グ妹からの挑戦状~給与と支払調書~

31.2.20 グ妹は税金の素人ゆえ、変なことを聞いてくる。給与の源泉徴収票と報酬の支払調書の違いについて説明を求められたら、どうしましょう。

なお、会話はフィクションです。

結論:ざっくり言うと、報酬の支払調書が届いたら事業所得か雑所得で税務申告しなくてはならぬ、と思ってくれればよい。年間の金額が少ないと、申告しなくてもいい場合もある。

 

グ妹「支払調書が届いたんだ。青色申告をする」

わたし「がんばれ」

グ妹「面倒くさいから、青色申告をやめて給与所得にする」

わたし「それはならぬ。ダメだ」

グ妹「なんでだ!源泉徴収されている!」

わたし「給与と報酬は、税金計算の担当が違う

グ妹「給与だったら計算が簡単だ、節税になるから支払調書を給与で申告したい」

わたし「ならぬ!勝手に変えるな」

グ妹「ム!勝手に変えて申告したらどうなる?」

わたし「違反だ!税務署から”なにやってんだ!真面目にやれ!やり直せ!”とめちゃ怒られる。場合によっては本来払うべき税金のほかに罰金がかかる。事務手続きの負担という罰ゲームもついてくる。無益なことはヤメロぉ。」

グ妹「わかった。給与の源泉徴収票と支払調書の源泉徴収票は何が違うんだ?」

いま、それ聞く!?

わたし「給与は雇用契約に基づいている、支払調書は報酬だから請負契約などに基づいている」

グ妹「は?」

わたし「従業員か、そうじゃないかで分かれている。」

グ妹「じゃあ従業員になる」

わたし「それは取引先と決めることであるから、グ妹が勝手には変えられない。支払調書が届いているのであるから、事業所得か雑所得で処理をする。それに、過去は変えられない」

グ妹「従業員だったときは税務署に申告していないけどバレなかった」

わたし「それは給与の源泉徴収がされているから申告する必要がなかった。給与でも所得は筒抜けであるから安心して大丈夫」

グ妹「支払調書でも源泉徴収されているから申告しなくてもいいんじゃないか」

わたし「給与と報酬は、税金の計算方法が違う。その金額の支払調書を受け取っているなら申告が必要になる」

グ妹「税金還付だから申告しなくていい」

わたし「違う、その金額だと、還付でも申告するんだよ。グ妹は事業主だから」

グ妹「事業主ってなに」

わたし「・・・事業主は自営業ってこと。」

グ妹「自営業の届出を出していないからセーフ」

わたし「そういう問題じゃない。普通はみんな申告をするが給与と年金だけの人は申告する能力がないとされる特例で申告していない、と思ってくれたらよい」

グ妹「事業主は面倒くさいな。けど、自分で選べないなら仕方がない。青色申告をがんばる」

わたし「エライ!がんばれ」

グ妹「携帯代は経費になる?」

わたし「仕事で使っている分は経費になる」

グ妹「例えば、1万円払ったらいくらを経費にしてよい?」

わたし「それは使用の頻度などによって割合を決める」

グ妹「その割合を聞きたい」

わたし「それは自分で決める」

グ妹「さっき、勝手に決めるなと言われた」

わたし「さっきの給与と支払調書の違いの話と、経費計上割合の話は違う!」

グ妹「(混乱)」

グ妹「話を変えたい。国民健康保険料は経費になる?」

わたし「決算書の経費ではなくて、全体の所得を減らす”所得控除”になる。報酬の支払調書の計算とは違うところで活躍する」

グ妹「むずかしい」

わたし「現金で支払った国民健康保険料だと、グ妹の夫の方の所得控除にすることが出来る」

グ妹「さっき、”自分で選ぶな”と言ってたけど?姉って自分の言ってることの意味わかってる?」

わたし「さっきの給与と報酬の話と、所得控除の話は違う!!」

グ妹「とりあえずもういい」

妹からの挑戦状。どう言えばグ妹に伝わったのかしらん?

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。