2019.10.5 個人決算書にはいくつか種類があります。なんと、農業所得は事業所得なのに、決算書をわざわざ分けなくちゃならないんだよ。
どうして、農業所得は、事業所得から独立して計算するんでしょうか?理由を考えてみました。
1、結論
結論:
農業は(白色は)標準率申告をOKにしていたので、農業所得と一般事業所得と決算書を分けていたのではないか。
2、当初の私の考え
当初の私の考え:
きっと、昔は地租だったからだ!それが固定資産になったのだけれども、ひょっこり所得にも課税するようになってしまった。事業所得と一般事業所得と農業所得を分けるのは、クロヨンみたいな所得捕捉率の問題点からかしら?
それに、田畑の広さと農作物の種類が分かれば、数字が誤魔化しにくいよね?そういう観点で、営業所得(一般事業所得)と農業所得を分けて申告させているのではないか!
・・・と思っていましたが。割と当たってたんじゃないか!
3、ともだちヒント
おともだちに相談したところ、
「おのでらさん、農業所得と営業所得を分ける理由を探しているんだ?農業所得標準という存在を知っている?これ、ヒント」
ぬぬ?
4、感想:農業所得決算書の事情
わたしは理解した!農業所得はおもしろいよね!
農業所得標準という推計標準率という存在があり、それが納税者有利だった。農業は帳簿が難しいみたいです。(てか浸透していなかっただけなんじゃ?)
昭和50年代から農業所得標準が疑問視され、昭和50年代からハイテク農業などにより農業所得がアップしていることが分かった。
(税務申告上の農業所得標準のベースを面積ベースから収入ベースにしたから農業所得がアップしたんだ、というオチ)
わたしは思うんだけど、
今、農地の賃借規制の緩和、IT農業の推進により、また農業環境が変わってきたよね。いま、六次産業化の推進などもあって、農業は農作物の販売だけではなく、加工を行って販売しているケースも増えてくだろうし。
自作農による農作物販売と加工品の販売が混在する場合には、農業決算書と一般決算書の両方が必要になり、事業消費の取扱いも少し複雑になっている。もしかすると、農業の決算書はいつか一般事業所得の決算書と統合するのかもしれないね。だってさ、農業所得と一般事業所得は単なる部門別会計なんだから。
5、根拠データ
グーグル先生に聞いてみました。
「農業所得の補足率について」荒井晴仁さんの主要記事の要旨。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999729_po_067902.pdf?contentNo=1
ここで、「農業所得標準」とは、例えば、面 積課税の場合、毎年、予め、地域・作物ごと に、耕地面積10アールあたりの「所得標準率」 を目安として定めるもので、白色申告に特有の 制度である。 農業所得標準は、かねてより、実態より低い ことが指摘されてきた。
例えば、立教大学教授(当時)の斎藤精一郎 氏は、昭和57年の著書で、新聞記事(13)を引用 し、あるハウス栽培農家の場合、農業所得標準 で計算した課税所得が168万円に過ぎないのに 対して、実際の粗収入は1500万円あり、経費率 を50%と高く仮定しても、実際の課税所得は 750万円に上ることを指摘している(14)
昭和53~59年の農業所得の増加について、元 東京国税局長の矢澤富太郎氏は、「マスコミと 一部の学者のクロヨン批判は税務当局を発奮さ せ、捕捉率の改善をもたらした」と述べ、「特 に、農業所得の納税者所得の増加は、標準課税 (面積当たり、収穫量当たり、収入金額当たりで所 得金額を決める方式)から実際の収支計算によ る課税への移行、資料収集の充実、大都市近郊 の水耕栽培などのハイテク農業に対する重点調 査など、税務行政面の改善によるところが大き い(17)」と指摘している。
栗東市HPより→ http://www.city.ritto.lg.jp/kurashi/zeikin/shikenminzei/3793.html
平成18年分(平成19年申告)から農業所得標準がなくなります
農業所得計算書の廃止
これまでは、平均的な農家の所得額(農業所得標準)をもとに、市で農業所得の計算書を作成していました。
しかし、所得計算は収支計算が原則であることや、各農家の経営状況がさまざまであるのにもかかわらず、平均としての農業所得標準を適用することは合理的ではないことなど、課税の公平の観点から見直しが行われました。平成18年分(平成19年申告)以降の農業所得については各農家で収支計算し、申告していただくことになります収支計算とは
収入-必要経費=所得金
実際の収入金額から必要経費を差し引いて計算します。その年の1月1日~12月31日までの一年間の農業に関する収支金額の分かる書類(通帳、売上伝票、出荷伝票、各種農業施設利用伝票や請求書、領収書、レシートなど)の保存や記帳が必要になります。
長野地裁では、給与所得者の白色申告者の納税者が「農業所得標準じゃイヤ」と裁判を起こしたが納税者は負けた。地裁は「本件は調査協力が得られなかったので推計は妥当です」の判断です。
農業所得標準は、農業所得金額を収支実額で算出できない納税者のために、各税務署管内の市町村が組織した農業所得標準協議会や税務協議会等が毎年作成しているもので、この標準率で申告した者に対しては更正しないというのが一般的な慣行になっている。類似の事案は山形地裁でも判決が下りているが、こちらは控訴してその是非が争われている。
(1999.6.18長野地裁判決、平成2年(行ワ)第1号課税処分取消等請求事件)
TabisLand より→ https://www.tabisland.ne.jp/news/news1.nsf/9e701ef4906389b049256619001b6938/74c26bc461d8afcb4925681500081cde
「農民連」は新聞「農民」にて、農業所得標準の廃止を阻止せねば!とのことです。色々、あるなー。
農民運動全国連合会HPより → https://www.tabisland.ne.jp/news/news1.nsf/9e701ef4906389b049256619001b6938/74c26bc461d8afcb4925681500081cde
税務署の説明の主な点は次の通りです。
(1)いままで行ってきた面積課税を収入金額ごとに段階的に廃止し、収支による実額計算に移行する。
(2)収支計算でやれない者、収入金額が一定額より低い者は、税務署が作った「経費目安割合」(所得率)で計算する。
(3)「経費目安割合」は作目ごとに作るが、実際の計算では、その農家の収入金額で一番多い作目に総収入金額を当てはめて計算する。
(4)「経費目安割合」は、青色申告者の過去三カ年分の申告実績をもとに県別に算出する。この中には標準外経費も含む(この点は国税局によって異なる)。
(5)「経費目安割合」には、中山間地、離島など条件不利地域の特例は設けない。
(6)「経費目安割合」に赤字はない。必ず黒字になる。
以上の内容から、農業所得標準廃止が、全農家規模での大増税になることは間違いないでしょう。