2023.9.19 東京の国立劇場で、初めて文楽観賞をしてきたわ~。「さよなら初代国立劇場」文楽の特別公演は令和5年9月24日までです。滑り込んで見てきたっ。
1966年に建立された国立劇場は、老朽化のため令和5年10月末で閉場するそうです。
・3部構成 1回8000円
伝統芸能を一度見てみたい!いいチャンスなので小遣いはたいて、仕事帰りに行ってきました。半蔵門駅から歩いて5分くらい。
1部あたり8000円。はっせんえん!!
・・・伝統芸能だから高いとかは思わないけど、こちらの懐事情ってもんがあるよね。手ごろな価格で配信などもやってるみたいです。といっても3000円くらい。
さて今回の「さよなら初代国立劇場」の演目は、
第1部は 10:45~14:20(休憩10分&20分) 菅原伝授手習鑑 第3段目 第4段目。
第2部は 15:00~18:15(休憩20分) 寿式三番叟 菅原伝授手習鑑 第4段目 第5段目。
第3部は 19:00~21:00 曾根崎心中。
朝から夜まで見ると8000円×3部=24,000円。私は第2部だけ観賞~!事前に電話で確認してから行ったけど、当日の空席はあと15席くらいしかなかった!ラッキー♪
音声ガイドを借りました。800円也
・寿式三番叟
(ことぶきしき さんばそう)
唄の方(太夫)が7人ほど、三味線の方が5人ほど。生オーケストラで舞うお人形。お人形遣い(遣い手)3人がかり。
いや~迫力ありました!とっても良かった♡
祈りの舞の演目だそうです。ストーリーはない。
文楽への誘い HPより→ https://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/bunraku/jp/play/keigoto1.html
私は何に注目すればいいのか分からず、音声ガイドもうまく使いこなせず、分からないまま見るだけ・・・・という体たらくでしたが、、、
お人形が動いていることに最初は驚くのだけど、だんだんお人形の舞を純粋に楽しんできまして。贅沢なのだけど、目は人形、唄や三味線は耳で楽しむ。
唄や三味線の方々はベテラン揃いで凄い方が多くいらしたようで、あぁ私にもっと教養があれば感動があったであろうに。「有名な方のだから聞き逃したくない」のような思いがなく聞けたの、良かったのかも。
最初は身分の高い方の舞。気品がありました。人形なのに!
次に、二人の「三番叟」という男性二人が「五穀豊穣の祈りを込めて躍動的に踊ります。」(と、パンフレットに書いてある)
本当に躍動的でした!動きが速くて楽しかった。踊りまくって疲れちゃうシーンでは観客の笑いをとってたし!笑っちゃったよ~。伝統芸能で笑っちゃうことがあるとは思わなんだ。
三番叟の2人が、先ほどの身分のあるお人形から鈴を賜りまして、(いいよいいよ、あげるあげるよ、のダチョウ倶楽部的なやり取りが何だったのか不明)
鈴を持って舞うのですが、美しい♪ 鈴は神事で使われるように特別なもののようでした。稲に見立てて五穀豊穣の祈りだったとか。そういえば、三番叟が持つ鈴が稲のように見えた舞がありました。
この鈴のように農作物が実りますように、の祈りなのですね、きっと。
・菅原伝授手習鑑
(すがわらでんじゅてならいかがみ)
20分の休憩では、お手洗いを済ませてちょっと館内散歩してたらすぐ終わり!食事している時間はないわね。
さて、菅原伝授手習鑑の始まり~。
菅原伝授手習鑑は、菅原道真のお話です。
菅原伝授手習鑑は全部で9時間くらいの大作らしいです。3部作構成、前編は5月に公演、中編は9月の午前中の部で公演、後編は9月の昼の部で公演。こんな感じかしら。
連続ドラマの途中から見る感じだったのだけど、1幕ごとに見どころがあるので、全然楽しめました。
後から前編や中編を知ると、「ああっ!あれがこうつながるのか!」と深く楽しめます♡
・四段目「北嵯峨」
なんと51年ぶり(1971以来)の演目だそうです。・・・・みんな初演では?長い話なので、省略されちゃうことが多いそう。そんなことあるんだね・・・・。ツウの方には、北嵯峨はなかなか見れないから嬉しい、とのお声も。
民家の前で山伏がほら貝を吹き、「やっとウトウトした御台所が起きてしまうから静かにして」と家の「八重」が言う。御台所さん、先日悪夢を見たのでグッタリしている。きっと逆夢ですよ、と御付きらしき八重と春は言う。
嫌な予感がするから、阿闍梨様のところへ訪問し、相談してきますと春。
悪いやつらが現れて、八重がなぎなたで男たちを追い払おうとする立ち回り!八重さん、かっこいい!
さぁ、今のうちに逃げましょうなのだけど、八重さん瀕死、御台所さまを案じながら息が絶えてしまいます。ううっ
そこへ、藤原時平の手下が御台所を連れ去ろうとしたその時、不審な山伏が現れて、御台所をさらっていくのでした。
・寺井り/寺子屋
場面転換。ここは字習いをするところ。学校です~。
菅原伝授手習鑑HPより→ https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc23/com/com_step4-4.html
子供たち、勉強もするけど友達同士でワイワイもやります。15歳のよだれくりが面白いのよ~!笑わせてくれます!
字幕が追えなくても、音声ガイドがあるし、何より人形の動きと歌と三味線で何となくストーリーが分かる。
源蔵と戸浪夫婦の寺子屋では、菅丞相(菅原道真)の子・菅秀才をかくまっていた。
新入生が入ってきて、食べ物をふるまったり、習字の先生に差し入れをしたり月謝は前払いなどなど。いいところのお坊ちゃんが弟子入りしたようです。
そこへ、時平一味の追求が迫る・・・・。
(左大臣の藤原時平は、右大臣の菅原道真と対立関係にある)
時平の部下の待王丸の首実検、、、弔いの「いろは送り」、、、ストーリーに驚いたし、可哀想だなぁと思いつつ、この時代はこうだったのだなぁと思いました。
松王丸・・・・。カゼひいてる松王丸、迫力あって良かったし、泣いてるのを隠す松王丸が悲しかったし、私が代わりに泣きました。ううっ妻の千代も可哀想。小太郎、立派ですが、どうにかならなかったのか…
職場を辞めて転職すればいいじゃん、な現代人には意味不明の行動ですが、当時の常識だったのでしょうね~。当時は命が軽かったのは、生まれ変わりという信仰があったりしたのでしょうか。
現在は、徴兵されて戦死させられることもなくなりました。良い時代になりました。守り続けたいです。
・5段目 大内天変
こちらも昭和47年以来51年ぶりの公演だそうです。
首実検をスルーできた菅秀才は、苅屋姫ともにいました。
阿闍梨僧は、時平のために仕方なく念じるのですが、時平が正しい行いをしていないと分かると祈祷をやめてしまう。
権勢におごる時平、部下を引きちぎる!音声ガイドがあって良かった~。
時平は雷を甘くみたが、家来が次々に倒れ、ノイローゼっぽくなり、耳から蛇が出てくる。ニョロ~。
この前後で亡霊の桜丸と八重夫婦登場!この時は分からなかったけれど、前編中編を後から知ると「あーっ!」となりました。伏線回収っスッキリ。
お二人が時平を桜で叩くシーン、気迫ありました。人形なのを忘れます。
雷様のたたり、苅屋姫と菅秀才が止めを刺します。
菅秀才は無事に身分を相続し、菅原道真は、神として北野天満宮にまつることになりました。
やー。凄かったです、文楽!お人形と生演奏の唄と三味線、楽しみました。素人でも感動です!お土産買って帰るわ~。ルン