明治後期の本の物価と税金背景を書き留め

2025.10.19 読書の秋!

インターネットで国会図書館デジタルコレクションHPから、明治43年発行の侠客喧嘩屋五郎兵衛を読みました。当時の物価と税金背景を書き留めておきます~。

講談本という存在は、鉱山研究の過程で知ったのです。

・講談本の価格

侠客 喧嘩屋五郎兵衛の講談本の後ろ~を見ます。

(内容は前回、書きました)

明治43年8月大阪市の立川文明堂・岡本増進堂 発行。(1910年)

定価金30銭。

巻末には小説総目録があり、

豪傑 河田八雲 正価25銭 郵税 6銭

大石蔵之介 正価30銭 郵税 6銭

豪傑 天草四郎 正価25銭 郵税 6銭

更科お玉 正価18銭 郵税 6銭

源平衰退記 正価18銭 郵税 6銭

西遊記四 沙悟浄 正価18銭 郵税 6銭

御注文ノ節ハ代金郵税共総而前金~~(郵税が添えられてない場合には本は送りません、の意)代金引換小包郵便ニヲ御注文ノ節ハ郵便手数料トシテ凡ヲ代金ノ三分ノ一前金手付ニ御送付相成度候

など書いてありました。

・郵税?ありませんでした

郵税て書いてあるけど、こういう税があったのか、調べてみました!

郵税については、郵便税の時代|NETWORK租税史料|税務大学校|国税庁

国税庁ホームページで確認したところ、

明治6年に郵便料金が全国一律に決めた際(ここから郵便は国営になった。全国一律のはずが、郵便局がない地域は加算があたそう)の名称だったそうで、今の郵送料と同じ。税金ではないそうです。(けど、明治10年には文通用紙に5厘の埼玉県税があったみたいです)

・明治後期に税金は身近?

ケンカ仲裁税は無い

侠客喧嘩屋五郎兵衛の講談本の中にも、ケンカの仲裁に手数料を請求する際には「税金だ」と五郎兵衛が言っているけれども、

本当の税金のことではなくて”税金みたいなものだから諦めて払え”的なニュアンスで言っているのでは、と「AIが」言ってました笑

そもそも、侠客喧嘩屋五郎兵衛は、架空の人物のようです。ストーリーは、実際にあった話を切り張りしているかもしれないけど。

講談は分かりやすく楽しむ

喧嘩屋五郎兵衛の時代設定は江戸時代(家光公の時代)だから、税金という単語はないはずなんだけど、聴いているのは明治時代の人なので、楽しく分かりやすく言ってるんだと思うんです。

明治時代の講談は既に庶民が楽しめる娯楽ですので~。

令和時代の講談は、江戸時代の単語や台詞だと分かりにくい時はうまく言い換えたり補完してくれたりしてまして、

多分、明治43年の喧嘩屋五郎兵衛の講談もそうだったんだと思います。聴客に語るようにくすぐりを話したのかな~。本にするから、速記の方が税金と変えたのかな、と思いました。

芸事に税金は身近だった可能性

明治43年、税金という単語で庶民が「ちょっと愉快」な気分になったのかな、と考えてみました。

所得税はほとんど発生していないと思うので、今の固定資産税(当時の地租)や今でいう事業税かな?聴客に税金に馴染みがあったんだろうか??

→あったかも。

2 税制の近代化と整備 ―雑税整理―|租税史料特別展示|税務大学校|国税庁

明治10年の埼玉県税の一覧表には、芸人は年間で3円の埼玉県税がかかっていました。へ~。

劇場は年間で20円!人寄定席は2円だって。昔話軍談浄瑠璃の興行は一日につき5銭、

芸妓さんはなんと月に3円、翌月5日までに県税納税だって!役人が美人に毎月会いたかっただけじゃないの。

明治時代、所得税はほぼかからなかったけど、商売によっては今の事業税のようなものは身近にあったかも。(江戸時代からライセンス料的にあった)

何よりも芸人さん俳優さん劇場、寄席は税金が発生していたので、芸事の関係者は税金が身近でうっとおしい存在だったのでは、と思います笑

芸事がかなり儲かる仕事だったのだと思います。(の、割には川上音二郎など劇場経営に失敗してるので、やり方次第だったのかな~)

小遣い貯めて聴きに来る庶民からすれば、儲かってるであろう芸人や劇場・寄席が税金を忌々しく語っているのを聞くと、ちょっとはスッキリしたんじゃないかな~笑

(*`艸´)ウシシシ

ちなみに、、、令和の現在、講談師も浪曲師も俳優も税理士(税理士は昭和25年に制度はじまり)も、個人事業税はみんな同じモノサシで、基礎控除290万円を超えた金額に一律税率5%です~。

<明治維新後の演劇>

明治5年3月、官庁の教部省が新設され、芸人・俳優をその監督下に置かれたそうなのです。

歌舞伎を貴人や外国人も見るようになったので高尚なものにしたかったからですと。それで、上演前にあらすじ的なものを出してお伺いを立てるようにとお達し、同年9月に劇場を免許鑑札制として課税するようになったそうです。

演劇の検閲制度なども書いてある、<要点>「日本現代史」~明治から近代へ~新国立劇場 情報センターのPDFを備忘で貼っておきます~。

nntt_engekishi.pdf

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。