2019.8.18 消費税は2019年10月1日から、これまでの消費税率8%から10%へ上がります!一定のものは、当面の間は8%のままにしていいよ、という「経過措置」があります。いわいる「節税」だよね!
お店や事務所など、消費税がかかっている家賃は、10月1日から10%なのでしょうか。
1、店舗等家賃は経過措置は稀!?
「小野寺さんに教えてあげるね。店舗などの賃料の多くは、経過措置の適用がないよ。かくかくしかじか。」
と、お友達に教えてもらい。
調べました!(が、なんと「改正法附則」の法律に辿り着けず、まだ未読・・・・。)
ほんとだぁ~。多くの場合、店舗等家賃は経過措置がないようです。(しかし、諦めない気持ちも大事!)
だから、結論としては、10月利用分の店舗等家賃から消費税10%となる場合が多い!ということ。
2、あるべき経過措置を考える
結果はそうでも、私は気持ちの上では違うと思います!これは私の勝手な解釈であり、あるべき税制を考えているだけだから誤解なさいませぬよう。
さて。
店舗などの消費税がかかる家賃については、経過措置の適用をすべきよね。(多くはNGのようだけど)
経過措置の制度趣旨を考えるに、「準備期間が必要だよね!3月31日の時点で継続的な契約をしてたのなら、消費税は8%としとく」ってことだよね。
だから、店舗等家賃は、2019年3月31日の時点で契約期間がまだまだある場合(ちゃんと決まりがある)には、次の契約更新までは経過措置を適用して8%とすべきではないか。リース取引みたいなもんでしょ?
そして、店舗等家賃の場合、意訳ですが、貸付期間と家賃の額が決まっている&家賃の額を変更を求めないと定めていれば、経過措置があり!(国税庁HP 消費税の経過措置 具体的事例編。最後に引用文あり) → https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf
よっしゃ~♪という期待をもって店舗等家賃の契約書を見てみましょう。
店舗等家賃の多くは、契約書に「賃料が不相当となった場合には話し合いで家賃を増減できます」って書いてるのが多いんだって!不動産鑑定士さんのブログにも書いてあったよ。→ http://www.umeda-kantei.co.jp/column/blog/121/
ところで、なぜそんな「不相当になったら家賃増減」を書くことがスタンダードなのか、を考える。
借地借家法で「賃料が不相当になったら追加の賃料を請求できる」っていう決まりがあるんだって。(借地借家法 記事の最後に引用文あり) → https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=403AC0000000090#D
わざわざ「賃料が不相当になったら話し合って家賃の額を増減しましょうね」ってわざわざ契約書に書いているってだけでしょ?そして、借地借家法があるのに、契約書にわざわざ「どんなことがあっても当該対価の額の変更を求めません」て記載する大家が多数派であるか?答えはNOであるぅ!
「賃料不相当で家賃の額増減」が、果たして「事業主が対価を変更できる」と解釈してよいものか?
法律は、「消費税が上がったら家賃の支払額も増税分アップ」は経過措置の適用判定上では対価を変更できるとは解釈していない。それは、事業主のワガママではないから、かな。
では、「賃料が不相当になったら」という借地借家法の適用を丸写ししただけの契約書って、果たして事業主のワガママで家賃増額と考えるのか、という疑問。
家賃の経過措置に関するQ&Aや経過措置の基本通達を読んだ私の考えを述べていいですか?店舗家賃等の経過措置は、最初の段階ではOKだったのではないか。そして土壇場になって、「こういう節税スキーム考えそうだから、この条項いれとこ」みたいなノリが出来たのではないかと。
こうして、「事業者が事情の変更等により家賃の額を変更を求めることが出来る場合には経過措置なし(意訳)」となってしまったのではないか!と。
具体的事例編の問30の「該当しないこととなります」って歯切れが悪いんだよ!そして通達の18と19を見てよ。通達のほうがまとも。
つまり、問30は、何らかの前提(事業主のワガママ)をもって書いているのではないかと。そして通達の方では職員に対して経過措置の根本の考え方を書いているんじゃないかと。
・・・・結論として、店舗等家賃の経過措置がないのはしょうがないよね。私がそんなむきになることはない。分かっているよ!けど、こんな経過措置、おかしいじゃないか!
まずは、改正法附則の条文を探さなくては。バッチリ書いてあったりして・・・。
3、根拠資料集
国税庁HP。経過措置に関するQ&A 「基本的考え方」問28を参照。→ http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf
26 年指定日(平成 25 年 10 月1日)から 31 年指定日の前日(平成 31 年3月 31 日)まで
の間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、31 年施行日(平成 31 年 10 月1日)前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が次の「①及び②」又は「①及び③」に掲げる要件に該当するときは、31 年施行日以後に行う当該資産の貸付けについては、
旧税率(8%)が適用されます(改正法附則5④、16①、改
正令附則4⑥)。① 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
② 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
③ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当
該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が 100 分の 90 以上であるように当該契約において定められていること。
同じく国税庁HPから。経過措置に関するQ&A 「具体的事例編」問30あたり→ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf
( 「協議により同意があった場合に対価を変更することができる」旨の定め)
問30 資産の貸付けの税率等に関する経過措置の要件に、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」とありますが、契約書等に「賃貸人は賃借人と協議の上、もしくは、賃借人の同意が得られた場合に変更できる」と定めている場合、この要件に該当しますか。
【答】
資産の貸付けの税率等に関する経過措置の適用要件の1つとして、「対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」とされています(改正法附則5④二、16①) 。
照会の場合には、賃借人の同意を得られることを条件としていても、事業者が対価の変更を求めることができる旨の定めがあることとなり、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」の要件に該当しないこととなります
国税庁HP、消費税の基本通達 資産の継続貸付は 16~19 → http://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/141027/kaisei.htm
(事情変更等による建物の貸付けに係る対価の変更)
18 建物の賃貸借については借地借家法(平成3年法律第90号)が適用され、同法第32条《借賃増減請求権》の規定により、事情変更があった場合には賃料の増減請求をすることができるのであるが、建物の賃貸借に係る契約において、賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減することができる旨の定めがないときは、その契約は改正法附則第16条第1項《第3条の規定による消費税法の一部改正に伴う税率等に関する経過措置》において準用する改正法附則第5条第4項第2号《資産の貸付けの税率等に関する経過措置の要件》に該当することに留意する。
(正当な理由による対価の増減)
19 資産の貸付けが改正法附則第16条第1項《第3条の規定による消費税法の一部改正に伴う税率等に関する経過措置》において準用する改正法附則第5条第4項ただし書《対価の変更があった場合の経過措置の不適用》に該当することとなった場合には、対価を変更した後の資産の貸付けについて同項本文の規定を適用することができないのであるが、その対価の変更が、例えば、賃貸人が修繕義務を履行しないことにより行われたものであるなど正当な理由に基づくものである場合には、その対価の変更につき同項ただし書を適用しないものとする。
借地借家法の32条。e-govより→ https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=403AC0000000090#D
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、
当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。