たまには裁判傍聴めぐり

30.9.13 東京地方裁判所で、ふらりと裁判傍聴。

法人税法の裁判傍聴が終わり、折角来たので他の裁判もふらりと傍聴し、交通費の負担比重を下げようという魂胆です。

1、遺言関連の民事訴訟

今日の裁判一覧には、遺言や遺留分の裁判がちょこちょこ出ていた。私は相続税も受任するので、気にしておきたい!

弁論があったので、見に行ってきたわ~。

被告の弁護士が輝いていた!

被告の弁護士は、渡された証拠書類を見て直ちに「これはトーホンですので、提出してしまうと問題がありますよ。確認してください」と裁判長へ差し戻す。

原告の弁護士・裁判官は「ほんとだね!テヘペロ」で事なきを得た。他にも、指摘や論点のまとめ的なことを原告の弁護士がやっていた。

・・・裁判を傍聴すると、スゴい弁護士に出会うことがある。オーラが眩しぃ!

弁護士をお探しの方は、裁判を傍聴してみたら?ひとり一人が全然違うよ。(税理士業務の傍聴制度はありません。)

2、法人税 更正取消

法人税の更正取り消し処分をめぐる民事事件を傍聴。

弁論なので、納税者の弁護士と、課税庁の職員(と思う)が3人。

納税者の弁護士はシニア層で、先週の金曜日までのナントカ書を提出しなかったが、よいか、と裁判官に言われ、

シニア弁護士「先週の金曜日?そんなの聞いていません。言っていません。」

裁判官「・・・記録に書いてありますが・・・」

シニア弁護士「いいえ、記録に書いてあっても聞いていません。私の手帳に書いていないのですから、記録が誤りです」

裁判官・課税庁「・・・・」

という時間があり。あの~。お年寄りだからってそんなのアリ?都合の悪いことを年のせいにして、ワガママでは?弁護士なのだから、年齢で記憶忘れが増えるようだと、裁判が滞ってしまうので、弁護士は老いのスピードによって業務を自粛してもらえないのかしら・・・。まぁ、民事だからしょうがないのかなぁ。

依頼人が来てなくてよかったね・・・。

領収書の束をドサリと提出し、裁判官が困る一幕あり。

この後、

裁判官が「では、原告(納税者)からの論証(と言ったかな?)はないということでよろしいですか」

シニア弁護士「あのですねえ!更正処分というのは、課税庁に立証責任があるのだから、こちら側の論証(だと思う)はないんですよ!(何言ってんだ)」

というやり取りがありまして。

納得いかない理由って、納税者側は言わないの?私が知らないだけで、前回以前のやり取りがを踏まえて、理由は言わないし、レシートを出したのかな?

税理士は、日々の仕訳入力で税務判断を重ねて重ねて、ミルフィーユみたいな税務判断の積み重ねの申告書を作っているというのに・・・裁判ではこういう流れなんだ・・・とか思いながら傍聴する。

課税庁の職員の時間は有限なのであるから・・・。効率的にお願いします・・・。

3、無申告・更正処分 取消訴訟

2つの判決のみ聞いた。

どっちも負けていた。一部、消費税の〇年の〇〇部分のみ納税者の主張を認めていた。

無申告の加算税と延滞税は、取り消されなかった。

4、金取法違反(刑事裁判)

なんと50億円ほどの被害。弁済のためだから、自分の身勝手ではなさそうだった。被告はビシリとしていて、ハキハキと答え、有能そうであった。

だから、「頭がよいから反省していると言うが演技っぽい」という印象があった。

チラリと顔を見たら、ノルマ達成主義の不動産業者のような方で、更に印象が悪かった。

私はボサーっとしたナマケモノみたいな顔でよかったです。(そんなことないよ、ってコメント待ち)

5、震災関連の裁判

通りがかりの廊下で、何やら人が集まってて、なにかなぁ~と思ってみたら、震災関連で電力会社が訴えられた裁判でしたわ。

そういえば、傍聴券を配っていた。

廊下にいた報道の方は、「傍聴券が無くても入れます!」と声をかけてくれて、まぁちょっと見てこうかなぁと傍聴。

ふるさとの奪われた慰謝料が1人300万円では納得できない、農地の除染が30%しか進んでいない、林業が盛んであったが取り戻せない、もう仕事がないから年金暮らしの年寄り以外、ふるさとへ戻ってこない。これからは草刈は各自で、という話だけども、現実的には・・・

という話をされていた。

私は、なんかどうすればいいのかなぁという気持ちがあって、それを友達の弁護士に聞いてもらったら、「被災者は電力会社の備え不足について話しているわけで、小野寺さんの言う論点と違うと思う」

と言われ、あぁ、その通りだなぁと思ったわ。なんでも税金や公平性って観点ばっかりで物事を見ているのは良くないね。反省しました。

しかし、慰謝料は税金から出るわけで、だからといって慰謝料を減らしていいわけではなく、どうぜ税金なのだからじゃんじゃん出していいわけでもなく、結局、どうすればいいんだ。聞いて苦しむ。

目の前の人と、それ以外の人と、どっちの権利を優先すればいいのだ?選べるのか?

6、株主総会無効の訴え

今までも見たことがあるけど、たまに株主総会の決議は無効(というのかな?)である、という民事裁判が行われる。

傍聴に行ったけど、固有名詞が多くて流れを知らない私には何の話なのか分からないまま終わった笑

全然参考にならなかった!

7、まとめ。裁判傍聴のすゝめ。

裁判傍聴は面白い。せっかく時間調整したのに挨拶だけで終わるというものもあるけれど、一度は一日見学してくるのはいいと思うわ。農水省の食堂が隣だよ。

・税務裁判から見えること

税務関連の裁判は、どんなことが争点となってどんなふうに争われているのかが分かる。思わぬことを話し合ってる時がある!

普段の税務申告の時から、気を付けるようにしたいよね。

・相続関連裁判から見えること

相続関連の裁判は、どんなことが後々に問題になるのかということの片りんが見えるといいかも。

遺産分割は家族の問題なのであるが、「今回の場合は弁護士に事前に相談しておいた方が・・・」の一言を添えるべき場合を知っておきたいよね。結局弁護士に相談するかしないかは、ご家族が決めればよいので。

・会社法関連裁判から見えること

会社法関連の裁判は、街の税理士にはあんまり関係がないのであるが、こういうことが問題になることがある、ということを知っておくのか知らないのかという肌感覚は必要だと思うわ。

今回は見に行けなかったけど、薬事法違反の裁判も2つほどあった。

普段は本業に忙しいクライアントの代わりに、裁判傍聴はお勧めです!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。