架空外注費の脱税事件 弁論 貴族の遊びで脱税か?

2023.1.18 裁判所へ、脱税事件の傍聴に行ってきました~。法人税法違反。架空外注費で利益圧縮。今回は弁論です。次回、判決のようです。

12月、偶然に傍聴した脱税事件の続きです。

(関連過去記事)→ https://mina-office.com/2022/12/24/bouchou-houjinzeihou/

今回の新米らしき弁護士さんは、ジャケットは着ていました。ノーネクタイ。今回は隣にベテラン弁護士が座っていました。発言はなし。

脱税した張本人は今回はちゃんと最初からスポンジのマスクをしていました。証言台に立つ直前と直後に、ペットボトルのお茶を飲んでいた。

2億8,900万円の架空外注費計上、脱税額6,800万円ほどの脱税事件です。逋脱所得は、被告個人の投資信託やクレジットカードの支払いに充てられていた。

弁護士のアッと言わせたいプランはなんだったのか不明ですが、冒頭で「納税はすべて済ませました」を強調。

脱税して手元資金があるんだから、大至急、納税するのは当たり前だ!

なにドヤってんだ、弁護士。罰金と延滞税も速攻納税するのが当然!ふざけてるな~。罰金を払ったからもういいでしょう、とでも言いたいの?生活を切り詰めて納税する人はたくさんいるのに、なんだそれは!

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弁護の続きを聞きましょう。

「税理士は売上を他法人にすればいいと言ったんですよね。でもあなたは、そうしなかったのですね。税理士が~」と、なんとか税理士に責任を負わせればいいのでは、のような尋問をしていたけど、被告は「いいえ、税理士さんのせいではありません。現金引き出しで(摘要に?)架空経費と書き、それを信用してくれていました」と証言。

税理士は税額計算が仕事なので、原資資料を嘘つかれたらしょうもないからね。今回は、税理士が色々知ってそうだったけどね。

被告が税理士のせいにしなかったので、当時の税理士を調べる範囲が広がらなかった。当時の税理士に事情聴取すればいろいろ出て来そうだったのにね。もう査察が調査済で出なかったのかも。

他にも、何か別の公判が進んでいるようで、この脱税事件の公判の重要性は下がるのかしら?裁判長が打診した日程を今回もリスケする被告。

脱税すると、それだけじゃ済まないよね。裁判長から促されて他の関係者にも迷惑をかけて申し訳ないの発言がありました。(裁判長、甘いのでは)

本件は、被告が罪を認めていて、脱税方法の把握が済んでいて脱税額が確定しているようで、争点はほとんどないみたいです。情状酌量の余地についての議論の回だったように思います。

他人を名義上の社長にさせて別法人を設立していたわけだけど、その理由は検察側は尋問しなかった。

2年ごとに法人を清算していた理由を検察は質問し、「罪悪感があった、他人からの名義を借りて法人設立していたので揉め事もあったためで、他の理由はありません(消費税逃れのためではない)」との回答。

消費税の納税義務を逃れることについての追求はなかった。(罪名が法人税法違反と地方法人税法違反だからかな?なんだかんだ、名前が出ているだけでも7社くらいは設立しているのにズルイな~。同じ業務内容で同じ取引先でしょうに・・・・)

被告から、「査察と毎日のように会って二人三脚で修正申告をしました、多めにこのくらいと言ってもらったのでそうしました、(調べに来てくれて?)感謝しています」という発言がありました。う~ん、違和感がある、なんでだろう。

弁護側が先に脱税した動機について質問し、被告は回答する。

検察側が同じように脱税した理由について質問し、被告は回答する。

多分、珍しいと思うけど、裁判長がオコでした。(時短かな?)

私も同じように、脱税の理由が上っ面に思えました。「マニュアル(?)通りに話してやり過ごせばいいや」みたいな印象を受けました。

被告は人生の勝ち組です。誰でも知るような有名上場会社にお勤めになり、そこで業務ノウハウや人脈を形成し、年収も高かったようです。勤務遂行や人脈づくりの出費に自腹もあったようですが、貯金は出来たと思います。感情的にならないし、きっと頭がいいのでしょう。が、ところどころで身勝手な振る舞いって隠し切れないよなぁと思って傍聴していました。

裁判長のオコで、法廷内は1分くらいシーンとなり。法廷の時計がカチと言い沈黙を破りましたが、あの重苦しい時間のおかげで私は少しだけ溜飲が下がりました。

計算高い人って、こういう時に黙っていられるよね。

さて、検察側の求刑は、懲役1年・罰金1500万円。国民の信頼を損ない納税意識を下げるので厳罰が相当、とのこと。たったの求刑1年か、庶民が真面目に暮らすのがバカバカしくなるな、と思いながら聞く。

その後の弁護士の発言は冗長さがありましたが、私なりにまとめます。

単独犯だから逋脱率が高かった・過去の取引があった会社への架空経費ですぐバレる手口だった・国税に対する反社会的行為ではない・税理士の売上分散のアドバイスに応じなかった・納税を済ませ別会社でも修正申告をして多めに納税している・協力的であり反省している・税理士を変えた。だから、執行猶予で充分、という主張。

(弁護士、多めに払ったからいいでしょという主張で税金に詳しくなさそう)

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判決は来月。

どうせ、ちょっとの罰金くらいで済ませるんでしょ?だから裁判長がオコだったわけです。説教で済むんじゃ安いもんよね。

被告は、脱税発覚後も公判終了後は同じ仕事が継続できるようです。溜まった(役員報酬が原資と思われるのでクリーンなお金だと思う)お金で不動産投資を始めていらっしゃるようです。

一生、食うには困らない方です。

被告が行った脱税は、貴族の遊びだったのかもしれません。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。