故・「みなし法人課税制度」とは何か?

30.10.7 公開研の論文を読んでいると、知らないことがワンサカと出てくる。

「地方税の現状と展望」(近畿の税理士会)の論文を読む。全455ページで、既にギブアップ気味な・・・。(けど、その後、結構読んだ。)

・気になる!みなし法人課税制度。

ところで、50ページの住民税の歴史のところで、「みなし法人課税制度」という文言があり、注釈を読んでみると…。

昭和49年に「所得税法に準じて(所得税法はいつからだったんだろう・・・答申が削除されていまして現在分からず)」住民税でも「みなし法人課税制度」OKになった。と書かれている。

平成4年に廃止になり、現在では存在しない制度。

・今は亡き、みなし法人課税制度とは

みなし法人課税制度とは、事業所得・不動産所得がある個人事業主が対象の課税方法だったみたい。税金計算上は事業所得等に係わる利益について、登記をしていないが法人のように考え、事業主の給与相当額を給与収入へ、その他の利益(法人税等と同等の金額を除く)を配当所得として計算する、というシステムだったらしい。通常の計算方法と、選択適用だったみたいね。

・理念は引き継がれ。

おそらく、この考え方は、青色申告会が毎年税制改正要望をしている、「事業主控除」の創設を!という意見が引き継いでいる。

みなし法人課税制度は、そのスピリッツは税制調査会などでもチラ見することがあり、実際の課税方法を論文で初めて知ったよ!

・個人事業主不遇の時代

この頃では、給与所得者が優遇され、個人事業主が冷えてる状況だから何とかしよう、という経済環境になっている。昔の、クロヨンなどと言われ、個人事業主羨ましいという時代は終わった。

法人と個人事業主という、事業体が異なるだけなのだから、考えるべきなのではないか・相続税でも個人事業主に注目し優遇制度を設けるべきでは、という議論が行われている。

・法人には社会保険の加入義務

だからといって、みなし法人課税がさっさと復活するとも思えないけども、社会保険負担との均衡性が図れれば、いいかもね。

今は、法人にすると、ひとり会社でも定期同額給与で社会保険で資金繰りが詰まってしまう現状がある。

ルールは守らなくてはならないのであるから、仕組みをもう少し検討するときかもしれないね。

・なぜやめた?みなし法人課税

で、平成4年に廃止になった「みなし法人課税」制度ですが、廃止の理由は公平感に欠ける、といった事情のようです。過去の税制調査会の報告書を一部読めた部分から推測すると、事業所得・不動産所得の計算過程で経費を既に控除しているのに、さらに事業主給与として給与所得控除を引けるのはズルい、という考え方のようです。

・これはどう?みなし概算経費制度

そう聞けばその通りだけど、みなし法人課税制度を今の時代に合わせもう少し捻って社会保険逃れにケアすれば、悪くない気もするけど。

(かつては法人税は個人課税であったこともあるし。)

事業主にも、概算の経費を認めてしまう制度、というのも、雇用的自営(帳簿すらつけるのが難しい新米の事業主)のためにはいいんじゃない?

概算経費の額を売上げの5%程度にするなど常識的に考えてめちゃ少なく設定すれば、「えっ損してたの?ではこれから頑張る!」と帳簿を頑張る個人事業主に成長するんじゃないかな~。自発的に頑張る気持ちって大事よ。押し付けはよくない。

このような、個人事業主の概算経費というは、耳にしたことがある。青色申告会の改正要望だったかな?申告納税制度の理念がどこかへ行くので、税理士には不評なのかもしれないね。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。