30.1.1 源泉徴収制度には、問題点がたくさんある。乙欄をなくして、事業主の納税義務負担を減らすべき。
多様な働き方を推進するのだから、源泉徴収制度の乙欄はなくすべき。甲欄についても、もっと一般常識化して扶養控除等申告書に扶養の数の記入は義務ではないことを周知すべきよ。
・扶養控除等申告書の存在理由
扶養控除等申告書は、源泉徴収金額を選定するためと架空人件費ではない証明のために存在している、と私は思っている。
前取りされる源泉所得税を減らしたい人は「扶養の数」や「障害の有無」「寡婦寡夫の該当」などを記入して事業主に提出する。
いちいち、扶養の数だの障害や寡婦寡夫などの家庭事情を職場に教えたくないじゃん。扶養控除等申告書の上部分の、自分の住所と名前と生年月日だけ書いて押印して提出すれば大丈夫。確定申告で税金は清算することができる。
確定申告が面倒だと思う人は、扶養関係などを記載して事業主経由で年末調整で課税関係を完結させることができる。(これが多くの人が選んでいる方法。)
・乙欄廃止論。
サラリーマンが週末にアルバイトする場合なども出てくると思うので、乙欄は廃止すべきよ。マイナンバー所得捕捉できるようになれば、事業主の年末調整頼り個人課税徴収の時代は終わるよ。
e-tax webだって、すごく使いやすいから2か所給与などの方でも確定申告は自分で出来る。
今は、源泉徴収事務の誤りのペナルティは事業主にかかってしまい、扶養控除等申告書がなければ乙欄としてペナルティを課すことが法律上は可能となっている。(現場では悪質な場合を除き、あんまり聞かないけど。裁判になることもある)
毎年のルーティンとはいえ、正月休みが長かった従業員がうっかり提出を忘れることもあるんじゃない。新しく入った従業員が提出を忘れることもあるんじゃない。扶養控除等申告書って説明が複雑だし家庭事情にも入り込んでいるので話す方も聞く方も、良いことがない・・・。
もう、扶養控除等申告書をなくそう!
全員、甲欄で扶養人数0人でいいじゃない。で、全体の徴収金額をもう少し減らせばいい。
源泉徴収税額表もシンプルになるよ。
いや、源泉徴収税額表を参考にするのではなく、給与支給額について一律〇%などの源泉徴収税額にすればいい。
うっかりミスによる源泉所得税の罰金をなくそう。
・年末調整は行政側がやれば?
マイナンバー所得捕捉して、給与所得者の年末調整は地方自治体で行えばいい。現在でも、扶養関係は地方自治体で補足しているんだし。
ところで、平成30年分から、社会保険料控除・生命保険料控除は国税庁に通知されるようになる。
わざわざ、国税庁に通知される生命保険料控除・地震保険料控除の金額を本人を経由して事業主に転送する意味ってあるの?
扶養の有無を間違えた場合には、秋頃、地方自治体から「扶養と思っていたみたいですが、データ連携したら扶養の枠を超えてたよ。納税不足だよ!」と扶養の是正というお知らせが来る。
扶養は、地方自治体が最終チェックするし、社会保険料はマイナンバーで情報連携できるし、生命保険料控除・地震保険料控除の金額は国税庁が把握できるし、ふるさと納税も理屈上は地方自治体で連携できる。
医療費控除は、一部自動化できるけど全部は無理ね。
このように、行政側の歩み寄りによって、給与所得者の年末調整はもっと簡単にすることができる。しかも、従業員のプライバシーを事業主に提供なしに、よ。
・個人確定申告の未来像
上記の通り、年末調整は行政側が行うような未来が実現すれば、個人確定申告はもっと簡単にできる。
医療費控除・NPOなどへの寄附、配当関係、住宅ローン控除、誰を誰の扶養控除とするかの有利不利判定、障碍者控除・寡婦寡夫控除については、確定申告により「納税者の意思表示」をすればいい。もちろん、期限後申告は認めるべきよ。
給与所得者・年金受給者の確定申告が簡単になるのは、良いことだと思う。なのに、平成30年税制改正大綱では、給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除のカオス化を推進するとは困っちゃうよ。
これから、納税者の納税環境について、どんなことが要請されるのか、現状の問題点と将来像を一緒に考えていけたらおもしろい。
(過去記事)年末調整・住民税の特別徴収 進化論 → https://mina-office.com/2017/10/02/nenmatsu-chosei/