公開研・住民税2 地方税制度への感想

30.10.7 公開研の論文を読む。地方税の現状と展望について、近畿の税理士会が発表している論文。

理念的なことが書かれていて、難しかったのだけれども、表現が比較的分かりやすくて助かっちゃった。

今回は、単なる私の感想です!

・セーフティネット。

セーフティネットとは、サーカスなど高所でブランコや綱渡りしているひとがミスって落下した時の命綱的なネットのことを語源にしているんだって。真面目に働いていても、色んな理由で働けなくなったりするよね。

それを国民は見捨てないってことだね。誰にでも、ありえることだし。

・制度にただ乗りする人々

他にも、学者が「フリーライダー問題」という問題提起をしているらしい。制度のただ乗りのこと。税負担をせずに利益だけ享受している人がいると、きちんと税負担している人がバカバカしくなるってことだ。

これって、「節税」と呼ばれる法律の範囲内で税負担を軽減する行為(※)と、フリーライダー(ただ乗り)問題と、どう折り合いを付ければよいのか??と思っちゃう。

※(金子宏の租税法より。節税とか税負担を軽減するという言葉は好きじゃないが。)

・引っ越す自由と住民税負担

地元からのサービスという受益があるから住民税、という課税根拠であるならば、いつもは東京で働いていて川崎には寝に帰るだけっていう人でも川崎市に住民税を納税するわけで。地元からのサービスという意味では、勤務している市町村へ住民税を届けるべきでは、という学者もいた。

そもそも、自由に引っ越しできちゃうから、どの市町村に住民票があっても地方税の税負担は一緒なのは大事。、ふるさと納税の取り合いみたいに、住民の奪い合いにならないようにすべきよね~。

・地方税は国税と違う、という論点

所得税と違い、個人住民税のような地方税は再配分機能はいらない。という考えらしい。地元サービスは景気の良しあしに関わらず一定額が必要だから、固定資産税や住民税の均等割りみたいに毎年頂戴できるシステムは大事なんだって~。(けど、景気に左右される税収も欲しいらしい。なにその別腹感!女子か。)

・固定資産税と消費税の担税力。えー。

ところで、担税力、という言葉が税の世界では大好きであり。力持ち(金持ち)は多く荷物をもってもらう、という考え方なのですが。

しかし、不動産を所有しているだけでかかる固定資産税や消費税は、貧乏で担税力に乏しくてもかかるよね?不動産であれば、「納税できないなら、売れ!」という選択もあるが、消費税は「払えないから、買うな」っってこと?

固定資産税が1.4%、消費税が8%というシステムって、私にはあんまりしっくりこないって話でした~。

・個人住民税の単一税率。

個人住民税は比例税率で、所得に対して原則として一律10%なのであるが、これが美しくない、という意見があるらしい。所得税みたいに累進課税にすべきだという意見もあるみたい。

そうかもしれないけど、所得が100万円の人は10万円の納税、所得が1、000万円の人は100万円の納税なのであるから、所得に応じて納税額は多いので、いいんじゃない?

・個人住民税のジャイアン感

所得税の所得控除と住民税の所得控除のルールは若干の違いがありまして。住民税と所得税で所得控除が違う理由は、住民税は地元サービスの経費負担という考えから広く負担させたいということらしい。

所得税からの税源移譲前は、住民税の所得控除は基礎控除の33万円のみだったんだってさ!その後、所得税からのゴリ押しで今に至るようでございます。

なんか、所得税がジャイアンぽくて、住民税ののび太感がかなしいぃ~!

地元住民が大事だから、地方の課税権を大事にしたいよねって話は、ジャイアンのリサイタルだったんでしょうか。

さて、80ページにやっとたどり着いた。

いったい、個人住民税とは、なんなんだー!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。