税制改正大綱 令和8年度 五 国際~八 関税 検討課題

2025.12.27 令和7年12月19日、自民党の令和8年の税制改正大綱が出ました!閣議決定は12月下旬予定。法律になるのは年明けです。

具体的内容を読みます。 五 国際課税 六 防衛強化 七 納税環境 八 関税 第三 検討課題

自民党HPより→https://www.jimin.jp/news/policy/212129.html

与党税制大綱 令和8年度 132頁から 155頁(最終頁)まで。自分まとめです。

通常の税理士業務では直接関連がないことばかりです。けど、世の中や社会の今後の流れを知っておこう!6200字も書くことないのに~。

クリックできる目次

・おのでらの興味深いまとめ

★・固定資産税の免税点が上がった!

固定資産税。家屋の免税点30万円、償却資産の免税点180万円へ、令和9年度から。

・不動産取得税の免税点も上がった。

・基礎控除のズレ 住民税の税額控除

基礎控除の所得税と住民税のズレ(基礎控除の上乗せは所得税のみ)で、住宅ローン控除や寄付金控除は住民税を受け皿にして納税者がなるべく不利にならないようにするのかな、と思います。願望。

・基礎控除のズレ 年金受給者

基礎控除の所得税と住民税のズレ(基礎控除の上乗せは所得税のみ)、年金受給者は、源泉徴収が生じ無くても扶養親族等申告書を出せるようにするみたいです。令和9年分からだから、令和8年秋の提出の分から、かな。基礎控除上乗せ予定期間の2年間だけかもです。

所得税がゼロなのに、なんで住民税が下がってないんだ!な場合は、市町村の計算ミスではなくて基礎控除の所得税と住民税のズレの可能性がかなり高いです。

・非居住者の口座情報の交換。

逆にいえば、日本に住んでいて外国に口座があると情報が交換されているってこと。外国に財産を隠しておけばバレない、と思っている人はいないと思うけど。国家権力を甘く見てはいけません。

・防衛税創設。

法人税の防衛税が始まったばかり、負担すべきは個人だ、と当初から言われていたけれども、こんなにも早く所得税に来た・・・・。復興税の一部を防衛税と名前を変えただけ、なのだけれども、一旦別に創設してしまって。。。。復興税の期間が10年延びました。

防衛力が抑止力効果で国民の安心になるのはそうかも。国際的緊張を招いてないといいけど。東日本大震災では、被災地に温かい食糧や臨時のお風呂を準備して、自衛官たちは冷たい缶詰を食べていたと聞いた。テント内で固い地面で眠っていたのかなぁ。

日本は戦争の凄惨さを経験したので、外国に何かすることはないです。全世界がせーので一斉に武器を手放して、防衛税が不要になって復興税に戻ってほしい。今は無理でもいつかは実現したい願い。(国内の治安維持も心配だし、どうすればいいんだ)

・犯則調査の強化

国際的だったり、デジタル資産だったり、課税庁の取り締まり強化。犯則事件が何かあって、てこずったから法整備になったのかな?不正はしっかり取り締まって欲しい!

現在は犯則調査だけですが、段階的に一般納税者にも範囲が広がってくるかもしれません。強権的、高圧的な税務調査は許さないけど、みんなで負担する税なので、ズルはいけません。こうすれば税金バレない、なウソ情報販売に騙されないでください。

・地方税ダイレクト納付の場合の延滞金計算

エルタックス(地方税)のダイレクト納付の延滞金の計算、とあります。期限ぎりぎりで申告してダイレクト納付すると、銀行がクローズしてるから翌朝に引き落としされるけど、延滞金の計算では申告期限内納付になるようです。

五 国際課税

1 グローバルミニマム課税への対応

グローバル企業には多少の関係があるかもしれませんが、まちの小さな法人には影響ないです。

グローバルミニマム税の施行にあたり、制度移行時の繰延資産・繰延負債のうち、一定のものはないものとする、と書いてあります。

外国に会社を作って法人税を安く済まそうとするスキーム対応で、国際最低課税額に満たない法人税である場合には、追加法人税をかける、というのがピラー2(第2の柱)だった・・・はず笑

2 外国子会社合算税制等の見直し

R8.4.1~見直し。解散したり、外国金融子会社だったり、ペーパーカンパニー特例、外国の累進税の場合は最高税率特例など、耳馴染みのないものばかりなのでスルーしま~す

3 その他

(1)外国組合員の課税の特例の見直し

(2)非居住者のカジノ行為の一時所得の非課税の適用時期

特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定状況等を踏まえた所要の措置。

(3)特定外国法人が~債券現先取引に係る利子等の非課税3年延長

(4)非居住者の金融口座情報の自動的交換の報告制度

履行保証金弁済信託契約の締結を除外

六 防衛力強化に係る財源確保のための税制措置

1 防衛特別所得税(仮称)の創設

令和9年以後、当分の間、防衛税創設

基準所得税について1%の税率を乗じて計算した金額

納付方法等は復興特別所得税と同じで、

確定申告等で納める

源泉徴収あり

復興特別所得税を1%減らすので、源泉徴収額や確定申告で納税する額に追加は無し。(現行は復興税2.1%でしたが、令和9年からは防衛税1%と復興税1.1%=合計で2.1%)

復興特別所得税は、令和29年まで延長(現行は令和19年まででした)

七 納税環境整備

1 国税犯則調査手続きの見直し

(1)国税犯則調査手続きの見直し

おのでら:国税犯則調査、とあるので、普通の税務調査の話ではありませんです

①電磁的記録に係る証拠収集手続きの整備

イ 当該職員は、犯則事件を調査するため必要がある時は、裁判官があらかじめ発する許可状により(中略するけど、保管者又は権限所有者)次に掲げる方法(カッコ省略)により電磁的記録提出命令をすることができる。

(イ)電磁的記録を記録媒体に記録又は移転させて記録媒体を提出させる方法

(ロ)電気通信回線を通じて電磁的記録をその命令をする者の管理に係る記録媒体に記録させ又は移転されせる方法

ロ当該職員は、電磁的記録提供命令をする場合において、必要があるときは、裁判官の許可を受けて、その電磁的記録提供命令を受ける者に対し、1年を超えない期間を定めてみだりに電磁的記録提供命令を受けたこと等を漏らしてはならない旨を命ずることができることとする。

必要がなくなったときは、自ら又はその命令を受け他者の請求によりこれを取り消さなければならないこととする。

ハ 上記イ又はロの命令について、命令違反の罰則を設ける。法定刑は、1年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金とする

ニ 当該職員は、電磁的記録提供命令により提出された記録媒体又は提供された電磁的記録について、内容を確認するための措置をとることその他必要な処分をすることができることとする。

ホ 当該職員は、電磁的記録提供命令の許可状の提示をするため必要があるときは、裁判官の許可を受けて、人の住居等に入ることができることとするとともに、次に掲げる処分その他必要な処分をすることができることとする。

(イ)錠を外すこと

(ロ)何人に対しても、当該職員の許可を受けないでその提示をする場所に出入りすることを禁止すること

(ハ)上記(ロ)の処分に従わない者について、これを退去させ、又はその提示が終わるまでこれに看守者を付すること

ヘ 当該職員は、電磁的記録提供命令をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないこととする

ト 当該職員は、電磁的記録提供命令をするに際し必要があるときは、警察官の援助を求めることができることとする。

チ~ヌは、提出を受けた記録媒体の処分について

ル 通告処分にうより納付すべき金額等の範囲に、電磁的記録提供命令により提出させた記録媒体の運搬及び保管に要した費用を加える

ヲ 国税局長等は、間接国税に関する犯則事件を調査し、反則の心証を得ない場合において、電磁的記録提供命令があるときは、その解除を命じなければならないこととする。

ワ 所要の手続きについて

カ 記録命令付き差し押さえを廃止する

②許可状等の電子化

イ 許可状について、書面によるほか、電磁的記録によることができることとするとともに、許可状が電磁的記録による場合には、裁判官により記名押印に代わる措置がとられたものでなければならないこととするほか、記載事項及び処分を受ける者に対する表示等について所要の整備を行う。

ロ 通信履歴の電磁的記録の保全要請について(略)

ハ 領置目録等について(略)

ニ 捜索証明書について

ホ 質問等に係る調書について、書面によるほか、電磁的記録をもって作成することができることとするとともに、その調書が電磁的記録をもって作成されたものである場合には、当該職員等により署名押印に代わる措置が~

③検察官への引継ぎ手続の整備

(2)国税犯則調査手続き等の見直しに伴い

①保全差押えの要件の見直し

②租税条約等の相手国等への情報提供のための調査手続に関する規定の整備

③その他所要の措置

(3)刑事手続のデジタル化との一体性に配慮

注1)R9.10.1から施行。

注2)(序盤略)デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り犯則事件等と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないこととする

2 その他

(1)特定電子移転財産権の徴収手続きの整備

R9.4.1~施行

①特定電子移転財産権の差押えは、特定電子移転財産権を徴収職員の管理に移す方法により行うこととする。ただし~(以下略)

③上記①の命令違反の罰則を設ける・法定刑は3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金

注2)上記の特定電子移転財産権とは、第三債務者等がない無体財産権等に係る権利(権利の移転について登記等を要するものを除く)であって電子情報処理組織を用いて移転するものをいう

(2)差押えに係る不動産売却価額等に相当する国税の~

R9.4.1~

差押え不動産が売却され、かつその不動産の差押え解除について滞納者から申出があった場合において、一定の要件に該当するときは、その差押えを解除することができることとする

(要件は省略)

(3)給料等の差押禁止額の見直し

滞納者の給料等の支給の基礎となった期間1月ごとに10万7千円(現行は10万円)(生計一配偶者その他親族があるときは一人に付き4万8千円(現行は4万5千円)を加算した金額)とする

(4)船荷証券等の電子化に伴う整備

(5)学資支給金に係る国税滞納処分による差押禁止措置の整備

(6)生活保護法の保護金品等に係る差押禁止措置の整備

(地方税)

(1)ダイレクト納付の利便性の向上)(地方税)

R10.4.1~

el-taxにより行われる期限内申告等と併せてダイレクト納付の手続きが法定期限当日に行われた場合(税額1億円以下である場合に限る)において、法定納期限の翌取引日にその納付又は納入がされたときは、法定納期限当日に納付又は納入があったものとみなして、延滞金に関する規定を適用する

(2)国税・地方税の情報連携の拡充

国税・地方税当局間での情報連携について、個人住民税・固定資産税・自動車税・軽自動車税・滞納情報に関するオンラインでの照会を可能とするとともに、行政機関間の通知を対象に、固定資産税の償却資産に係る配分通知等を追加する。

オンライン照会機関はR9.5.1~、団体間回送手続の対象追加についてはR9.9.1~施行

(3)個人住民税における配当課税に係る所要の措置

大株主3%以上の上場配当は引き続き総合課税、配当割の対象とする等の所要の措置

(4)個人住民税における公的年金等受給者の扶養親族等申告書

公的年金受給者の扶養親族等申告書について、所得税のマル扶の提出義務がない公的年金等受給者のうち、一定の者は申告することとなる等の措置を講ずる

R9.1.1以後の公的年金等について適用

(5)所得税の基礎控除の額の引き上げに伴う個人住民税における所要の措置

令和7年の住宅ローン控除と、寄付金控除について、所得税の基礎控除の額の引き上げに伴い、所要の措置を講ずる。

住宅ローン控除の控除限度額の措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。

(6)個人住民税における退職所得の特別徴収票の所要の措置

R8.1.1~

el-taxによる簡便な提出方法が整備されるまでの間、市町村への提出を省略可能とする措置を講ずる

(7)大規模災害時における森林環境税の免除手続きの所要の措置

特定非常災害の指定を受けた被災者のうち、免除要件が明らかである場合には、森林環境税の免税申請がなくても市町村長が免除することが可能とする所要の措置

(8)地方税反則手続き等の見直し

上記、国税と同じかと思われます

(9)特定電子移転財産権の徴収手続きの整備

上記、国税と同じかと思われます

★(10)固定資産税の免税点の見直し

固定資産税について、家屋に係る免税点を30万円(現行20万円)に、償却資産に係る免税点を180万円(現行150万円)にそれぞれ引き上げる

令和9年度以後から

(11)不動産取得税の免税点の見直し

不動産取得税について、土地に係る免税点を16万円(現行10万円)に、家屋に係る免税点のうち建築に係るものについては1戸につき66万円(現行23万円)に、その他のものについては1戸につき34万円(現行12万円)にそれぞれ引き上げる

(12)船荷証券等

(13)学資支給金

(14)生活保護法の保護物品等

八 関税

1 暫定税率等の期限延長

2 少額輸入貨物への対応

3 不当廉売関税に関する迂回防止制度の創設

割増関税の適用可能とする制度を創設

4 関税の犯則調査手続きの見直し

第三 検討課題

1 年金課税

少子高齢化が進展して、年金受給者が増大。

世代間、世代内の公平性を確保や、

老後保障の公的年金、公的年金を補完する企業年金を始めとした各種年金制度のバランス、

貯蓄・投資商品に対する課税との関連、

給与課税等のバランス等に留意するとともに、

平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討する。

2 金融所得課税の更なる一体化

デリバティブ取引に係る金融所得課税の更なる一体化、租税回避防止について総合的に検討する

3 小規模企業等に係る税制のあり方

働き方の多様化や、同族会社や給与所得者との課税のバランスを踏まえ

個人事業主の勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮しつつ、正規の簿記による青色申告の普及を含め、記帳水準の向上を図りながら、引き続き給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討を進める。

4 原料用石油製品等に関する免税・還付措置

引き続き検討する。

5 事業税における社会保険診療報酬に係る~

事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性や地域医療の確保の観点から、そのあり方を検討する。

6 電気供給業及びガス供給業に係る外形標準課税

電気供給業及びガス供給業に係る外形標準課税については、地方税体系全体における位置づけや個々の地方公共団体の税収に与える影響等も考慮しつつ、事業環境や競争状況の変化を踏まえてその課税のあり方について引き続き検討する。

<おのでら:前回、令和7年度税制改正の検討課題は8つ。3暗号資産と、8新築住宅の固定資産税減額の2つが改正したので削除され、残りの6つが残留、新規の検討課題はなしでした>

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。