2020.10.7 新しい行政改革大臣が「脱はんこ」を政府に要請する、と。恐怖新聞・・・・ではなく普通の新聞に書いてありました。
税務申告にあたり、本人確認は大事なので脱ハンコの風潮に流されないようにしなきゃな~と思った話をします。
脱ハンコの議論を聞くと、その手軽さのメリットが強調され、私がおっかないと感じる。
以前、脱税疑惑裁判の傍聴に行ったとき、
裁判長「法人税申告書にはサインと押印がある。これは、被疑者本人のものですか」
被疑者「そうです。けど、内容は分からずサインしました」
裁判長「では、サインはあなたがしたのですね。間違いありませんね」
被疑者「はい、でも内容は」
というやりとりがあり。
その後の判決で「本人が署名している」ことが大きな責任の所在となった。(そりゃそうだよね)
本人の意思確認は大事です!実務的には、サインの代わりに実印がそれを代替えしていたんだよね。
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意味の無い押印はあったよね。個人の場合、代理人でも認め印さえあればいいみたいな。100円ショップで買ってきたハンコでOKだったりするので意味がないといえばないかも。
けど、高齢者など自分で何か出来ない場合に、代書してもらってはんこだけ推すケースなどあるよね。
法人の場合、代表者より担当役員の方がよく分かっているので、法人の実印押印で済ませていたケースも多かったと思うわ。もし、役所への提出書類が脱ハンコになっちゃったら、、、どういう運用を考えているんだろう。
GビジネスIDで代替え?もしそうだとすると、便利になるけど危ないと思うけど?
段階的な運用にしていただきたく・・・。
・・・・ごり押し感が頭にくる。あんたたちの国じゃないのに。「俺ってデキます感」なのか知らんけどインターネット情報と庶民感覚は一致していないことが分からないのかしら。こういう社会インフラに関わることをトップダウン式な決定で、さっさと決めていいはずがない。現場の職員たちの都合無視してる。役所が混乱して通常業務が遅滞するんだ!(どうしたわたし、落ち着くんだ)・・・・
所得税申告や相続税申告の関係で、年金機構に年金の源泉徴収票の再発行を頼まれて行くことがあり。納税者のサインと渡されるハンコでどうかやっていたけど、ハンコの代わりに本人確認が厳格化されることが予想され・・・・。高齢者の身分証ってハードルが高いんだよ。それに、あんまりそういう個人情報のコピーは預かりたくない。
もし、脱ハンコになると、納税者本人のサインなり本人確認は厳格になるでしょうね。(私はクライアントの申告書は、ほぼ電子申告でインターネット申告しているけど、それでもサインはもらうことが多い。)
それでは2月3月の確定申告が大変だから、サインも押印も省略して税理士の代理権でやっちゃえ~となると、
「え!税理士が勝手に申告した!」となる。
税務申告代理は、やはり対面が原則でしょ。ちゃんと申告内容を確認しなくてはならないのであるから。納税者の顔を見て声を聞いて動きを見ると、嘘ついてるか分かるし。信頼関係が築ければ、次回以降はメール等による意向確認でいいと思うけど。
いっそ、マイナンバーカードで個人財産を一元把握して税額は申告賦課課税にすれば・・・・
さて、本当に脱ハンコになったとしても本人確認がユルくなったとしても、クライアントには原則としてサインはしてもらうべきだと思います。個人的意見。
手間をかけないと、記憶に残らないと思うし、”終わった感”がないじゃん。何らかの確認問題が発生(相続発生や物件売却など)する際には相当の年数が経ってからなので、こっちだって覚えていないという・・・・。
脱ハンコになってマイナンバー紐付け申告になると、税務申告の手続きが大変になるかもね。せっかく進んだ電子申告だけど、紙申告の方が手続きが簡単になったりして・・・・。
恐怖するのは、「ハンコいらないんだから、申告しといてよ!(その数年後)勝手に申告した!私は承認していない!」と言われること。きっと、10年後くらいの税理士会の会報誌に載っていそう。恐怖しんぶ~ん。
※ 恐怖新聞とは、未来の死が記載された新聞のことを指しています。つのだじろうさんのマンガです。悲惨な未来ならば阻止し、よりよい世界にしてくださいませ。