税制調査会 佐藤委員の意見@給付のための所得税申告

2020.8.15 税制調査会(2020.8.5開催)にて発言があった、「佐藤意見」について考えてみます。

引用は、私の書き起こしメモより。(意訳や省略もあり、発言内容の復元ではないです)

1,コロナ増税につて

佐藤委員は、コロナ増税は必要と考えているものの、消費税増税には否定的なようです。

他の委員さんの意見に、「消費税は逆進性があるため、消費税増税をすると低所得者の負担が増えるから良くない」という意見があったので、重複意見は省略されたように思いますわ。

コロナ増税は、消費税増税すると超簡単なんだけどね。税収は簡単に増やせばいいという問題ではない。

佐藤委員は、コロナ増税は環境税・金融取引税・金融課税・法人課税がよいのでは、とのことです。

おのでら個人的には、ベーシックインカムの考え方を導入の上、マイナンバーを活用した財産税がいいのではと思いますわ。みんな、お金をつかうでしょ。

★「佐藤委員」一橋大学大学院経済学研究科、国際・公共政策大学院教授

1,コロナ禍における財源について

平時の社会補償のための財源と災害のため財政とは切り離して考えた方がいい。

消費税は平時のための財源である

コロナの経済対策への財源確保は、(中略)諸富委員からもご発言があった環境税。金融取引課税、金融課税、法人課税の適正化という観点からデジタル課税。

2,個人所得課税について

びっくりする意見!

①年末調整はオワコン!?

なんと、「年末調整は時代遅れ」とバッサリ!いや~。でも確定申告は一般ピープルには難しいよ?

佐藤委員は、「確定申告を簡単にすればいい」と、所得区分の簡素化を提言。神津税理士会会長の意見、給与所得控除・公的年金等控除などの控除を基礎控除へ一本化すべきだの意見もありましたねぇ~。

②事業所得の概算控除制度を妄想

事業所得の概算控除制度、いいと思います。消費税の簡易課税みたいに、みなし概算経費を認めるのはイイと思うわ。例えば、売上げの○%、一ヶ月一律○○万円、など。記帳した方が有利になるような概算経費がいい。業種で分けてもいいけど、かえって分かりにくくなるかもね。

③住民税の現年課税を!

住民税の現年課税にも言及。ほんと、そうだよ。ひとは、有り金は使っちゃうんだよ!宵越しのカネは持たないの!

わたし、税理士になったとき、古くからの先輩に言われた。「去年仕事を辞めたら、求職中なのにどさっと住民税の請求が来たの。ちゃんと納税はするよ、けどこっちの事情を考えてくれないよ。美奈、制度を変えなさい」なので、わたしは住民税の現年課税を毎年、税理士会に意見提出しております~!

ついでに住民税の特別徴収もなくそう。

 

2,所得税について

源泉徴収と年末調整で終わる関係は時代遅れ。雇用の多様化、副業の時代。多くの人が確定申告が必要な時代が来る。10種類の所得区分が多すぎるし簡素にすべき。判別(事業・給与・雑)が分かりにくい。事業所得の概算控除制度。プラットフォーム業者に源泉徴収義務をつくるすべき。(いいね)

住民税について

前年所得課税になっているが、収入不安定な人は、今年仕事がなくなると納税資金がない。現年所得課税にすべきだ。国と地方で合わせて徴収という意味も含めている。(サトーさん、それな!それそれ!)

3,給付のための所得税申告

佐藤委員の発想にびっくりする。

・所得補足の目的を再検討

税務申告は、納税額を計算するためにすると思っている私ですが。違ってもいいんじゃないかと、佐藤委員は言うのです!

「金持ちが納税するための税務申告という確定申告の役割だけでなく、正しく給付を受けるための所得税の確定申告という考えがあってもよいのでは」

びっくりするねー!

所得控除が当年の所得から差し引けなければ、給付する、みたいな?それとも、繰り戻し還付のように、前年以前数年前までの納税額を還付するみたいな?

給付を受けるための所得税確定申告、なんて、考えもしなかったよ、おもしろい!

・住民税申告について

個人住民税の申告について言及しておきます。影が薄いけど、前年所得が33万円を超える人は、住民税申告が必要です。

ただし、次の場合には住民税申告をしなくていいです。①確定申告をした人②給与所得者で給与支払報告書が提出されている人(どうやって給与所得者がそれを知るんだろう?)③年金支払者が公的年金等の源泉徴収票を提出している人(所得控除に追加がある人は住民税申告をしなければ所得控除が反映されません)

・おのでら意見まとめ

上記を踏まえ、おのでらは、「源泉徴収は会社が行う。扶養控除当申告書は廃止する。年末調整は地方自治体が行う。住民税は現年課税として(国税と合わせて)源泉徴収をする。」という意見でありますっ!

3,税と給付の一体化

縦割り行政だ。困っている人に手が届かない。

負の所得税があってもいい。所得が下がったら補償する仕組み。給付付き税額控除、それがイヤなら社会保険との通算をするなど、なにかする。そのためにも所得補足の考え方を変えるべき。(金持ちの)納税のための所得補足だったが、給付の適正化のための所得申告になるのがいい。(サトーさんすごいな!それ、すごくいいね!一応、住民税申告がその役割を担っているんだけどね!)

所得税には再分配機能があると言われている。所得税の保険機能を強化するのもいいと思う。(考えたことなかった)

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。