2020.8.23
事業上の取引相手からの債務免除益は、事業所得か不動産所得かと思いきや、本件はなんと一時所得にも該当という!!(特殊なケース)
所得区分って、「勘定科目」で思いこんじゃいけないんですねぇ~。
所得税法の税理士試験では、競馬の理論が出たというので私も裁判所の判例から学んでみたいと思います。(競馬の理論も、所得区分を考えさせる問題だったようです)
※8/26追記
・判例は試験に関係ない
税理士試験の受験生だったころ、わたしは判例など一度も読みません。ベースの税法勉強だけしていたよ。判例から税法を読むのは順番が逆だと思いますから、税法を読み込むのが合格の早道だと思いますわ。個別の状況を想定した通達や判例って試験で役に立たないと思う。どう判断しているのかが問われるんだと思うけどね。
そういうの分からない人が、「自分が合格しなかったのは試験問題が悪いから」と言っちゃうんだろうね。他の誰かは合格してるんだから、ブツクサと文句を言ったらまた受験勉強に戻りましょう。
条文をひたすら暗記し、税法用語を使って(自分なりにでも)理論を書けた試験で合格したわたしがいうので、間違いありません!運ゲームではありません、諦めずに暗記をしましょう!(暗記の向こう側があります)
失礼、説教ぽくなっちゃって・・・。さまざまな障壁がありましたが税理士試験の受験、お疲れさまでした。
・判例の全文URL
さて、今回の判例。不動産経営等も行う農家さんは、さまざまありまして農協から債務免除された。
その債務免除益のうち、多くが一時所得になった事例。なんだか、見ちゃいけないものを見てしまった気もします。色々あるのね。
ご興味とお時間がある方は判例の全文を読んでね!56ページもある!(東京地方裁判所:林俊之裁判長)
裁判所判例データベースより 平成30年4月19日判決言い渡し 所得税更正処分等取り消し請求事件→ https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/350/088350_hanrei.pdf
概要については、こちらにまとまっています。TabisLand。もしかしたら有名な判決だったのかも?(税のしるべとかにも出ていたかもね)→ https://www.tabisland.ne.jp/news/tax/2019/0409.html
・所得区分はアツい!判断基準は
今回の判例を読むと、所得区分も争点になっている。
なにをもって所得区分の判断基準とするのかということが良く分かる判例でしたわ。
裁判になるまでには、相当深くまで情報収集されている。そのため、申告時には全然分からなかった事実(申告に関係すると思わなかった事実)がどんどん出てきて。
その事実を1つ1つ丁寧に整理している。裁判所、すごいな。こんなの、全部の申告でやってたら数年かかる。複雑な案件は、時間を割いてヒアリングするけれども、限界があるよね。
裁判所は事実認定をしながら、債務免除益の中身を精査し、「この免除益は事業所得ね。この免除益は不動産所得ね。この免除益はそれ以外ね」と、ラベルを貼っていく。
最後に、「課税庁は雑所得だと言い換えたけど、納税者の言うように一時所得だ。なぜならば、非対価性要件と非継続性要件があるから」と結論付け、
こうして債務免除益は、事業所得・不動産所得・一時所得にカテゴライズされたのでした。
なるほど。(納得しますけど、課税庁の主張通り雑所得もありえたと思う)
・税理士の存在
ちなみに、今回の納税者さんの農家さんには顧問税理士がいます。
税理士が「事業所得・不動産所得です」という陳述は、裁判で否定されています。「税理士の把握する資料は不十分。納税者がしっかり把握していないのが悪い」でバッサリ。
あ!助かる!ありがとうございます!
一般の方って、税理士はエスパーだと思っているから、日付と金額を記入したエクセルデータさえ渡せば申告書が出来上がると思っているんですよぅ。そんなわけないでしょ~。