国税の自主的 予納制度 納税資金確保のために。

2021.3.31 資金繰りに余裕があり、通帳にあると使っちゃうから早めに税金を納税しておきたいというニーズは意外とあります!(特に譲渡所得)

あらかじめ国税を預けておける制度があります!確定税額に充当します。けど、確定申告まで還付しませんという制度なので注意。

国税通則法59条(国税の予納額の還付の特例)という法律があります。

「間違えて多く中間納税・予定納税しても、確定申告が終わるまで返金しません」と書いてあります。

1,国通法56条57条 還付・充当

国通法59条は「特例」。まずは原則の還付・充当について調べてみます!
本来の還付の取り扱いは国通法56条(還付)国通法57条(充当)に記載があります。ざっくり言いますと、
「国税の還付があった場合には、還付します。けど、未納の延滞税&利子税・国税本税に順番に充当します。勝手にします。後からお知らせだけする」

と書いてあります。

そして、還付には特例があります!今回の話題、国通法59条が、還付の特例。

2,国通法59条 国税の予納額の還付の特例

(国税の予納額の還付の特例)

第五十九条 納税者は、次に掲げる国税として納付する旨を税務署長に申し出て納付した金額があるときは、その還付を請求することができない。

一 納付すべき税額の確定した国税で、その納期が到来していないもの
二 最近において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる国税
2 前項の規定に該当する納付があつた場合において、その納付に係る国税の全部又は一部につき国税に関する法律の改正その他の理由によりその納付の必要がないこととなつたときは、その時に国税に係る過誤納があつたものとみなして、前三条の規定を適用する。

3,国通法59条 通達

通達もあった!国税庁HPより 国通法59条 国税の予納額の還付の特例 → https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/05/01/59.htm

(最近)

1 この条第1項第2号の「最近」とは、おおむね6月以内をいうものとする。

 ただし、同号の国税が通則法第17条第2項(期限内申告)に規定する期限内申告書において納付すべき税額の確定することが確実であると認められる場合は、おおむね12月以内をいうものとする。

(過誤納があったものとみなす日)

2 次に掲げる場合には、それぞれに掲げる日に過誤納があったものとみなして還付する。

(1) 予納の目的となった国税が、法律の改正により直接納付の必要がないこととなった場合その法律の施行日

(2) 予納の目的となった国税が税務署長等の処分により減額された場合その処分にかかる通知を発した日

(3) 予納の目的となった国税につき税額の確定手続が行なわれた場合またはその手続が行なわれないことが明らかになった場合その手続が行なわれた日またはその手続が行なわれないことが明らかになった日

(国税の確定予定日を経過した後における予納の取扱い)

3 予納の目的となったこの条第1項第2号に規定する国税が、その申出にかかる国税の確定予定日を経過しても確定しないときは、税務署長等において、その確定が確実であると認められるものを除き、その確定予定日を経過した日に過誤納があったものとして取り扱う。

4,他の観点から

4-1 学術的観点。プロ向け。

国通法59条の特例は、修正申告がある場合を想定して作られているようです。裁判の判例はいくつもあるようです~。租税法務学会の研究発表もありました。

納付された税額が国税通則法 59 条 1 項 2 号に該当せず、適法な納付と認められないとされた事例(東京地裁平成 28 年 10 月 28 日判決) 平成30年、茂垣先生のご研究 PDF(プロ向け)→ http://sozeihoumu.org/pic/qa/bn1525787768.pdf

4-2 納税資金の観点

「国税の予納(自主的)」について、美容室専門(かな?)の税理士さんのブログが読みやすいです。消費税の納税資金確保の観点から書かれてます!(萩原健二税理士事務所HPより)→ https://simple-tax.jp/2015/12/09/tax-measures/

4-3 税務署の管理運営部門の観点

平成31年4月1日からはサービス開始(サービスなの?)のダイレクト納付を利用した予納が始まっています。

(国税庁HP)予納制度を利用した納税のご案内 → https://www.nta.go.jp/about/organization/hiroshima/topics/annai/yonouseido.htm

1 予納制度とは

予納とは、調査等により近日中(おおむね6か月以内)に納付すべき税額の確定が見込まれる場合に、修正申告書等を提出する前であっても、その納付すべき税額の見込金額を、税務署長に申し出て、あらかじめ納付(予納)することができる制度です。

※ 期限内申告書においては、おおむね12か月以内に納付すべき税額が確定することが確実な国税について、あらかじめ税務署長に申し出ることで予納することができます。

※ 予納した場合には、予納の目的となる申告書等の提出を行う前(納期限前)に、その還付を求めることはできませんのでご注意ください。
 (国税通則法第59条第1項第2号、同法基本通達第59条関係1)

5,終わりに

納税資金をしっかり管理したい方、預金残高があると使っちゃう方は、任意の予納制度を利用してみてくださいね~!

けど、途中で返金してくれないので、ご利用は計画的にね!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。