30.10.8 公開研の論文を読む。近畿税理士会の論文のうち、今回は人頭税の歴史を。これはアタリ会!
81ページから、個人住民税の均等割りの話でつまんなそうだから飛ばそうかと思っていたのですが。
めちゃ面白かった!
・均等割りとは
個人住民税の均等割りとは、年間の給与収入が98万円(年間の年金収入のみの場合は153万円)以上ある人は、5000円を負担してくださいというもの。自治体や個々の状況にもよる。
以前の個人住民税の均等割りは4000円だったけど、地震の応援代で平成35年分まで1000円上乗せ、よろしくお願いします!
平成31年からしら~っと始まる森林環境税、こちらも均等割りと同じ扱い。実際の徴収は、2024年からの予定です。
・均等割りの理由
論文では、ゴミの回収や戸籍、教育、医療、警察などのために均等割りはある、と書いてある。ゴミや戸籍という生活に密着した例は、すごくイイ!ね。説明しやすい。
・宮古島・八重山島の悲劇
で、均等割りの歴史で悲惨なものに「宮古・八重島の悲劇」があった。(ネーミングは私です)86ページの注釈をざっくりまとめます!(当時は円ではないけど、分かりやすさ優先ってことで)
1637年以降、宮古島・八重山島では支配する王国から人頭税が課された。「一人あたり〇〇円ね」と言われ。
人口が減ってきて、王国は「一人あたりではなく、今度から村で〇〇円ね。人口数にも左右させるからヨロシク」(定額人頭税)と言ってきた。
宮古・八重山は”節税”を行い、人口を制限するなどし、(就労不能者の排除や嬰児を間引き)税金完納のために行動したらしい・・・。
・イギリス、サッチャーの失敗
イギリスでは割とテキトーな感じで人頭税が始まり、暴動が起きたらしい。
国民が決めることではあるけれども、均等割り5000円ならいいけど50万円になったとき、私は暮らせないんだろうなぁ、とか思う。
停滞しているイギリス経済のもと、地方自治体の補助金による財政依存、これを脱するため地方財 政改革と地方の財政責任を住民にも負わせるという視点から、人頭税を導入しようとしたこと自体は 間違いではなかったかもしれない。
ただし、固定資産税を廃止して地方税を人頭税一本の単税にして しまったがゆえに、近代社会では最も避けなければならない逆進性の方向に舵をとってしまったこと になったのは、結果的に大きな失敗である。
・納税方法
論文の主張には、住民税の特別徴収を廃止し、自分がイニシアティブを持っているんだという自覚を持たせる観点から(と思う)、自ら納付する普通徴収制度とすべきであるという。また、均等割りは、引っ越しがある場合、転出ごとに均等割りを精算していくシステムがいいのではないか、という主張もあった。
私は、その方法は支持しない。個人住民税は現年課税で源泉徴収制度を導入して市町村等が年末調整で清算すべきよ。納税のために手取りの一部を預金しておくという方法は、理想なのは分かるけど、サラリーマンや年金受給者には難しい。滞納が増えて、真面目に納税している人の税金を使ってしまう、と私は思う。
さて、意見は分かれましたが。102ページまで読み終わり。
今回の均等割りの論文は、読みやすくて熱量もあって、すっと入ってこれるのでよかったです!勉強している、というより会話している感じがよかった~。