2019.8 税金の世界では、効率性よりも公平性が重視されます。税金は、租税法律主義といって、国民感情よりも法律が優先されるのです。
この頃は、税金が政治家の人気取りに税制が利用されている危惧感を覚えます。
純粋な支援金という寄付を、ふるさと納税にするなど、愚の骨頂です。
1、租税法律主義 美人にも課税
たとえば、「あいつが気に入らない」としても、ぶっちゃダメ。
だから、カワイイ子には税金を安くして、可愛くないヤツには多く税金をかける、ということは許されないの。
だけど、可哀想な子には税金を安くしていい。その代りに、「どういう状況が可哀想な子であるか」について、法律でビッチリ決めているのです。
税金の世界では、主観により左右されないように法律で細かく決めているのです。
2、合理的な区別もあるけど
合理的な区別、という言葉を使われることがある。
大企業には税金を高くしようとか、中小企業には税金を安くしようとか、まぁそういうこと。
大企業は、潤沢な資金を研究開発費にまわすことができたり、従業員にボーナスを払える資金力がある。研究開発や給料をアップした場合には、法人税等の税制特例を受けることができる。まぁ、大企業への減税だったりするのよ。
中小企業は、法人税率を低くしたり、欠損金(前年以前の損失)を繰り越せたり、と様々な優遇制度が設けられている。まぁ、これも差別といえば差別かもだけど、「可哀想な子」には税金を安くする、という考え方なら納得するんじゃない。
ところで、特定の業種に対する税制優遇は慎重になるべきよね。例えば、税理士には税金をかけない、なんて不公平でしょ。
でも例外もある。私の研究対象の農地の場合、食べ物がないと国民が飢え死にするので、農地税制は必要。農地税制は、税制優遇とは言えないんだよ、束縛が多すぎて。
このような、合理的区別という余地はあるものの、それは特定の企業に対する税制優遇は許される、という意味ではない。
3、犯罪被害者への支援がふるさと納税?アホか
事情は分かる。国民感情から特定の企業に対する税制優遇したいニーズも分かる。
天災なら税制特例の適用で、人災なら税制特例の適用がない。
「みんなに人気がある人災による被災した一般法人」への寄附を「ふるさと納税扱い」にするのはおかしいのではないか?
義援金を受け取る法人の課税の免除特例であればまだ理解できるけど。(租税法律主義だから、法律をどう作るのだ?人災による被災だからOKとするなら、今回の人災以外の人災も救済すべきだよね。政治家の人気取りなら許さんぞ)
結論。
寄付を行った側へ税制優遇すべきではない。
4、ファンの気持ちを分かってない
今回の義援金を寄付金控除の対象には、すべきではないね。
義援金を行った人は、見返りを求めずに寄付したんだよ。20億円以上集まったようだけれども、それは善意!
ふるさと納税と同じ扱いにするということは、よかれと思って寄付をした人に、寄付をした金額とほぼ同額の税が戻ってくる。
それって寄附じゃないよね!
それって寄付じゃないよね!
ファンの方々のお気持ちを踏みにじっているよね!
多分、寄付した人たちは、「税制特例を受けられそうだから寄附しとく」な人たちじゃないよね!彼らは望んでいない。けど、制度がつくられれば(ふるさと納税対象になれば)当然に税の還付を受けるだろう。(てか、受けるべき)
税の還付を受ける寄付金(税の前払い扱い)は、果たして寄付をした人たちの本意なのかしら。
集まった20億円がふるさと納税対象ということは、税収が20億円減少するので、皆様のご好意は単なる税金の前払いとなり、好意でもなんでもなくなるよ。
単なる、国・地方自治体からの支援というだけ。
当初は、純粋な「国民からの暖かい支援」ですよ。
支援金をふるさと納税対象にすれば、その「心遣い」は「節税のための振込み」に形を変える。
そんなことが、あっていいのか?
ふるさと納税扱いにして、自己負担がほぼ無しで被災法人にお金が集まる仕組みなら、単純にそれは国・地方自治体からの被災法人への援助です。
ふるさと納税扱いにするのはやめるんだ。ファンからの純粋な支援とするべき。