30.11.20 裁判傍聴マニアのわたしは、本日も東京地方裁判所へ。
お目当ての裁判を傍聴した後は、気まぐれに事件を傍聴することがあるよ。今回は仲間と一緒に裁判傍聴。
なんと!推定国選弁護人が、被告人のために「異議あり!」と言った!
今回の傍聴事件は万引き事件。第1回目。
検察官が概要を説明するため、被告人に前科があることも分かってしまうのであるが、見た目は小さなおじさんで、善良そうに見える。裁判長に対してとても丁重であるが、権威にヘイコラすれば何とかなると思っている人は信用できないので厳しい目で見守るわたし。
ボロいスウェットを来ていて、お金がなさそう。
弁護士さんは色白で細く、芸人のスーパーマラドーナの田中みたいな人。
総じて、弁護士業界のスーパーマラドーナ田中率は高いです。
今回の弁護士さんにオーラもなく(ごめん!)、検察の話を先に聞く。
何か分からないけど、弁護士さんが個別の証拠を提出したいと言い、検察官が「え、ヤダ」というくだり、裁判官が「んー、ちょっと考えさせて」というくだりなどがあったわ。証拠をダメって、そういうことがあるのね!
裁判の世界では、弁論主義というらしく、証拠はあくまでも脇役なんだってさ~。
この辺りから、弁護士のやる気の雰囲気を感じたけれども、まぁ、国選弁護人(と、勝手に私が決めつけた)だから、お金を積まれた案件と違って本気を出したりしないんだろうな~、カネですよ、と思いつつ見る。
証人喚問が行われ、被告人の親族が証言台に立ち。弁護士が組み立てたんだろうなと思う質問が行われた。あれ、わたしが思っていた消化試合案件と違うぞ。
ちょっと、自分だったら思わないことを話していたりして。
さっきは被告に対して「丁重な感じだけど、前科があるし、悪いわぁ~」と思っていたけれども、弁護士の話を聞いていると「親族かわいそう。そのように立ち直るのであれば、信頼してもよいのでは」と思ってくる。
検察官が親族に質問し、「前科があるよね。前回もあなたがついていると言っていませんでしたか」と言う。親族かわいそう。
被告人の罪の話なのに、親族が責められるの?扶養義務とはなにか。(弁護士さんに聞いたら、弁護士の作戦だと思う、親族に罪はないんだよ、と教えてもらった)
検察官は、計画的な犯罪で再犯率が高いと結論付ける質問を親族に行う。わたしはそれを聞いていて、「あらら。かわいそうと思ったけれども、騙されそうだったわ」と思っていると、
弁護士「異議あり。その質問は本件と関係ありません」
!!
傍聴席「ざわ・・・・」
いただきました、弁護士のリアル「異議あり!」
や~いいもん見た。ドヤ感がなかったのも、リアルでよかった。
* * *
後日、ほかの弁護士にいいもん見たよ、感動したよ!と言ったら、「認否が無ければやるよ」と言われ、国選弁護人かどうかは関係ないらしい。
いや、そんなことないでしょ。手抜きしてるのって聞いてても感じるもん。
ま、現役の弁護士は他の事件の傍聴なんてしないから、きちんとやっている弁護士からすれば、当たり前なのかもねえ~。
* * *
検察側の話を聞けば「悪いなぁ」と思い、弁護士の話を聞けば「かわいそうだなぁ」と思う。感情論で有罪・無罪を決めてはならぬと日ごろから思っているのに、自分が流されてることに気が付く。
人がいて、感情のぶつかり合いの落としどころが必要だから法律があるとすれば、単純に条文を縦読みすればいいわけではない。
この考え方であればオールOKという道しるべが裁判傍聴で分かるものかと思いきや、裁判傍聴に来るたびに方向感覚が鈍化していく気がするわぁ。
自分の道しるべがなければ、「異議あり」とも言えない。探ってるだけ、以前の自分よりマシなのかもしれない。