平成29年第13回税制調査会 個人所得課税

29.10.29 平成29年第13回税制調査会 平成29年10月23日開催。書き起こしっ。後半の個人課税のあり方について。

所得控除方式を考え直す時代が到来か!?もちろん税額控除が最高よ。さて、主税局の方のプレゼンを聞いてみよう。

(前半の13回税制調査会 シェアリングエコノミーに関する過去記事)→https://mina-office.com/2017/10/29/chousakai-29-13-eco/

・所得控除の現行制度と所得ごとの内訳

所得控除方式では、合計所得に応じた税軽減率が高額所得者ほど小さくなっているので所得再分配機能があるよ。税額控除方式にすると、合計所得に応じた税軽減率は高額所得者ほど下がっていくよ。

(収入に応じて税額軽減する率という数字は必要あるのか?ないでしょうね。歪んだ構造をもたらす犯人こそこれよ。)

次に、給与所得者の内訳をみてみるよ。非正規雇用が増えたよね、非正規雇用の多くは女性と高齢者だよ。

次に、自営業者の内訳をみてみるよ。2010で、自営業は下がっているけども、「雇用的自営業」がすごく増えているよ。シェアエコのように、これからどんどん増えていくと思うよ。

副業をしたいという人は増えているよ。国も応援したいんだよ。

さて、所得の内容について考えていくよ。現行では、所得の種類に応じて差別しているんだよ。給与所得は「給与所得控除」があるし、公的年金は「公的年金控除」があるんだよ。自営業者が可哀想かもしれないね。

他国では、所得ごとの差別はなくして、人的控除を手厚くする方式の国もあるよ。

・給与所得控除は多すぎ?

今まで、給与所得控除は恵まれすぎていたし、人的控除も手厚すぎていたし、昭和49年の大きな改正で1兆円ほどの減収となったんだよ。単身の課税最低限は77万円にまで下げたんだよ。

(一気に下げすぎたんだね。その後、既得権益化して今に至っているんだ。これは、給与所得控除は据え置きにして、人的控除を減少すべきだ。ガンバレ主税局の人!)

当時は、給与所得者の実額控除制度もなかったし、給料が高めの人は実額負担額の方が上回る実態もあったという背景もあって、給与所得控除を増やしたんだよ。

昭和40年代当時の年収の10%がサラリーマンの経費だったけど、この頃の家計調査などで調べてみると、現在のサラリーマンの経費相当額は年収の4%程度にしかなっていないんだよ。それに、現在ではレシートを集めて実額控除も認められているようになったし、現行の給与所得控除って現在の状況にマッチしているんでしょうか?

外国比較しても、日本は圧倒的に給与所得控除が高い、ぶっちぎりだよ。

と、給与所得控除が多すぎるというプレゼンをしてきて、さっき言った「実額控除」は実は特定支出控除という考え方で限定されてるんだよね、でも時間ないから飛ばすね、テヘペロ。

・公的年金控除は金持ち優遇?

次に、公的年金控除の話に移るよ。

会計検査院から、「公的年金控除は経済力が落ちたことに対する配慮であるけれども、年金以外の収入、例えば給与所得がある場合にどちらの控除も使えてしまうのはいかがなもんか」

と言われちゃったんだよ~。どうしよう。

日本の年金に関する税制は、拠出段階(支払時)にも課税がなく(所得控除で減税効果)があり、かつ収入時にも手厚い控除があるので課税がほぼない。

アメリカの制度設計は、年金受給者が他の所得がある場合には年金所得控除を段階的に減らす方法にしているの。会計検査院様の指摘に対して、アメリカの制度を取り入れると応えることができちゃう。

・シェアエコの所得捕捉

次に、シェアエコの所得捕捉について。

会社が個人に対して仕事を依頼する場合には、報酬の源泉徴収制度に該当するケースが多いから、税務署に対して支払調書を提出義務があるので所得捕捉できるから心配していないの。

けど、個人間取引は、税務署に対して誰もお知らせしてくれる人がいないので、所得捕捉が出来なくなっちゃって厳しい。だから、プラットフォーム業者に所得捕捉に関するデータ提出要請が出来るようにしている外国が多いよ。フランスでは、プラットフォーム業者に対して情報提供を2020年から義務付けるらしいよ。日本はどうする?

(報酬の源泉徴収制度はやめてもらいたいなぁ。業者の事務負担が増えそうで、システム利用料に反映されてしまう。個人の銀行口座のマイナンバー紐づけで所得捕捉できるんじゃないの。シェアエコのプラットフォーム業者に定期的に資料せんの提出を要請すればいいし、提出しなければ税務調査に行けば良いよ。)

・老後の資産形成に対する税制

次に、老後の資産形成についての税。

退職金は勤続年数20年超で優遇措置があるけど、多様な働き方をにらんで、このままでOK?

老後の資産形成として公的年金のほかに国民年金基金、個人年金制度や401k(個人型DC)、小規模共済などがあって、こちらを手当てするなら退職金も一緒に課税を検討すればいいんじゃないの。

(老後の資産に課税を検討し始めたら、誰も将来に備えないよ。未来の自分に対する仕送りなのに、年取って働けなくなって、シェアエコできる資産もノウハウもない人はどうするの?私の老後の頃には、尊厳死を認めて、貯金を使い果たしたら死ねる制度も一緒に考えておいてよ!!怒 と、ヤケクソ意見はともかく、年寄りには税負担を軽くして孫に貯金をつぎ込んでいただき、使い残しには相続税を課せるから、年金受給者の税負担は現行通りとすべきだ!)

・年金収入が給与収入だった!

ところで、年金受給者の税務に関しては、昭和62年まではなんと!給与所得だったみたいね。年金収入も給与収入に合算し、「老年者年金特別控除78万円」を控除した残額に対して給与所得控除のプラスして上乗せされていたみたいね。

ということは、昭和62年までは、年金から源泉徴収が行われていなかったことが分かる。ためになる私のブログ。

 

・個人住民税

所得控除が所得税と相違するのは、住民税は会費のような性質があるので、所得税よりも広く税負担を課すために住民税の人的控除は少し減っているんだよ。政策的な所得控除や税額控除については、住民税には関係ないから。地域社会の会費だからね。

(だったらふるさと納税はどうなんだ)

住民税は一律10%だから、所得控除方式でも税額控除方式でもどっちでもいいよ。

公的年金控除は所得税と同じだけど、給与所得者は給与所得控除の上限があるけど公的年金控除は上限がないよ。(だって、上限を設けるほど、公的年金を貰う人は少ないからね)

・参考資料より

個人住民税の均等割 3500円+1500円の納税義務者は6,200万人(3,300億円)

個人住民税の所得割 納税義務者は5,700万人(11兆7000億円)

(参考:所得税の納税義務者は5,300万人、18兆円)

個人住民税の所得控除を所得税と比較して減少させていることにより、400万人の納税義務者が増えている。

個人住民税の非課税枠なども考慮して、児童手当や公営住宅、保育料の金額が変わるんだね。知らなかったよ。年金受給者の後期高齢健康保険料の一覧など、見やすい資料あり。これは、助かる。

住民税の参考資料(リンク切れありえる)→http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2017/29zen13kai4.pdf

 

・質問コーナー

質問1(ドイさん)

国民からの誤解を受けないようにして!サラリーマン増税や低所得年金受給者いじめ、とか言われちゃうんだよ。そうじゃないんだよ。

所得控除は所得再分配機能が薄れているから現行は良くない。公的年金控除と給与所得控除との比較が議論される。公的年金控除は手厚くて世代間の公平を損ねていると言われた。違う、所得再配分の話をしてるのに、給与所得控除65万円と公的年金控除120万円という金額比較されるのは違う。

問題点は整理することだよ。会計検査院の指摘通り、給与所得控除と公的年金控除のダブル適用は所得再配分を損ねているね。これは国民に対して発信すべきだ。

質問2(タナカさん)

請負労働を今までの所得税の仕組みで課税所得は今のままでいいのか、という考え。給与所得控除がなくなった雇用的自営から見た、「新しいクロヨン」(給与所得者が恵まれている税制)が生まれるのではないか。働き方の多様化の流れは止まらないと思う。税務行政の電子化とのパッケージをよく考えていくべきだ。

請負労働(ギグエコノミー、と表現)、雇用的自営の条件を整備しよう。非正規雇用の中にも、社会保険の考えとして1号に該当したり3号に該当したりする。この問題も一緒に検討すべきだ。労働環境と税務行政のICT化を統合して考えるべきだ。

質問3(オカムラさん)

所得控除方式の見直しについて。ゼロ税率区分をよく検討しないと意味ないことになる。課税最低限は大切。課税最低限以下のデータを税務署は把握していないであろう。CtoCなどの極小の所得については税務署は把握するつもりすらしないであろう。

所得把握という考えと、人的控除の把握とは切り分けて考えるべきだ。合計所得金額に達するまでの金額は何か、という考えは大事。給与所得控除は合計所得金額の経費と考えるか、人的控除も含まれると考えるか、議論すべきだ。

自己研修費用は配偶者特別控除の中に入っている。給与所得控除は所得を得るための費用だと考えるべきだ。原資に関する課税はしない、という租税の基本を大事にしてもらいたい。

質問4 (ノサカさん)

選挙結果を踏まえて全世代型社会保障という考えが大事になってくると思う。公的年金控除は所得制限のような流れはやむを得ないのではないか。

所得控除の見直しは大事。所得再分配機能が弱まっている。国民が理解しやすい制度が良い。

質問5 (オオタさん)

年金受給者が15年で倍増している。年金受給者は、資産額が把握できない。

給与所得者は横ばいで、4割が非正規雇用となっている。自営業者は雇用的自営が増えている。

これらを考えて、それぞれの事情に応じた給与所得控除・公的年金控除などを検討していくと対応し切れないのではないか。

あるべき姿を整理するのが大事。給与控除は経費控除の性格がある。年金控除は人的控除の延長にある。そのうえで人的控除があるという考え方を大事にすべきではないか。

退職金に関する課税に対する言及もあるが、転職者が不利になる制度はやめてもらいたい。

質問6 (ヒラタさん)

シェアエコは、まだオタマジャクシで食用カエルになるまであまり言及しなくていいのではないか。相続税対策のアパート増加問題、不要な借入れをしたりして空室が増えて社会問題になりかねない。

年金については所得階層別の構成について歪みがある。年金制度創立の際には想定していなかった事象が起こっている。直ちに解決に至る対策の仕様があるとは思えない。

消費税の使途変更がありえそうな選挙結果が出た。消費税の目的税化には問題がある。消費税を目的税化してしまうと、所得税の基幹税としての存在感が変化してくることも念頭において議論すべきだ。

質問7 (タナカさん)

給与控除を費用控除という考え方と公平な所得再分配という考え方との検証が大事。社会保険負担を一緒に考えないと意味ないよね。税制調査会だから社会保険について言及できないのだけども。法人なりの税務メリットをよく言われるけども、社会保険も検討すると、法人なりが不利になったりする。

シェアエコの個人間取引について、規模が小さければ考慮外としてもいいのではないか。

質問8 (ドイさん)

控除の所得制限という考えについては、複雑になってしまう。高額所得者の恩恵を減らすけれども中所得者以下の手間が増えてしまって最終形にはならないのではないか。だから、所得控除の所得制限はイマイチ。

税額控除について国民の反応を知りたい。

質問9 (ウメザワさん)

公平と簡素をきちんと実現すべきだ、最終形は人的控除に一元化、所得による区別をなくすべきではないかと思う。

その上で、問題点を議論すべきだ。既得権益者を外すのは大変だからステップを賢く外していく議論を重ねて行けたらよい。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。