政府税調 専門回会合 第8回 納税環境整備の資料 デジタル化・電子帳簿法他

2022.11 政府税調の専門会合の資料を読みます!引用が多いですが、国がしようとしていることがちょっと見えますわね。

委員の意見が特に充実している!

政府税調 専門回会合 第8回 納税環境整備 → https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/noukan/2022/4noukan8kai.html

・おのでらまとめ

議事録PDF → https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4noukan8kaigiji.pdf

課税庁はデジタル化で情報集積をしたい。(公平な税負担のためには必要という意見多い。)

預金口座は引き出して隠しても無駄。

役所間の連携はおろそか。

法定調書の範囲拡大ありえる。(零細個人事業者の提出免除特例を検討してほしいです!)

確定申告期限が4/15なるか?

税務署が情報を税務署外に提供するってことよね。記入済み申告の流れ。

個人住民税の議論あり、現年課税はまだ時間がかかりそう。

クラウド会計で何でも解決と思っている役人がいる。電子帳簿法は零細事業者はムリです、の委員の意見あり、課税庁は意見を受け止めた!いいぞ!

資料 実8-1

国税庁のデジタル化担当の説明。→ https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4noukan8kai1.pdf

現行のいわゆるKSKシステムというものがございますけれども、これを抜本的に見直し、データ中心の事務運営を可能とするために、

従来の個人・資産・法人といった部内の縦割りを廃したデータ管理を可能とするシステムをまず構築するということでございます。

えっ!KSKシステムを再構築するの?で、部内で縦割りだったの?なにやってんだよ!

コロナ対応の給付金事業などでは、前年度の納税額を確認する
ため、納税証明書の添付を求めるケースが多く、コロナ禍であるにもかかわらず、税務署の窓口に納税証明書の交付を求める申請者が殺到した

コロナ関連給付金で税務署窓口で再発行依頼がめっちゃ多かったらしく、日頃からちゃんとしてない事業主がこんなにいるものかと驚きましたねぇ~。ちゃんとしている人が報われて欲しいです。

23ページ目は、金融機関に対する照会のオンライン化の取組でございます。税務調査や資産調査等を行う際、調査対象者の取引先である金融機関に対し預貯金の残高等の照会を行う場合がございますが、これが大変な回数となっていたところでございます。2018年度の数字では、行政全体で年間6,000万件、このうち国税庁が単一の機関として600万件と、1割が国税庁からのものであったということでございます。

国税(税務署も?)がオンラインで銀行に過去10年分の預金履歴を取り寄せていたのですねぇ~。オンライン照会は有料ですが、金額は非公開のようです。

資料 実8-2

次に国通法の担当の方より説明。(実8-2)→ https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4noukan8kai2.pdf

フリーランス(個人事業主)の記帳について。あ~。全然分かってないよ。白色の人に記帳をって、かなり難しいよ。

クラウド会計で、レシート写メすれば自動仕訳出来るんだから記帳余裕っしょ、と思っているみたいだけど、まだ時間かかるよ。けど、いつかできるようになる。強制させればいいみたいな気持ちだと無理。

補助簿の非違、悪質ですね。しかしそれは帳簿組織の問題ではないです。資料せん、っていうのですか、すべてを情報把握したいのでしょうけど、監視されるのは嫌だね。

45ページ目になります。真ん中、取引・決済情報が今まで紙であったものがデジタル化されたことにより、納税者/取引先から税務当局への情報共有・活用につきましては、そのコストやタイムラグが大幅に縮減してくるだろうと考えられるところでございます。

これですよね。クラウド会計で国税がデータ集積したいんですね。決済付きインボイスもそうでしょうね。私は反対しないよ、隠したいことは無いし、なにより決済付きインボイスで請求・決済業務が簡単になるならそれに越したことは無い。

会社員とか個人事業主、年金受給者といった個々人の納税者の皆様がマイナポータルを開けて、納税者自身がその情報を開いて申告に取り込むような形で、申告または年末調整の手続をしていた
だくという形になろうかと思います。
これにつきまして、将来像といたしましては、第三者による提供データを法定調書の形でデジタルで頂き、これを事前に申告情報に直接反映するような仕組みの構築が考えられようかと思っております。このためには、中小企業を含めて法定調書等の情報のデジタル化を推進していく必要があるだろうと考えているところでございます。

マイナポ申告、いいと思います。当たり前になれば、年末調整制度が廃止になるし、良い。

法定調書の範囲拡大、いいと思うけど、零細事業主の緩和措置が必要。次のページで「零細事業主でも法定調書の電子化は70%以上」とあるけど、それは税理士が代理送信しているからです。提出していない数はカウントされていないですので。。。

資料 実8-3

総務省の説明 → https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4noukan8kai3.pdf

令和6年度分の個人住民税からは、納税義務者向けの特別徴収税額通知の電子的送付を開始予定

個人住民税の特別徴収は、いつまでも事業主に頼り切りじゃ行き詰りますよ。源泉徴収と異なり、各人ごとの自動計算ができないから、無理があるよ。私、ず~っと言ってるけど、個人住民税の特別徴収って税理士関与があんまりないのです。給与事務を行う事業主が大変なだけで、現場の苦労の声が届かないだけです。

法人県民税市民税の電子申告率が80%なのに対し、給与支払報告書の電子申告が61%。これは、給与事務を事業主が行っているため、電子申告が進まないのです。

○ 登記所から市町村への登記済通知及び市町村から登記所への価格の通知については、従来、紙媒体もしくはUSBメモリ等の電子媒体により受渡しが行われていたが、令和2年1月の法務省のシステム更改に伴い、オンラインによる受渡しが可能となった。
○ また、これまで、都道府県は、不動産取得税の課税のために市町村から登記情報を入手していたが、より効率的に登記情報を把握できるようにするため、登記所から都道府県に登記情報を電子データにより直接通知することとした。(令和4年度税制改正。令和5年4月1日施行

ひぇ~!登記所から地方自治体への情報連携が、紙・USBだっとは・・・・。

不動産取得税の納付書が届くのが半年後くらいなのは、まさかの情報連携できていないからという・・・・。ひどいな。忘れた頃に届く不動産取得税。

「デジタル化は事業主も恩恵があるからやって」は、少なくとも役所間の連携をデジタル化してから言えっての!自分たちが出来ていないくせに、なんだ!

el-tax?あれは絶望的。ぜんぜんダメ。電子申告も電子納税もしてるけど、どうしようもない。救いようがないエルタックス。

委員の意見

・土居委員

マイナポを活用し、税と社会保障のワンストップサービスについて。(おのでら:土居先生、ナイス質問!)

国税庁デジタル化の回答

社保税OSSといいますのは、民間クラウドを活用して、企業が保有する情報に対し各行政機関が参照できることにより、現在の提出に代える仕組み

ピピットリンクについて、詳しく。(おのでら:土居先生ナイス質問!)

23ページ目、ピピットリンクにつきましては、当然手数料がかかるものでございます。全ての金融機関に照会をかければ網羅的に把握することも可能ではありますけれども、基本的には対象者を指定して照会をして答えをもらう仕組みですので、網羅的に番号のように全口座に付番して、その中から検索して回答を得るというものではなく、1件ずつ照会し対象があるたびにお金がかかるという仕組み

登記所と地方自治体とのデジタル連携について。(おのでら:土居先生いいぞ!)

個人住民税だけでなく固定資産税でも住民登録外者の関係での市町村間での情報連携はオンラインでできているのかという部分につきましては、そのようなやり取りが法定されて自動的になされるものではございませんので、基本的にはこの情報についてのオンライン連携という、先ほどの19ページ目のような仕組みはない

<上記を受けて、土居委員の発言>

(おのでら:帳簿についての発言、土居先生の指摘は少なくとも中小企業に対しては現場との温度差に乖離が激しいです。政策公庫に限定して記帳指導という意見は新しいですね。)

政府税調の域を超えるとはいえ、我が国の社会保障や税制にとって極めて重要だと思うので申し上げるのですが、今、介護保険では補足給付を受けるときには銀行口座情報の提出が求められているけれども、固定資産にまつわる部分の資産の情報はなかなか入手が難しいということで、そもそも提出することを義務づけていないということで、

介護保険の方では銀行口座に財産があるということだと、それなりの経済力があるから補足給付が受けられないのに、

大きな御自宅をお持ちであると資産価値が相当ありそうだけれども、それは介護保険の補足給付を受けるときには要件に入っていないのでノーカウントになってしまっていることがあって、不公平ではないかという話もあります。

(介護保険の補足給付については分からないけど、所得だけではなく財産も含めて社会保障の範囲を検討するのは、役所のデジタル化でそうなるでしょうし、またそうあるべき方向性ですね。)

・神津委員

(おのでら:法定調書の範囲拡大、時代の流れですが零細事業主(ワンオペ事業者)が対応できるか疑問です)

法定調書の対象になっているものをまずはデジタル化していって活用していく範囲、それによって補足の有効性を御理解いただいた中で、どうしても取引額が小さくて件数が多くなると事業者の皆さんの御負担があろうかと思いますので、そういったところを御理解いただきながら、提出基準とか提出する先を見直していく
必要があるだろうと思っております。

との国通法の担当者の回答がありました。

(おのでら:給与支払報告書を出してるんだから、役所間で連携すればかなり効率化しますよネ。役所は身を削らないくせに、デジタル化とか電子申告とか言われてもね)

(おのでら:補助簿についての抵抗、いいと思います!この後、国税の担当者から反論があった。)

(おのでら:所得税の確定申告期限を4月15日に?地方自治体はデジタル化できてないから、住民税や健康保険・介護保険の計算が遅れて振り回されたくないけど、4月15日に伸ばしても困ることはないかな。)

・沼尾委員

デジタル化はいいけど、申告するに当たっての納得感を担保するような窓口での支援が必要だ。

(デジタル化で情報連携することについて)数字が正確だということがある程度見える世界にしていくというところが、ある種、公平性・正確性の担保というところで重要になってくるのかなと感じた。

国税庁デジタル化・業務改革室長
沼尾委員から非常に有益な御指摘を頂戴したかと思います。どういうふうに納税者の納得感を確保するかという点は非常に大事な点だと思います。

我々はデジタルを進めていくわけですけれども、そういうところにもきちんと配意してやっていかなければいけないと。

(おのでら:デジタル化の人、そういってくれてありがとうだよ)

それから、エラーが発生したときの責任の所在ですけれども、これは15ページ目でいろいろなチャネルからマイナポータルに入れているというところがありますが、基本的には入れる側が最後は責任を持つことにはなろうかと思います。

 

主税局税制第一課企画官
入力された情報が正しいのかといった御質問があったかと思いますけれども、まさに御指摘のとおりでございまして、他方、先ほど私からの説明にありましたけれども、
第三者から紙で来たものも、最近であれば、領収書については撮影した後、そのままクラウドで仕分けされるという形になっております。個々の取引を、デジタルを使って正確に読み取って記帳して、また集計していくということは、考え方によるのかもしれませんけれども、手でやるよりも非常に効率性と正確性が高まってくるような状況になってきているかなと思っています。

それをやるには一定のコストが必要なのではないかというところは確かにあろうかと思いますけれども、デジタル化が普及することによってそのコストも低廉化していく過程の中で、そういった正確性が高まるような手続が普及していくものだと考えているところでございます。

(おのでら:クラウド会計信者キター。数字の転記ミスが減るのはいいんだけどね。コストの低廉化、と言っている通り、納税者が事務負担出費があるってことですから、給与所得者と比較して自営業は不利ですよね。)

・田近委員

(おのでら:田近先生、いいぞ!)

税務署がマイナポに情報提供するのか、住民税の現年課税が実現できるのでは、という意見がありました。多くを引用します!

○田近特別委員
ある意味画期的ですよね。税務署から情報がマイナポータルに入ると。そうすると、給与所得の源泉徴収でも、そのほか支払調書とかでもいいのですけれども、源泉徴収されたものは税務署から直でマイナポータルに入ることになるのですか。

○国税庁デジタル化・業務改革室長
そこは検討中です。

○田近特別委員
それが入らないと記入済み申告書を作れないですよね。

○大柳国税庁デジタル化・業務改革室長
はい。なので、先ほども申し上げましたけれども、記入済み申告書を実現するためには、そういうのをどんどん増やしていく必要があるのですけれども、そのやり方ですね。どうやると、一番コストが安く、しかも大量に入るかというやり方の問題です。
例えば、民間クラウド方式ですと、クラウドに置くのにも送り手側にコストがかかります。そうすると、送り手側にコストがかかるのに、送り手側が手を挙げてやってくれない可能性がある。
○田近特別委員
私が確認したかったのは、日本の国税庁が持っている情報を納税者に提供するというのは、今までなかったわけだけれども、それを目指すというか、それもやるようにするということですね。

○国税庁デジタル化・業務改革室長
おっしゃるとおりです。

○田近特別委員
そうすれば、まさにマイナポータルに個人所得情報が入ると。
あと、年末調整も当然入るわけですね。国税庁から行くわけだから。源泉徴収を幾ら払ったか。そういった連携が難しくない。一般的な申告ならば、そこでマイナポータルで試算されたものが入ってくる、そういうイメージですよね。そこまで自動化されるのは大変な進歩だと思います。あとは手順ですよね。納税者が申告のスタートから始めてどういうふうになるか、この次の紙に納税申告の手順を付けてくれるといいなと思いました。
そうすると、ちょっと大きな話になりますけれども、給与所得以外にもプラットフォーマー等からの支払調書も入ると。

もう一つは、地方税との関係、個人住民税との関係がどうなのだろう。今言った流れでできれば、今、個人住民税は賦課徴収ですけれども、実態的には、この仕組みを通じて、今、市町村等がやっている賦課徴収のことも、ここでプログラム化されているわけだからできるじゃないかと。あとは、申告時期をずらせれば、現年課税もできるではないか。その点が質問です。

住民税の現年課税について、総務省の回答

総務省自治税務局電子化推進室長
現年課税化についてはかねてから議論があるということで、なお検討課題も多いということでございました。現在、国税の方でも所得の把握方法について実現方式の検討が必要とされておりますので、この中身が見えてこないと、なかなか簡単に可能と申し上げることはできませんけれども、大きな方向性として、今、国税がやろうとしていることの並びで個人住民税の在り方をどうするべきかということは引き続きの検討課題だと認識しております。

(おのでら:国税の所得の把握方法の実現方式?リアルタイム所得捕捉のことを指しているのかな?詳しくないけど)

・田中委員

よくデジタル化すればいいのだとか、いいソフトがあるからいいのだとか、みんな携帯を使っているからいいのだといっても、この人たちに通用するかどうか、多分しないというのが今の現場の見解です。

(おのでら:ほんとそれです)

よく、e-TaxやeLTAXの達成度が何パーセントというお話が出てきますけれども、それは必ずしも本人がやっているということではないと思うのですね。それをどうやっていくのか。(中略)
それは、一つは税理士に払えるお金をどうやって捻出するか。彼らに付与するという方法か、もしくはその他のツールを用意すればできるのか。この2つ、もしくはその間にサポートをするようなシステムを商工会議所も含めてもっと強化していくということを考えていかないと、必ずしもデジタル化では解決できないところがある

(おのでら:税理士報酬は安くないですからね。それ追求し出すと、預金残高課税ですね。)

二点目は、電子帳簿とか書類の保存についてです。これをどの程度できるのかというイメージがないですよね。(中略)

先ほど言った6割近くの人はコンピューターをやっていませんから、手書きで計算をしていますから、まずないですよね。そういう制度の利用はないと思うのです。
それから、まとめて税理士に渡して、税理士が処理して電子化をしているところもあると思うのですけれども、これに保存法はどういうふうに対応したらいいのか。税理士がタイムスタンプ機能付きのスキャナを持ってやれば、それに対応できるのか。
我々としてもまだイメージがつかめない。そんな簡単ではないなと

(おのでら:ワンオペ自営業の多くは、電子帳簿法はかなえられないですね。税理士の支援をあてにされても困ります)

地方税の現年課税についてはかなり問題があると企業側は考えていますけれども、時期の調整は別としても、一本化で申告ができるのが本来の姿であると思います

 

例えば相続税とか消費税について、このデータをどう活用しようと考えているのかというのはあまり議論をやられていない。

(おのでら:田中委員の意見も、とても重要ですネ)

主税局税制第一課企画官
電子帳簿保存法自体がもともと法人税と所得税を念頭に置いてあるところでございまして、消費税は、特に御指摘の電子取引のところについて紙保存を容認されているところでございます。

そこについては御指摘のところも承知していまして、特に零細事業者で対応できていないところについてどうしていくかというのは常々御指摘をいただいているところでございますので、引き続き見直していきたいと考えているところでございます。

(おのでら:零細事業者の電子帳簿法について、与党税調でも議論してくれましたネ。電子帳簿法の強制はならんですね。非現実的なんです)

相続税の方は、どちらかというと資産の情報になろうかと思います。資産の情報というのは、直接持っているというよりも、デジタル化ということになれば、第三者が持っている情報になろうかと思います。

資産の情報に対する提出の在り方とか、資料の証拠能力みたいなところをどういうふうにしていくかというのは、今後、添付書類みたいになっていくと思いますが、先ほど土居委員からもありましたように、イメージデータとCSVデータのような議論もあろうかと思いますけれども、添付されている情報としての正確性といいますか、信憑性をどう確保しながら進めていくのかというのはしっかり検討していく必要があるだろうと考えているところでございます。

(おのでら:デジタル化で資産把握も容易になります)

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。