2023.9.28 私はあんまりインターネット取引を利用しないのだけど。
珍しく、インターネット視聴を購入しました!世間はこうなっているのか~という体験をしました!(遅い)
・簡単なまとめ
インターネット取引でサイト経由する場合、取引先・取引内容の把握が必要。
受注確認や領収書がインターネット上で発行されがちのため、電子取引になりがち。小さめの事業者は印刷して保管すればOKの措置あり。
電子取引の保管データは①日付②金額③内容④取引先。
自社が一般課税の場合は消費税の記載の有無もチェック。
・インターネット視聴を購入
事務職のインターネット取引といえば、消耗品の購入、書籍購入(WEB書籍含む)程度で、あまり多くないです。
店舗でクレジット決済や交通系IC支払いもしますが、会計の専門家なので自分の領収書等の保存処理に迷うことはないです。
私は大手以外からインターネット購入はあんまりしたくない。メールアドレスとか売られそうだから・・・・。会員登録してログインてのが面倒だし・・・・。
なのですが、珍しく!観劇のためにインターネット視聴を購入しました!2000円。(アプリインストールが嫌なので躊躇していたけど、個別購入が出来るようになったのが決め手に。)
まぁ、2000円のクレカ決済で済み、難しいことないのだけど、せっかくなので取引を深堀してみます~。
・メールが2つ届く
配信するA劇場から誘導されたサイト(仮名称:観劇放題)で個別購入。
サイト観劇放題の規約にチェックマークいれて会員登録して・・・・。
決済後、受注のメール(仮名称:観劇放題から)と領収書がメール(仮名称:株式会社ネクストステージから)がそれぞれ本文で送られてきました。
いちいちログインしなくてもメールしてくれるのは良いわね。自動返信してるんだ。
職業病 発動
さて、こちらの領収書。
「株式会社ネクストステージ」の社名が記載されているものの、住所も電話番号もない。インターネット視聴のタイトル記載なし(プラン名だけ)、2000円の金額記載のみで消費税の記載が無い。
消費税の記載をしなかったんだ、と、オタク心が騒ぎだすわたし・・・・。ビョーキか!
国内取引か国外取引か
日本国内の劇場で行った舞台の録画を7日間限定で購入したのだけど、WEB上での配信サービスだから外国からの配信の可能性もあるわね・・・・。
内国法人だったはずだ、、、もしかして外国の会社でリバースチャージってやつかも??とサイトを再度確認すると、領収書を発行した会社は、日本の法人でした。(10年以上前からある資本金1000万円超の大きめの法人だった)
ちなみに、A劇場は2年ほど前に法人化した内国法人。
ということは国内取引。リバースチャージ(外国からの配信)ではない。
課税対象と課税標準
2000円の領収書に消費税の記載がない(なくてもいい)。演劇のインターネット視聴なので、消費者向けビジネスだから消費税記載をしないのかもしれない~。
消費税の記載があってもなくても、①国内において②事業者が事業として③対価を得て行う④資産の譲渡・貸付け・役務の提供、の4要件を満たせば消費税の課税取引となります~。(外国貨物とかリバースチャージは省略)(消費税法4条の課税の対象・消費税法28条の課税標準)
なので、本件2000円のインターネット視聴は課税取引。非課税取引は13項目ありますが、インターネット視聴は非課税取引に該当しないです。食料品でも継続的な新聞でもない。なので、消費税率10%の取引になります~。
この場合の当該売り上げた会社の消費税計算上の課税標準は1818円です。課税標準の計算式は1818円+消費税182円=2000円、と考えるんです。根拠は消費税法28条の課税標準。
消費税の記載が無くても、消費税がかかっていることはある~を書きました!
・領収書発行について
私は本件演劇主催の(株)A劇場からWEB視聴の権利を購入した気分でいたけど、
観劇放題のサイトに会員登録をして購入しているので、個別購入といえども観劇放題のサイト運営会社の株式会社ネクストステージとの取引、となると推測。(規約再読した)
今回の取引の場合、A劇場と購入者(わたし)の間には取引関係がないんだ。だから、受注メールや領収書の発行者にA劇場の名前がなかった。
ああ・・・・。ややこしいなぁ。。。国外取引なのか、免税事業者なのかとか、余計なことを考えていた。(領収書の発行については民法486条を参照)
消費税10%込みって記載しといてよ!
2023年9月購入、本件取引に消費税に関する記載がなかったです。(上記の通り、インボイス番号記載がなくても消費税記載がなくても、消費税課税取引となります~)
10月以降、インボイス番号と消費税率等の記載がないと、仕入税額控除に制限が出てくるかも~。こういうの、どうするんだろ?10月1日から対応するのかしら?と税理士的な発想で見てました!
・電子取引のデータ保存
これが事業用利用の場合、電子取引に該当します。①金額②日付③内容④購入先 が分かるデータが必要。
今回は、領収書には「7日視聴プラン×1」の記載しかなく、何を購入したのか不明です。これだと、経費性が判断できないよネ。
観劇放題からの受注メールに演劇タイトル「明和義人伝」の記載があったので、領収書と共に受注メールを保管することにしました~。(受注メールには株式会社ネクストステージの記載が無いので)
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領収書だけ保管してるんじゃ不足する、というパターンもあります。
クライアントからお預かりする資料で、たまに見かけます。「○○で何を買いました?」と質問すると、そんな会社(決済代行会社)から買っていないよ、と言われ。。。数千円くらいだと、思い出せないことありますよね~。
プラットフォーム業者からの請求をコンビニ払いして領収書だけ渡されると、このやり取りあるよね・・・・。
支払ってるだけじゃ、経費の要件を満たさないのです。
・明和義人伝を視聴
インターネット視聴で購入したのは、「明和義人伝」の演劇!(主演:古都乃竜也(一見劇団 座長))
史実を基にした演劇です。上演地は新潟県。
1767年頃、新潟・湊では台風等の影響で不況で不作だったそうです。にもかかわらず重税があり、苦しんだ町人たちが平和的に町民自治の市民運動があったようです。暴力行為ナシだったようです!素晴らしい~。(演劇では米問屋を壊したようですが、略奪ゼロ)
舞台上の涌井藤四郎さん。「誰か(自分)に頼った生き方をせず、町の者が自らの足で立つことです。町の者が、私がいなくても自治が出来たことを知り、それだけで満足です」とのセリフ・・・・。立派ねぇ~。
力による解決をせず、対話による解決を望んだ涌井さんと町の皆さん。
まちとは国とは何でありましょう、100人に100通りの正義がありますが、と劇中の涌井さんは殿様に言う。
(国とは)言ってしまえばただの人の集まりです。新潟湊の住民と新潟湊の美しい自然を大切に思っている。家族が村を作りまちを造り国を作る。ひとりひとりの刹那の生活の輝きを愛している。まちとは国とはなんでありましょう。多くのひとがいて、断絶が争いを生む。すべての人が幸福になることを願っている。自らの足で自らの望む幸福のために歩む力が人にはある。ひととひとが手を取り合うごとに大きくなる。国とは人のことなのです。
のような趣旨のセリフがありました。ほんとそうよね。主権者たるスピリッツって大事だと感じます。
それから250年過ぎ、重税のために餓死する人はいないし、政治家や公務員が私腹を肥やすことは減りました。
涌井藤四郎さんが夢見た住民自治は実現しておらず、自らの足で立つという崇高な精神は下火になってしまったように思います。
都会には自分のエゴがまかり通っていて、楽して金儲けしたい、汗して働きたくない、税金は自分以外の者が負担すればいい、とにかく権利主張、という人が増えてしまったように思います。
個人の幸福の追求と全体的秩序維持は共存できるはず。
多くの事を考えさせられる、いい芝居でした~。