称二 その居住者のその年の第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号において「合計所得金額」という。)の見積額三 控除対象配偶者又は第八十三条の二第一項(配偶者特別控除)に規定する生計を一にする配偶者の氏名、個人番号及びその者のその年の合計所得金額又はその見積額並びにその者が老人控除対象配偶者又は非居住者である場合にはその旨四 その他財務省令で定める事項2 前項の規定による申告書に控除対象配偶者又は同項第三号に規定する配偶者が非居住者である旨の記載をした居住者は、政令で定めるところにより、当該記載がされた者が当該居住者の配偶者に該当する旨を証する書類及び当該記載がされた者が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類を提出し、又は提示しなければならない。3 第一項の規定による申告書は、給与所得者の配偶者控除等申告書という。
保険料控除等申告書
(給与所得者の保険料控除申告書)第百九十六条 国内において給与等の支払を受ける居住者は、第百九十条(年末調整)に規定する過不足の額の計算上、同条第二号ロに規定する社会保険料、小規模企業共済等掛金、新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料又は地震保険料に係る控除を受けようとする場合には、その給与等の支払者(二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、主たる給与等の支払者)からその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該給与等の支払者を経由して、その給与等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。一 当該給与等の支払者の氏名又は名称二 その年中に支払つた第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料(給与等から控除されるものを除く。)の金額及び第七十五条第二項(小規模企業共済等掛金控除)に規定する小規模企業共済等掛金(給与等から控除されるものを除く。)の額三 その年中に支払つた第七十六条第一項(生命保険料控除)に規定する新生命保険料の金額及び旧生命保険料の金額、同条第二項に規定する介護医療保険料の金額、同条第三項に規定する新個人年金保険料の金額及び旧個人年金保険料の金額並びに第七十七条第一項(地震保険料控除)に規定する地震保険料の金額につきこれらの規定の適用があるものとした場合に控除されるべき金額四 その他財務省令で定める事項2 前項の規定による申告書を提出する居住者は、政令で定めるところにより、その年において支払つた同項第二号に規定する社会保険料(第七十四条第二項第五号に掲げるものに限る。)の金額若しくは前項第二号に規定する小規模企業共済等掛金の額又は同項第三号に規定する新生命保険料の金額、旧生命保険料の金額、介護医療保険料の金額、新個人年金保険料の金額、旧個人年金保険料の金額若しくは地震保険料の金額につき、これらの支払をした旨を証する書類を提出し、又は提示しなければならない。3 第一項の規定による申告書は、給与所得者の保険料控除申告書という。