法人事業税の期ズレ

2025.12.4 法人事業税は損金・益金に算入します。年度が終わって税額が確定する関係で、決算書とは期ズレします。

事業税の中間還付があると事業年度がズレて思わぬ課税所得が発生します。ということを書きました。

私が書いた、中間法人税の納付書を送付しなさいよ!の記事でふと触れたけれど、法人事業税について書いておきたいと思います。

法人税等の中間還付がある時は複雑なので、わたしは手計算して検算してます!

原始的と笑われようとも!

・法人の確定申告時の税

法人税の確定申告で課税所得がある法人の場合、

法人税、地方法人税、県税、市税、と4枚の納付書を渡されることがあると思います。

(新しく創設されてしまう防衛税は、500万円の税額控除があるから、たいていのまちの小さめ法人にはゼロ申告するのみで防衛税の納税が発生しないと思います。)

県税のうち、法人事業税と特別法人事業税は確定日(納付期限内の支払い日、と思ってください)の損金になります(経費扱いで減税効果なイメージ)。

事業税の中間納税額が還付されたら、益金になります(収入扱いなイメージ)。

法人事業税の中間還付があると、「今期はちょい当期純損失なのに法人税が発生する」があります。法人税申告書の別表調整なので、申告書作成を進めて間際になって改めて気が付くことが多いと思います~。

(なので、中間事業税がたまにしか発生しない法人には、「中間還付になったから益金です」とお伝えしています。)

※ 同業者向けに書いておくと、わたしは法人税や事業税の中間納付を「仮払法人税」の勘定科目で処理してます。決算で確定した事業税は、(借方)法人税等(貸方)未払法人税(納税充当金)に含めてます。

なので、還付予定の税は、「仮払法人税」なり未収法人税なりですぐ分かるようにしてます。忘れちゃうんで!

・法人事業税と特別法人事業税は同じ会計処理

法人事業税と特別法人事業税は、もとは1つだったけれど、色々ありまして2つに名前が分かれました。国家体制として云々はともかくとして、法人事業税と特別法人事業税の法人側の会計・税務処理は同じです。

会計処理の際に「国税か地方税かの違いより、出費が経費になるかどうか」だと思います。(納税者としてあるべき税制を考えることは、大事なのでまた別の機会にしたいと思います~)

さて、法人税と地方法人税(所得税や防衛税も)は損金にならない、法人住民税は損金にならない、法人市民税は損金にならない。人格の税負担だからなのかな。

けど、法人事業税と特別法人事業税は損金になる。店(手段)の税金だからなのかな。

なんか法人に関する税金の名前がたくさんでややこしいな~といつも思うけれど。

事業税は営業税の流れから来ていると聞いた覚えがあります。お店の税金。ライセンス代金みたいなもんでしょうか。

過去に書きましたが、明治時代、劇場や芸妓さんにライセンス代金の税負担がありました。→ https://mina-office.com/2025/10/19/meiji-kouki-hon-zei/

2 税制の近代化と整備 ―雑税整理―|租税史料特別展示|税務大学校|国税庁

・期ズレのスケジュール

法人事業税・特別法人事業税は、期ズレします。

+1年度に確定事業税と中間事業税が損金算入され、

+2年度に中間還付の事業税が益金算入される。

18か月も経過しているので、+2年度が微妙に損失利益の着地を見込んでいたはずが、別表調整で益金算入するために法人税が発生し、ビックリすることがあるかも。

サンプルで書いておきます。

令和7年3月決算の場合、令和7年5月に申告納税します。

納税額が確定する令和7年5月、たとえば50万円の事業税が発生した場合、令和7年5月に50万円が損金算入します。

令和7年11月に事業税の中間納税があります。

中間納税額が確定する令和7年11月、6月分換算で25万円の事業税が発生します。令和7年11月に25万円が損金算入します。

令和8年3月に決算です。令和8年5月申告が損失申告(赤字だった場合)は、中間事業税が納め過ぎなので還付されます。

令和8年7月に中間事業税の25万円が還付金入金した場合、令和8年7月に益金算入となる!

令和9年3月決算で、雑収入25万円がある、と頭に入れておかないとなりません!実際の事業活動の年度末(令和7年3月末日)から2年も経過している!未収税金、などの勘定科目にしていたとしても、とっくに忘れてしまいます!

こうして、「なぜ今期は損失申告なのに法人税が発生するの???」になりえるわけです~。

・条文の備忘録

ここから、自分の備忘録です。

法人事業税にも中間納付があります。法人税の中間納税が発生する場合には、法人事業税も中間納付が発生します。(まぁ例外もある)

(事業年度の期間が六月を超える法人等の中間申告納付)
地方税法 第七十二条の二十六

1項には、確定申告期限から6か月後に、前事業年度(12月と仮定すると)の事業税の6月分を申告・納税マスト、と書いてあります。

当該事業年度(中略)開始の日以後六月を経過した日(中略)から二月以内に、事務所又は事業所所在の道府県に申告納付しなければならない。

5項には、事業税の中間申告がない場合には、みなし申告とします、と書いてあります。仮決算を組んで申告できるということなのでしょう~。法人税と同じです。

8項には、法人税の中間申告が不要な法人は事業税の中間申告・納付がないです、と書いてあります。前事業年度の法人税額(中間申告の法人税額を控除する前の金額)が20万円以下※ならば、中間法人税がない可能性が高いです!(国税と地方税が不一致になる例外もある)

(※条文で10万円以下、とあるのは、1事業年度の6月分で除して10万円以下ならば、とあるので、確定税額が20万円以下と書き換えました)

中間を引く前が20万円かどうか!

私は法人税申告書別表一の9法人税額計が200、000円以下かどうかを見てます。(外国税額控除は加味するとか所得税の控除は無視するとかあるので、気を付けよう~。)

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。