所得税 R7改正 給与控除 人的控除 基礎控除の特例上乗せ

2025.4.13 令和7年分の基礎控除は、一般庶民の場合58万円になりますが、さらに基礎控除の追加上乗せがある。

財務省の税制改正の情報には基礎控除の上乗せ記載が無かったから、基礎控除の上乗せ、注意ですね。

令和8年から扶養控除や寡婦控除の改正(令和6年税制改正)も予定されていたはず。今後、これも要注意ね。(忘れてたから!)

・一時情報ほか リンク

財務省HPより 令和7年4月1日施行の税制改正 概要→ https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/217diet/st070204y.html

衆議院HPより R7改正修正案→ https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/syuuseian/15_902.htm

基礎控除の特例(上乗せ)について、分かりやすかったのは次の。

東京法人会連合会HPより 令和7年 基礎控除の特例 → https://www.tohoren.or.jp/taxinfo/2025040121835.html

パート収入の壁という話は、入り組んでいますので他のインターネットで聞いてみて下さい~。(自治体によるし、住民税非課税にこだわるなら働くのやめて収入ゼロでいればいいんじゃない・・・・)

・基礎控除が最大58万円に

基礎控除は最大48万円でしたが、令和7年から基礎控除は最大58万円になりました。(最大58万円、と書いたのは、合計所得金額2350万円超から段階的に消失するからです)

住民税は変更なしで、住民税の基礎控除は43万円のままだとか

<おのでらの回顧ボヤキ>

令和6年春、自民党の岸田内閣は、支持率低下を何とかしようとした・・・・のか、税収が思ったよりいいから還元だったのか、忘れてしまいましたが、国民一人4万円を減税又は給付することにしました。

結果、秋の衆議院総選挙では、与党(自民党&公明党)で過半数が獲れなかった。

なにやってんだ!政治資金の不透明で国民が怒って支持率低下、血税使ってバラまいても過半数とれなかった!全員給付にすればマシだったんじゃないの!みんなから集めた税金つかって目くらましにもならず、事業主と経理を混乱させて、政治基盤を安定できないとか、定額減税の意味あったんかよ!

という私の心の声はノイズでした。

与党が過半数とれなかったので、少数野党でマシな国民民主党に声をかけた。大した議席数でもないのに、存在感アピールして次回の議席数を稼ぐチャンスです。

こうして、議論を尽くさない人質のような妥協の税制が出来るのですが、基礎控除10万円あげたのはいいと思います。給与控除もイイ。特定扶養と基礎上乗せはダメ。

基礎控除を上げても、もともと納税義務がない人もいるので物価高対策とは言えないんだけど。勤労世代からの票を狙うには、やっぱり基礎控除あげるのはイイ!よね。現金給付が分かりやすいから一番即効性あると思うけどね。

ところで、令和7年3月に追加で上乗せ基礎控除が出来ました。ややこしい。

・基礎控除等の特例 上乗せ(措置法)

基礎控除の上乗せ特例は、税制改正大綱に載っていなくて、財務省のHPにもまだ本文が載ってないです(2025.4.13現在)。e-govにもまだなかった。

衆議院HPにあります。読みにくい → https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/syuuseian/15_902.htm

ねじ込んだ基礎控除の上乗せは、令和7年、令和8年は合計所得金額655万円以下の場合には傾斜で発生。

令和9年以後の基礎控除は、(高額所得者は除いて)本来の58万円の他に、合計所得金額が132万円以下の場合に37万円あります。

基礎控除の特例上乗せ、国家の減税見込み額試算、令和7年度は6200億円だそうです。

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基礎控除の特例が出来て上乗せがあるので、給与収入のみの方は年間で197万円の場合、(給与控除65もうちょい+基礎58+基礎特例上乗せ37)が控除される。

源泉所得税も住民税も発生する可能性ありだけど、基礎控除の特例37万円の所得控除が上乗せは受けられるのがやる気(インセンティブ)になるのかも?

基礎控除の特例は、措置法第四十一条の十六の二。住民税は無し、のようです。

物価高対策でお金配った方が感謝されるように思うけど。減税したところで、非課税世帯には同等以上のなんらかを行うんだから、結局同じなのでは。

こういう源泉徴収が絡む税制改正は、中小企業や個人事業は対応困難でしょ。ギリギリで社員パートの給与を支払ってる店もあって、追加の士業報酬が負担できないオーナーが独学で年末調整って限界あるんだけどな。

・給与所得控除の最低額が65万円へ

給与所得控除が10万円増えて、最低給与所得控除額は令和7年以後は65万円になりました。

住民税もお揃いで給与所得控除の最低額が65万円へ。(令和8年4月に請求がくる住民税で反映されます)

最低賃金を上げたのもあるけど、年末に雇用調整されてパートが働いてくれないと店が廻らない、の状況を回避したいからみたいです。普通の会社員には影響がないです。

・特定親族特別控除が出来た

特定親族特別控除というものが出来まして、19歳~22歳の扶養親族の合計所得金額が58万円を超えても、配偶者特別控除のような傾斜で扶養控除が受けられるようになりました。扶養される若者(19歳~22歳)の合計所得金額123万円以下で3万円の扶養控除。

住民税の類似の改正あり。(段階や所得金額の相違あり)

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毎月の源泉徴収税額の反映では、扶養される若者(19歳~22歳)の合計所得金額が100万円以下(給与収入だけの場合は165万円てことよね)の場合に適用できるみたいです。

年末調整では見込みで子供の合計所得金額を記載するんだけど、事実上は所得把握がほぼ不可能だから、扶養者(親など)が自分の確定申告で扶養控除を受けるのが実務的になると思います。

年間165万円の収入があって扶養になるのかという疑問があるけど、学生バイトがいなくて店が回らないから、という理由のようです。

親が、節税したいからバイトしないで欲しいだなんて、子供に言わないと思うんだけどな。

<若者(子)の確定申告 勤労学生の場合>

学生(子供)は、給与収入のみの場合、年間150万円以下の給与収入の場合には、勤労学生控除があるから源泉徴収なし。(給与控除65、勤労27、基礎58)措置法の基礎控除の特例上乗せがこの場合は30万円増えます~。

令和7年12月以降は年末調整の書類にサインするだけで源泉還付されそうね。

165万円の給与収入があると、源泉徴収が発生。給与所得控除が多分66万円、基礎控除が58万円、上乗せ基礎控除30万円(令和8年まで。令和9年以降は合計所得金額132万円で足切り)を差し引くと、11万円の所得税課税所得になるので、5600円の所得税の税負担になりそう。

勤労学生控除は、令和7年以降は合計所得金額85万円以内へと改正(令和6年までは75万円でした)。給与収入150万円を超えると勤労学生控除は適用無しになる。

<親(扶養者)の確定申告>

上記の子の給与165万円のケースで試算、親は、若者(子)の合計所得金額が99万円の場合、特定親族特別控除41万円の控除が受けられる。親の所得税適用税率が5%の場合、約2万円の減税。こんな感じかなぁ。

親の年末調整には扶養控除を反映させず・又は・子供の年内合計所得金額を見込み金額で年末調整に反映させておき、年明けに子供から源泉徴収票を受け取って確定申告する、ケースが一番いいです。

(ちなみに、勤労学生控除は、勤労学生が受けられる控除なので親が代わりに受ける制度ではありません)

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とにかく自分が負担する税金が少なければ嬉しいのは本音なのだけど、

格差是正という税の役割とか、考えてない人が作らせたんだナ。令和8年に予定されている扶養控除などは、児童手当の給付も含めて格差是正を考えてたから計算が複雑でも納得したけど今回のは累進課税の悪いとこ出てるわね。

税額控除の方がいいわね。

配偶者特別控除と扶養控除のような人的控除と住宅ローン控除は、年末調整やめてもらいたい。

・改正部分の源泉所得税と年末調整

急に作った税制なので、源泉徴収事務が間に合わないので。

令和7年の源泉徴収は、令和6年分と同じようにやります。とりあえず源泉徴収しておく。

令和7年12月1日以降の年末調整で反映する、という仕組みにしました。

令和8年からは、源泉徴収税額表を間に合わせるみたいです。令和8年以降の扶養控除等申告書には、大学生・専門学生の子がいる社員・パートや、学生バイトに注意です。

令和9年から、基礎控除の特例上乗せがまた変わるので、源泉徴収に注意が必要です!

勘弁してよね!

・確定申告書類も変更に

令和6年は定額減税があったので、確定申告書類が変更になりました。

令和7年も変更になるわね。令和8年も変更するかもね。

令和9年もまた変更になるわね。

・【メモ】措置法で基礎控除上乗せ 贈与税基礎控除

おまけのメモで。

措置法の上乗せ控除って、贈与税の110万円もそうです。贈与税の基礎控除は60万円で、措置法で基礎控除上乗せされて110万円なのです。

(贈与税の基礎控除)
第二十一条の五 贈与税については、課税価格から六十万円を控除する。

 

(贈与税の基礎控除の特例)
第七十条の二の四 平成十三年一月一日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については、相続税法第二十一条の五の規定にかかわらず、課税価格から百十万円を控除する。この場合において、同法第二十一条の十一の規定の適用については、同条中「第二十一条の七まで」とあるのは、「第二十一条の七まで及び租税特別措置法第七十条の二の四(贈与税の基礎控除の特例)」とする。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。