2020.8.20 日産の税務調査にて、東京国税局はゴーンさんの私的流用分を損金否認、5年間で10億円の申告漏れを指摘。東京国税局は日産に対し、2億5000万円を追徴課税した、というニュース。
法人税の方が安かったケース。
ん・・・・。追徴額が不足してない??当初、そんな風に思ったのです。
・源泉漏れよりも法人税等申告漏れ?
わたし「源泉所得税があるはず。月給数千万円なので、給与(賞与でも同じ税率だった)の源泉所得税率は約46%。平均すると毎年2億円の役員給与課税なので、役員給与の源泉漏れ9200万円×5年間=4億6,000万円では?」
わたし「法人税もれの可能性を検討。役員の給与の決め方によっては、毎月同額の定期同額給与に該当するかもしれぬ。定期同額給与であれば、法人税もれなし。ジェット利用について、燃料代&利用料相当額が役員給与扱いか?だとすれば認定賞与で損金否認で法人税もれ。」
・・・・と思っていた。よしよし、よく書けたと推敲をしていて気がつく。「申告漏れを指摘って書いてあるから、源泉じゃなくて法人税の追徴だ」と。
あ。そうか、給与課税よりも損金否認の方が、追徴が安く済むってこと??
うーん違うな、ゴーンさんに返金を求めるので、損金否認(会社の経費ではなく、勝手に使われただけ)にしたのかもしれぬ!
(以前も検討したかもしれぬ)
・給与課税かどうかの判断は?
詳細は分からず、妄想な話だけど・・・・。
しかしですよ。
①役員の職務遂行上使ったのか(経費)、
②取締役会承認があり、けど実はお忍びでのみ使ったのか(給与課税)、
③勝手に流用したのか(未収金扱い?)、
どうやって判断するんだい!本人がレバノンへ逃げちゃって、日本に戻ってこないからって、欠席裁判でいいのかい!
レバノンのゴーンさんの自宅もバレてるんだし、いっそZOOMで聞き取り調査すれば?国税局はテレビ東京に仲人してもらったらどうでしょ。仲間割れに税務が付き合うことがないようにご配慮ください。
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今回の、ゴーンさん追放騒動が、謀反なのか革命なのかは、歴史が証明するのだろうけど。
日産が、「源泉?はいはい、払いますとも、国税の言うとおりに納税して、ゴーンさんへ請求してキュウキュウ言わしたらぁ」みたいなことはなかったんですね。(返金されない可能性が高いし)
・せっかくなので源泉所得税について
今回はおそらく関係が無いけど、(せっかく書いたので)源泉所得税について深掘りしますと。
源泉所得税は、事業主が納税する。もし、今回のケースが給与課税された場合、ゴーンさんの所得税と住民税の負担が相当増えてしまう。税の負担者と納税者義務者が異なるのは、良くないよね。
税の負担者の役員・従業員は退職して連絡がつかないでいると、当人へのヒアリングがないまま、課税関係が判断されてしまうのではないか。源泉所得税の納税義務者は、事業主なのであるから。
当の税負担者である従業員・役員が、後から会社から源泉所得税を請求されてビックリ!会社の泣き寝入りで請求できずに終わるケースも多いみたい。良くないよね。
このように、源泉所得税は、退職者がいると事情が複雑化する。従業員を退職させて外注の形式にしているものの、実態は従業員という場合もキケンですわ。
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源泉所得税額って、表を見ればすぐ分かるけども「源泉所得税の対象」が奥深いので、事業主の皆さんは変わったことはしないようにくれぐれもよろしくお願いします(心から)
・経済的利益、恐ろしいコ!
給与所得者に対する経済的利益について、考えてみます!
会社の負担する地代家賃として処理していたが、社長(役員)のプライベート利用であった時には、その地代家賃処理はキャンセルし、社長(役員)への給与として処理する。
経済的利益も、給与なのです。(ちなみに、その地代家賃が消費税10%ならば給与<消費税率10%>で処理します)経済的利益課税された実務経験は無いけど、住民税も後日請求されるよね、そうだよね・・・。
給与としてお金を振り込む代わりに物をあげたり、本来社長が支払うべきお金を会社が代わりに払ってあげたり(今回は外国の自宅家賃)すると、それは「お金の代わりにモノを上げた」だけなので、給与と考える。だって、お金なら課税で、モノなら課税せずにしたらずるいから。
国税庁HPより 役員に対する経済的利益→ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm
法人税法34条4、所得税法36条
給与は、支払の際に源泉徴収をしなければならないのです!(経済的利益の場合は、利益を享受した時に源泉徴収)
お金をもらっていないのに、所得税や住民税を負担しなくてはならないなんて、と思うでしょうけど、手元資金がなくても課税はされます。
・経済的利益についての通達
法人税通達
お金ではない給与(経済的利益)とは、どういうものか。法人税の世界では、経済的利益について通達がある。
国税庁HPより 経済的利益の供与 → https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_02_02.htm
一部抜粋。
9-2-9 法第34条第4項《役員給与》及び法第36条《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(略)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(略)をいう。
(1) 役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合におけるその資産の価額に相当する金額
(6) 役員等に対してその居住の用に供する土地又は家屋を無償又は低い価額で提供した場合における通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額に相当する金額
(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
9-2-11 令第69条第1項第2号《定期同額給与の範囲等》に規定する「継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの」とは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるものをいうのであるから、例えば、次に掲げるものはこれに該当することに留意する。(平19年課法2-3「二十二」により追加、平19年課法2-17「二十」により改正)
(1) 9-2-9の(1)、(2)又は(8)に掲げる金額でその額が毎月おおむね一定しているもの
(2) 9-2-9の(6)又は(7)に掲げる金額(その額が毎月著しく変動するものを除く。)
(3) 9-2-9の(9)に掲げる金額で毎月定額により支給される渡切交際費に係るもの
(4) 9-2-9の(10)に掲げる金額で毎月負担する住宅の光熱費、家事使用人給料等(その額が毎月著しく変動するものを除く。)
所得税通達
所得税法の経済的利益も、通達があります!
国税庁HPより 通達 経済的利益(所得税) → https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/02.htm