2021・2.1 東京都から支払業務を委託した某社が、税理士等に対して支払調書を発行し。その記載が誤っていると、インターネット上で一部の税理士さんたちがアレコレ言う。
こんなにガタガタ言われるなら、もう専門家(特に税理士)に支払調書など渡すのをやめたくなるよね~。
まぁでも、専門家って専門分野について言いたいものですから、ご担当者は気にしないでね。
さて。支払調書の話をします。
税理士事務所には、「今回、社労士さんや弁護士さんに臨時にお仕事を依頼して、源泉徴収をした。先生方に交付する支払調書について~」という質問が寄せられます。
支払調書を本人交付義務があるのか。所得税法上は支払調書の本人交付義務がないです。
ですが、先方にも事情がありますから、親切で交付して差し上げましょう。ガタガタ言われたら、来年から支払調書の本人交付は取りやめを検討しましょう。
★発行側の方は、「親切でやってるんだ!」という言い方をしてはいけません。「いつもありがとうございます。支払調書、送付させていただきます。引き続き(又は今後とも)、よろしくお願いいたします」と思い、言い(書き)ます。不思議と、そういう思いは伝わるものです。
★受け取り側の私は、「ご丁寧に、ありがとうございます、助かります。源泉徴収事務のお手続き、感謝致します。本年も引き続きどうかよろしくお願いいたします、なにとぞ」と思って受け取っております。
国税庁HPに記載があります。おのでらが下線を引きました。
国税庁HPより 法定調書に関するFAQ → https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm
(3) 法定調書関係(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)
Q3-1 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の写しを、本人に交付する場合には、マイナンバー(個人番号)及び法人番号を当該調書に記載してもよいですか。(平成28年11月29日更新)
(答)
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、所得税法上、本人に交付する義務がないため、報酬等の支払調書の写しを本人に交付する場合には、番号法上の特定個人情報の提供制限を受けることとなることから、マイナンバー(個人番号)を記載することはできません。
フリーランスの中には、給与所得者と意識が同じの方がいて、「支払調書がなければ確定申告できない!」という人がいますが、それは誤りです。
請求書を出している(という建前)のであるから、1年分の売上額は把握できるはずだし、源泉所得税も把握できるはずです。
青色申告会などで、「ご自分で把握していないのであれば、支払調書の金額に合わせたらどうですか?持ってきてください」と言われるからかもしれませんが、
支払調書が当然にもらえるものと思うのは違います。
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フリーランスは従業員とは違います。
そして、支払調書は現金主義なので、請求書ベースできちんと記帳していると、数字がズレたりします。
それに目くじらをたてて、「間違えたから再発行しろ!なにやってんだ!」と騒ぐ人がいます。
仕事は協力し合って行います。それが組織です。
ましてや、支払調書を発行している先方は、税務事務負担をしてくれています。当たり前の自分の権利と思い込んで主張するのは勝手ですが、相手にも事情があり、限られた時間内でろくに研修もないまま(場合によっては派遣や新人が)行っていることもあるので、
やんわりと言うとか。(あの~実は名前・住所が間違えてます~や、金額が1桁違う気がします~など)しましょう!
たくさんの事業主さんと契約していると、ミスもあるものです。そういった事務負担回避のため、個人事業主とは契約しないという流れも出てくるかもしれないですね。
下請け先・外注先が税務や会計事務がだらしないと、仕事の依頼者側にも不利益が発生します。インボイスも始まるし、テキトーだった方は事務をきちんとしていきましょう。仕事を切られます。
なお、先方が作成した支払調書と自分で申告した売上・源泉所得税が不一致だとしても、正しく申告すれば大丈夫ですよ!(給与の源泉徴収票とは性質が異なります)
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ついでにマイナンバーについて。
支払調書に記載するマイナンバーは不明だったらしょうがないです。大家さんにマイナンバーを聞いて本人確認なんて、なかなか出来ないですしね・・・・。
士業でも、弁護士さんは危険な仕事もあるので、マイナンバーを教えたがらないと思います。(住所が分かってしまいます)
マイナンバーは「教えてください。義務ですから」とは説明をし、それでも拒否されたら「○月〇日にマイナンバー提出をお願いしたけど拒否された」旨をどこか(日記帳レベルでOK)に記録しておき、空欄で提出してください~!罰則はありません。
分かりにくいですが、そういう運用になっております!
(国税庁HP 前述と同様)→ https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm
Q1-2 従業員や講演料等の支払先等からマイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合、どのように対応すればよいですか。(平成30年4月27日更新)
(答)
法定調書の作成などに際し、従業員等からマイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合でも、安易に法定調書等にマイナンバー(個人番号)を記載しないで税務署等に書類を提出せず、従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。従業員等との間でマイナンバー(個人番号)の提供の有無を判別できますので、特定個人情報保護の観点からも経過等の記録を行うことが望ましいものと考えられます。
なお、税務署では、社会保障・税番号<マイナンバー>制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも書類を収受することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることから、今後の法定調書の作成などのために、今回マイナンバー(個人番号)の提供を受けられなかった方に対して、引き続きマイナンバーの提供を求めていただきますようお願いします。
(注) マイナンバー(個人番号)の提供を受けられない場合における、「提供を求めた経過等の記録、保存」は法令上の義務ではありません。「いつ提供を求め、その結果として提供を受けられなかった事実」を事後的に明らかにすることが可能であればよく、提供を受けることができなかった個別の事情までは記録する必要はありません。