個人事業主の税務 家族口座からの支払の取扱い 所得税法56条

30.1.12 家族口座から支払ったものは、個人事業の経費になるか?贈与税がかかるか?個々の状況により異なるので、税理士に相談してくださいねー。

・家族の口座から支払っている場合

私名義の携帯契約なのに、夫の口座から引き落としになっている我が家。

こういう場合でも事業用部分は経費にして大丈夫。

生活費は夫のお金から使わないとね。なお、私は事業利用分は夫へ返済いたします

・夫からの資金援助は贈与か

もし、事業利用分の金額の返済を免除してくれたら贈与税の課税対象、毎年110万円までは非課税なので、「返さなくていい、あげる」と言っていただいて課税上問題ありませんのです。

贈与税では、扶養義務者間の生活費・教育費は非課税、なのだけれども、今回のように妻の事業用資金を夫が貸してくれている場合には、生活費ではないので「返さなくていい、あげる」は贈与税の課税対象となる。

「出世払い」でいつまでも出世しなければ、返さなくてよさそうじゃない?国税庁HPに聞いてみましょう。

あっ場合によっては「出世払い」で借りたお金は全額が贈与税の課税対象となることもある!・・・といっても、返済能力がない場合には課税対象にならない。

・・・へっ返済能力くらい、私にだって、あるわっ・・・

実務的には、軌道に乗るまでの間、夫や親から借りているお金はきちんと借入金額累計を出しておくことが大事。無利子の場合には借入利息相当額についても贈与税の課税対象になる。

家族から大きなお金を借りる場合には、事業主としてお金の貸し借りについて契約書をきちんと作っておくべきね。これは、税務上の問題もあるけど、経営意識が変わると思う。

(国税庁HPより 親から金銭を借りた場合) → https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4420.htm

所得税法56条 生計一親族に対する支払の必要経費不算入等の論点を考えてみよう。

・夫のカネは私のもの、妻のものは妻のもの?

夫婦別算制という考え方があるんだって。

夫のカネは夫のもの、けど婚姻後の夫の稼ぎは夫婦のもの?民法762条に書いてある。

婚姻後の私の稼ぎは私のもの、と書いてある。夫婦共稼ぎの場合には帰属がはっきりしているから、夫にはあげない、という理論は通用するの?

現在絶賛勉強中!日々の生活の上では、夫婦間の生活費に贈与税はかからないので、あんまり気にしなくて大丈夫ね。相続・離婚があった場合にはちょっとややこしい。

離婚せず、誰も死ななければ、問題はなーんにも起こらない。仲良く長生き。これだよ!

(夫婦間における財産の帰属)
第762条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
民法752条に、夫婦互いに協力し扶助せよと書いてある。
(同居、協力及び扶助の義務)
第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

・事業用経費は返済すべし

夫婦別算制を読むと、夫名義の銀行口座から引き落としされた、妻の携帯代についての取扱いについて考えちゃうね。

夫が借主となっている自宅の一部の経費計上など、妻の事業用のお財布を通さない支払いでも事業用部分であれば経費になるのか?

答:経費になる!

では、夫が支払った自宅の賃貸料のうち、妻の事業で経費計上した金額は夫の収入になるのか?

答:夫の収入にならない。

夫婦別算制じゃないのかい!(所法56条)

所得税法56条 生計一親族に対する支払の必要経費不算入等 の特例制度という話。

現行制度では夫婦は別のお財布と考えて課税する。
夫の給料と妻の給料とは、別々に課税されている。(外国では合算する制度も存在する。シャウプ勧告以前の日本は世帯合算制度だった)

けどけど、個人事業は家族の協力が大事だから、我が家のようなサラリーマンの夫が税理士妻の事業用経費を支払った場合、税理士妻の経費にしてよいし、リーマン夫は税理士妻から返済された金額は収入にしなくて良い

で、税理士妻がリーマン夫から支払ってもらった事業用経費を踏み倒す場合には、贈与税がかかる(相続税法9条)。けど、税理士妻が借金まみれの場合には贈与税はかからない・・・。

ちゃんと返せるってば!

・所得税法56条の経緯

夫婦別算制により、サラリーマン夫に対して妻の事業から経費を多めに支払うなどを行うことにより、恣意的な所得分散を出来ないようにするためにあるみたい。

金額の正しい算定も難しいから、「ええーい、世帯合算制でやっちまえ」ということで特例制度を設けたという経緯があるらしい。

・生計一親族間の経費まとめ 事例

しかし、57条の専従者給与など、「特例の特例」も存在する。この、「特例の特例」は所得税法では超重要論点となっております。

56条の生計一親族の必要経費不算入と57条の専従者給与のまとめ。

例えば、夫が所有する不動産を借りて妻がスナック経営を行っている場合には、妻が夫に支払う店舗家賃は夫の収入にしない

夫が負担した、スナック店舗の固定資産税・減価償却・保険料などについては妻のスナック事業用経費に計上する。夫に支払うスナック店舗家賃は経費にしない

週末にスナックの皿洗いをお手伝いしてくれた夫へのバイト代は相殺し、妻の経費にならず、夫の収入にもならない。

ただし、夫が専従者であれば、特例措置ありえる!

どどどど~ですか、この設問。なお、私はスナック経営はしておりません。

(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)
第五六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす
このような論文もあり、とりあえず25ページまで読みました。残りは宿題だね。(国税庁HPより 親族が事業から受ける対価の取扱いについての考察)→ https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/30/223/ronsou.pdf

 

 

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。