30.10.23 政府税制調査会。2018年、19回目前半戦のレポ。今回は連結納税制度を簡素化して、もっとご利用いただきたいの回!
政府税制調査会2018。第19回目、前半戦です。法人税法って、おもしろくなーい!
財務省HPより → http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2018/30zen19kai.html
音声は30.11.06まで公開。
PDF資料はこちら連結納税制度について 財務省 税調19-301023
0、おのでらまとめ
今回は連結納税制度の簡素化についての議論。
企業集団の一体性に着目して作られた連結納税制度。これを簡素化すれば、国際競争力って生まれるんかね?私がアホなだけ?会社の欠損金を使いやすくしてあげたいってだけなんじゃないか。税金ですから、単体法人で納税するのが普通では・・・。グループ法人税制と一緒に語るのって変じゃない?
連結納税制度で子会社の欠損金を有効活用ってお気持ちは分かるけど、所得税の扶養控除とは違うんだぞ・・・。グループ法人税制は、いわば生計一親族の必要経費不算入制度みたいなもんでしょ?それぞれ制度趣旨が違うように思うんだけど。
連結納税の税務調査で各社へ波及する現場経理の愚痴的なものや、グループ会社の親子間の関係性についてのアンケートが面白かったわ。
意外と親が子を支配していない実態があった。まぁ、M&Aとかでポテンシャルありそうな関係会社を浮気されないように買収しておくのってよくあるんだろうね。(特にベンチャーは買収されるのが目的だったりするよね)
そうすると、子会社の面倒などみない、だって購入したから独立採算制にすればいいし、親会社に迷惑かからなければいいや~みたいなもんだよ。
だいたい、上場会社って株主の顔色伺うばっかりでお客の顔見てない経営しているなって思うことよくあるし。(あ、これは本件と関係がないボヤキ)
上場企業だけでも3000社の親会社しか適用がない連結納税制度について、そんなに改正って必要なの?上場企業では600社しか利用していないからというのは理由になるのかな。選択適用なのであるから、今のままでいいんじゃないの。
ヤフー租税回避事件を受けて、改正したいんでしょうか。(図星だったりして・・・)
まずは副大臣3人のご挨拶全部で6分間。新しい視点もないご挨拶でした。
そして、連結納税制度について、公務員の方からご説明、その後委員の感想です。
1、連結納税制度の概要
H13.10.19の法人課税小委員会の議論によりますと、連結納税制度とは、
連結納税制度は、企業グループの一体性に着目し、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損 を通算して所得を計算するなど、企業グループをあたかも一つの法人であるかのように捉えて法人 税を課税する仕組み
連結納税制度の意義とは
一体性をもって経営され、実 質的に一つの法人とみることができる実態を持つ企業グループについては、個々の法人を納税単 位として課税するよりも、グループ全体を一つの納税単位として課税するほうが、その実態に即した 適正な課税が実現される
とのことです。
強制ではなく選択制なので、お好きにどうぞってことね。親会社と子会社同士で所得と欠損金が相殺されるメリットもあるけど、一度選択したら原則としてずっと連結納税しなければならず、目先の利益に飛びつくような制度ではない。
法人税法の勉強で、税額算出方法も学んだけど、忘れちゃったよぅ・・・。そんなによさそうな制度ではなかったけど。
ま、それはともかく、連結納税制度導入の背景として、会社法の方で連結会計が重視され、それに合わせる形で税務の方も検討された。イギリスの損益振替方式とアメリカの連結納税方式とを検討したけど、アメリカ方式がいいよね!と、決まった模様です。
こうして、平成14年度から連結納税制度は開始されました~。当初は連結付加税2%があったけれども、平成16年度から廃止、その後も連結納税制度は緩和傾向。
現在では親子合わせて14000社(親会社1700社)ほどが連結納税制度を利用している。
連結納税制度を利用可能な上場企業のうち、23%ほど(約600社)しか、連結納税制度は利用していない。
2、連結納税制度を取り巻く環境
企業グループでは、親子間の意思決定はどう考えているのか?を今回の資料で説明があった。
親が子に対する支配を強める経営方針はあるけれども、子会社にある程度の裁量権を持たせているケースが多いようであったわ。財務や人事、材料調達は、子会社任せにして、データなどの情報は親会社に集約している傾向が強いみたいだった。(ただ、子会社の社長は親会社が決めているケースが多い)
親会社が、子会社を支配して言いなりにさせる部分は限定的で、基本的には経営を自由にやらせている傾向があるようだった。
まぁ、言われたことだけやらせるのって、考えなくなるし。そういうもんだよね。
事務負担面からの現場の声として、
連結納税導入時は、親子が色々とお揃いにしなくてはならず、大変だったようだった。
運用中は、子会社との税務判断の確認が大変という声もあるが慣れれば大丈夫いうお声も。
税務調査が入ると、過去の修正が大変だし、調査が入っていない会社にも影響が出て、地方税やらなにやら、波及するのが大変、とのこと。
現在、未導入の企業からすると、事務負担が懸念事項であり、45日ルールが守れそうもない、単体決算でもギリギリなのに・・・。との声。
(上場企業では、決算日から45日以内に決算短信を証券取引所等へ開示したいらしい)
3、連結納税の税制の変化
平成22年からグループ法人税制が強制適用。
うぅ、難しくて具合悪い。連結納税制度とグループ法人税制の相違点・お揃いの点は以下の通り。そういえば、と思い出してくるね。
・連結納税は選択適用だけど、グループ法人税制は強制。
・連結納税は1グループで1つの課税単位として申告となるが、グループ法人税制は各社が申告。
・連結納税は措置法などが1グループで適用の可否判定・上限となるが、グループ法人税制は各社ごとに切り離して適用の可否判定・限度額いっぱい使える。
・連結納税制度は損益通算・欠損金の通算がOKだけど、グループ法人税制はそれらはNG。
・どちらにも共通するのは、親子間での配当金や寄付金等の益金損金不算入制度。
組織再編税制とは。引用のみでサボる。
✔ 資産が移転する際にはその移転資産の譲渡損益に課税するのが原則。
✔ 組織再編成(合併、分割、現物出資、現物分配)についても同様。
✔ ただし、組織再編成により資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更がない、すなわ ち「移転資産に対する支配が再編成後も継続している」と認められる場合は移転資産の譲渡 損益の計上を繰り延べる、との考え方に基づき、次頁の適格要件に該当する組織再編成で、 対価として合併法人等の株式のみの交付(※)をする場合には、適格組織再編成として課税 繰延べ(株式交換等については、非適格の場合に時価評価課税)。
運用開始して15年間すぎて、連結納税制度の経営環境が変わった。すべての情報が親会社に伝わっている訳ではない。経済社会変化でグループ法人税制や組織再編成税制が出来てきた。
連結納税制度の事務負担が重いこと、グループ法人税制などとの中立性、企業実態を踏まえた簡素化など、連結納税制度を見直されたら・・・?との公務員さんからのご提案です。
・委員からの意見
★神津会長(日税連会長)
連結納税制度は、独立前後の情報は同じであるべきだ。
連結納税制度は維持すべきだ。実務的な問題として、税務調査は1つの会社だけではなく複数の会社の納税額が変更するため、当初申告と同じような事務負担が生じる。更正処分も6カ月かかることもあるようで、スピード感がなさすぎる。
税調の議論をきっかけに簡素化しスピーディな対応が出来るように検討すべきだ。欠損金の取扱いも抜本的な見直しが必要なのではないか。
★佐藤委員(一橋大学大学院経済学研究科、国際・公共政策大学院教)
グ税制と組織再編は損金の問題であるが、連結納税制度は損金の話ではない。もっと親子会社の網羅的な情報が欲しい。実態の問題点を深堀りすべきだ。
簡素化は税務実態面(書類や税務のミスは1社で済ませようとか)と、連結配分の上限などの制度面の見直しをすべきだ。執行面の簡素化と制度面の簡素化を考えるべき。
★土居委員(慶應義塾大学経済学部教)
連結納税を導入しないのは、先の委員の意見のような問題がある事は分かった。会計上では連結会計(連結決算)をして連結納税をしない理由を知りたい。財務(連結決算)と税務の間で煩雑になるのであろうかと思っている。(そんなことない気がするけど・・・)
(別表調整のような意味か?)もっと財務会計と税務会計のバランスを検討して簡素化を検討すべきだ。
控除の適用が複雑なのも良くないのではないか。法人税改革で課税ベースが変容したことを気にしておくべき。欠損金の大企業の制限が広がったため、子会社の欠損金と相殺できる連結納税制度は利用拡大をケアするのはよいこと。
★野坂委員(㈱読売新聞東京本社調査研究本部研究員)
背景の情報を集めて議論すべきではないか。どのような不便があるのかを知りたい。アベノミクス5年半で副大臣がお越しになっているが、たいへん成功している。
連結納税制度を充実させて稼ぐ力をサポートし、国際競争力を付けるのがいい。
★林委員(東京大学大学院経済学研究科教授 )
2つ質問する。
経産省のアンケートは意思決定で、意思決定をしていないことと情報が集まらないことは一致しないのではないか。(?)
<事務局回答:子会社で意思決定していれば、親会社に情報が流れにくい。>
事務負担の現状について税務調査について、納税手続きを電子化することなどにより簡素化すれば解決することなのか、制度の根本的な問題なのか?
<事務局回答:税務調査と電子化の関係について。修正の手間については納税環境の整備・簡素化で改善できるが、内在する制度の調整も必要である。>
★宮崎委員(女性)(千葉商科大学教授・国際教養学部長)
コンプライアンスが重視されるので、連結納税制度を通して内外的に示すことは大切。大企業の監査役をやっていたが、グループ内でも競合関係にあったり、大株主が非居住者であったりすることもあり。国際競争力の土台を提供するような制度にできるとよい。実態には相当複雑である。
実現できる形で議論すべきだ。
★宮永 委員(三菱重工業㈱取締役社長、CEO)
組織再編は活発である。再編成のための買収するなどある。連結納税制度は大変である。(うっかりミスでもないような誤りは大目に見れる制度にしてほしい?)
繰越欠損金の問題、時価評価についてエンカレッジしてほしい。(エンカレッジってなに)完全子会社について公平性の観点もあるが、損益通算メリットを犠牲にしてでも将来のプラスのために諦めることもある。いろんな形で考えてもらいたい
★岡村委員(京都大学教授法学系(大学院法学研究科)
改正の必要性は
内部取引の排除が強制できた、合併と連結の実態の違いがないのではないか。なのに税の取扱いが変わる。
連結財務諸表と連結納税と一緒にしてしまうと少数株式の問題があるため、切り離すべきだ。
★田中委員(醍醐ビル㈱代表取締役社)
15年経ってサプライチェーンなどが変わった時代になった。グローバル化が進んだ。もう一度連結納税制度を考えるべきだ。もっと利用しやすい制度を検討すべきだ。企業からの直接の声を聞きたい。稼ぐ力・再編のためにこの時期に検討すべきだ。
★佐藤委員(再)
地方法人住民税についても考えるべき。地方税との関係性も考えるべき。
★中里会長
実態を重視しろという考えはその通りです。引き続き議論すべきですね。制度設計を再度、簡素化を検討し、よりよい連結納税制度をつくり、企業の事務負担軽減や租税回避の防止の観点も必要です。
少数株主の問題なども考えるべきです。技術的専門的な議論の整理を専門会員で議論を前もって整理してはどうか。田近先生に座長を依頼したい。
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