税制改正大綱 令和8年度 四 消費課税 インボイス特例の改正!

2025.12.25 令和7年12月19日、自民党の令和8年の税制改正大綱が出ました!閣議決定は12月下旬予定。法律になるのは年明けです。

具体的内容を読みます。 四 消費課税 免税事業者のインボイス、暗号資産、PF課税など、重要!

自民党HPより→https://www.jimin.jp/news/policy/212129.html

与党税制大綱 令和8年度 119頁から 131頁まで。

・抑えておくまとめ

・インボイス3割納税へ R9~

★★ 免税事業者のインボイス登録事業者は3割納税へ。R9年、R10年が含まれる課税期間から、とあるので始まる課税期間は詳細を待ちます。現行の2割特例は、令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

ちなみに、課税期間短縮(1か月おき・3か月おき)の事業者には2割特例ありません。国税庁HPより2割納税→ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/01.htm

・インボイス無し課税仕入れは7割控除へ

★★ インボイス無し事業者からの1万円以上の仕入税額控除は、R8.10.1~7割控除、その後R.10.10.1~徐々に逓減。(現行は8割控除。R8.10月~5割控除の予定を7割控除に改正して徐々に減らすことになりました)

おさらいですが、1万円未満の少額特例は令和11年9月30日まで(基準期間の課税売上1億円超と特定期間の課税売上5000万円超の法人は少額特例ナシ)

国税庁HPより 1万円未満の少額特例→ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/202304/02.htm

・免税インボイス者の簡易課税 届出書特例

★ インボイスや課税選択がなければ免税事業者だったのに・・・の方の簡易課税選択は提出期限をちょっとおまけ

・暗号資産は5%を課税売上割合へ

★ 暗号資産は、改正法施行の翌年1月1日から有価証券の譲渡扱い(現行は支払手段で課税売上割合に影響なし)。5%を課税売上割合に含める。ちなみに、所得税は分離課税へと変更になる予定

・プラットフォーム課税 少額物品も追加

★ 第1種プラットフォーム事業者、第2種プラットフォーム事業者、という名称が出来ました。

第1種プラットフォーム事業者は、アプリやゲームの海外からの売買等の大規模なPF事業者(グーグルとかアップル?そういえばスマホ新法がR7.12.18から始まった)。以前からあったけど、プラットフォーム事業者課税が増えたから第1種という名前を追加したのでしょう~。

第2種プラットフォーム事業者は、少額(1万円以下)物品販売の海外からの売買等の大規模なPF事業者(アマゾンとか?メルカリのような外国版とかもあるのかな?)。という理解でいますが、私は海外取引に詳しくないから確認が必要!

四 消費課税

1 国境を越えた電子商取引に係る課税の見直し R10.4.1~?

(国税)

(1)課税の対象の見直し
①特定少額資産(仮称)の譲渡を課税に

通信販売の方法により国内以外の地域から国内宛てに発送される資産(一の資産の対価の額が税抜き1万円以下であるものに限る)の譲渡(以下、「特定少額資産の譲渡」という)を資産の譲渡等に係る消費税の課税の対象とする。

※簡易課税制度の仕入税額控除の資産の譲渡等の範囲から、特定少額資産の譲渡に該当するものを除外する

<おのでら:免税だったの知らなかった!簡易課税は、販売側の外国の事業者が簡易課税を受ける場合、ということかなと思います>

②特定少額資産販売事業者は保税地域からの引き取り時に消費税が課税されないようにする

特定少額資産販売事業者(仮称)が行った特定少額資産の譲渡に係る課税貨物(次に掲げる事項が課税貨物の輸入申告書等に付記されているものに限る)の保税地域からの引き取りについては、輸入に係る消費税が課税されないための措置を講じる

イ 特定少額資産販売事業者の登録番号

ロ その課税貨物が特定少額資産の譲渡に係るものである旨

注:郵便物として輸入される場合には、郵便に関する条約に基づき、差出人がその課税貨物に貼り付け、又は添付した税関告知書に上記イ・ロがあるもの

③事業者(免税事業者を除く)が特定少額資産の譲渡を行った場合において、その特定少額資産の譲渡に係る課税貨物に輸入に係る消費税が課されたときは、輸入許可書等の保存要件ありで、仕入税額控除あり。

(原文は、その課税期間における課税標準額に対する消費税額からその特定少額資産の譲渡に係る消費税額を控除する、とある)

<おのでら:②は特定少額資産販売事業者が申告により納税するから、保税地域からの引き取り時には消費税を課税されないということで、③で引き取り時に消費税を課税されたら、特定少額資産販売事業者の仕入税額控除になる、ということかなと思います。>

(2)物品販売に係るプラットフォーム課税の導入

① デジタルプラットフォームを介して行う次の資産の譲渡等のうち、下記②の指定を受けたプラットフォーム事業者(以下「第2種プラットフォーム事業者(仮称)」という)を介してその対価を収受するものについては、第2種プラットフォーム事業者が行ったものとみなす。

イ)国外事業者が国内において行う資産の譲渡(付随する資産の譲渡等を含み、特定少額資産の譲渡に該当するものを除く)

ロ) 事業者が行う特定少額資産の譲渡

注:上記の見直しに伴い、電気通信利用役務の提供に係る特定プラットフォーム事業者の名称を「第1種プラットフォーム事業者(仮称)」とする

②PF事業者の上記①イ及びロに掲げる資産の譲渡に係る対価の額の合計額が税込み50億円を超える場合には、国税庁長官へ届出義務&課税庁は第2種PFとして指定する

③第2種プラットフォーム事業者は、上記①イの国外事業者が国内において行った課税仕入れ及びその国税事業者が行った課税貨物の保税地域からの引き取りのうち、PF課税の適用を受ける上記①イに掲げる資産の譲渡にのみ要するものを、あらかじめ国外事業者の承諾を得て、その第2種PF事業者が行ったものとみなして、仕入税額控除を適用することが出来る。(確定申告書に明細書を添付)

(3)特定少額資産販売事業者登録制度の創設

①納税地の税務署長に申請書を提出し、登録を受けた事業者をいう(特定国外事業者が登録を受ける場合には消費税に関する税務代理人があること等を要件に加える)

②特定少額資産販売事業者の登録の取り消し

やめたい届出書を提出した場合には、税務署長はその登録を取り消すことが出来る

③事業者面体制度との適用関係

登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、取り消しを認める届出書が行われない限り、事業者免税点制度は適用しない。

④特定少額資産販売事業者の義務

⑤特定少額資産に係る仕入書等類似書類の交付の禁止

(4)所要の経過措置 R10.4.1~適用

① 免税点に係る特例

基準期間の初日が令和10年4月1日前であるときは、その基準期間の初日から上記(1)<税抜き1万円以下を課税の対象にする>の見直しが行われていたものとし、かつ、下記②の特例によるPF課税の特例があるものとして事業者免税点制度の規定を適用する。経過措置(R9.10~R9.12までの課税売上に4を乗じて計算など)あり

②物品販売に係るPF課税に係る特例 R9.4.1から適用?

イ R9.1.1からこの制度の見直しが行われていたものとして、R9.1.1~R9.3.31のPF課税対象を4で乗じた金額が税込み50億円を超える場合には国税庁長官に届け出義務。長官は、第2種PF事業者として指定。(指定の効力はR10.4.1に生ずる)

③ 特定少額資産販売事業者の登録はR9.10.1から受付

(地方税)消費税における国境を越えた電子商取引に係る課税の見直しに伴い、地方消費税について所要の措置

2 適格請求書等保存方式に係る経過措置の見直し★重要★

(1)免税事業者のインボイス事業者の経過措置
① 3割納税へ

(意訳)R9年及びR10年に含まれる各課税期間は、現行の2割納税の特例は、3割納税になる。

免税事業者がインボイス発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間に限る。

② 適格請求書事業者が上記①の適用を受けようとする場合には確定申告書にその旨を付記するものとする

③ 簡易課税選択 提出期限

上記①の適用を受けた適格請求書発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限までに、その翌課税期間について簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地の税務署長に提出した時は、その翌課税期間から簡易課税制度の適用を認める。

(注)現行の免税事業者のインボイス登録事業者についても上記と同様の措置、令和8年10月1日以後に終了する課税期間から本措置(おのでら:簡易課税を前期の課税期間の申告期限までに提出すればOKにできる)できることとする。

★おのでら:たとえば個人事業者でR8年分はR9.3.31が申告期限で、R9から簡易課税したい時はR8.12.31までに簡易課税選択届出書を提出しなければならないのだけれど、

インボイス制度(課税選択もとあるけど、確認が必要)がなければ免税事業者になれた事業者はR9.3.31までに簡易課税制度選択届出書を提出すればR9年分から簡易課税の適用OK,という意味かなと思います。

免税者のインボイス登録の場合、簡易課税は3割特例と比べて有利な方に出来るけれど、簡易課税を選んだら一般課税は選べないから慎重にネ。簡易課税やめたい場合はやめたい届出書の提出期限が厳しい(2年縛りあり・課税期間開始前)から計画的にネ。

(2)インボイス無しの課税仕入れ8割控除 改正

① インボイス無しの課税仕入れの仕入税額控除を改正

イ R8.10.1~R10.9.30は70%

ロ R10.10.1~R12.9.30は50%

ハ R12.10.1~R13.9.30は30%

② 一のインボイス無し事業者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で1億円(現行は10億円)を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、本経過措置の適用を認めない。R8.10.1以後に開始する課税期間から適用

★おのでら:1億円も許すとはけしからん!1000万円が妥当だと私は思うけどね!

3 自動車関係諸税の見直し 124頁から

自動車税は、税理士が計算しないし消費税の改正がアツくて自動車税どころではないので、関係ある方は他のサイトで自分で見といて。

4 国際観光旅客税の税率引き上げ R8.7.1~

出国1回につき3000円(現行は1000円)に引き上げ。

5 租税特別措置等(大事なのない)

延長と拡充。

たばこ税延長、石油石炭税の軽減措置と還付措置を3年延長、衝突警報装置関連で自動車重量税率の特例措置をR10.8.31まで延長

軽油引取税の課税免税の特例、物品役務相互提供協定で3つの国を追加

6 その他

(1)暗号資産に係る課税関係の見直し ★

金融商品取引法等の改正前提で、改正法施行日の属する翌年1月1日以後の暗号資産の譲渡から適用

① 暗号資産の譲渡を有価証券に類するもの(現行は支払手段に類するもの)の譲渡として引き続き消費税を非課税

② 消費税の課税割合の計算上、暗号資産の譲渡の対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入する

③ 暗号資産の貸付について消費税を非課税。その他所要の措置

(2)盗難特定金属製物品

一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除を認める再生資源等に係る特例の対象から盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律に規定する特定金属くずを除外するとともに、

同法に基づき特定金属くず買受業の届出を行っている事業者がインボイス無し事業者から棚卸資産(消耗品を除く)として買い受ける特定金属くずについて、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除を認める特例の対象に加えるほか、所要の措置を講ずる。

盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律の施行の日から起算して3月を経過する日の翌日以後に行う課税仕入れについて適用する。

おのでら:そんな法律あるんだ!地方で銅線が盗まれてるから取り締まって欲しい。特定金属くず買受業はインボイス登録しないんだ。駅前とかで「不用品買い取ります!」な業者のことかしらね。

(3)消費税に係る貸倒の範囲に円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続きに関する法律の規定による権利変更決議に基づいて債権の切り捨てがあったことを加える。

(4)輸出免税 代金の現金受領 R8.10.1~

輸出として行われる資産の譲渡又は貸付のうち、その輸出取引の代金を現金等により受領したものについて、消費税の輸出免税の適用を受ける場合には、輸出したことを証明する書類として、現行の証明書類に加えて、輸入国における輸入許可書等(その電磁的記録を含む)を保存マストとする。R8.3.31までの締結は適用せず。

(5)国内不動産の海外における仲介手数料等 R8.10.1~

非居住者に対して行う国内所在の不動産に係る役務の提供等について、消費税の輸出免税の適用対象から除外するほか、所要の措置を講ずる。R8.10.1~。(R8.3.31までの契約は適用ナシ)

(6)金又は白金の地金の仕入税額控除の要件、特定在留カード等を加える。

(7)社会福祉法の改正前提、解散時における残余財産~見直し後も引き続き消費税別表第三法人とする

(8)社会医療法人の改正後、引き続き消費税別表第三法人とする

(9)一定の更生保護事業として行われる資産の譲渡等について引き続き消費税を非課税とする

(10)介護保険法等の改正前提、一定の居宅サービス等を引き続き消費税を非課税とする

(11)学校教育法の改正で創設される専修学校の専攻科に係る授業料、入学金について消費税を非課税とする

(12)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付に係る医療について、所要の法令改正を前提に引き続き消費税を非課税とする

131頁まで

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。