2020.10.20 とうとう、不要になるハンコ供養イベントまで行われ、脱ハンコ機器購入の補助金制度、電子契約の補助金検討などなど。
エイプリルフールではありません。民主主義国家の本当のお話です。
確定申告会場で、やっとこさ終わった確定申告書を手に、「ハンコ忘れ?また来て」と言われることがありました。昔はね。今は、マイナンバーごり押しのため、確定申告会場はほぼe-taxです。(うちのエリアでは)
100円ショップの認め印でもOKな「確定申告のハンコ」など、偶然隣の人が同じ「サトウ」さんなら、貸してもらってもいいんじゃない、程度の効力しか無いです。
なんなら、役所でも「なんか赤いの付いていればいい」という人もいた笑
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それでも、私は結構ハンコが好きですわ。
署名をしてもらって(印字済のものもあるけど)、ハンコを押してもらう。
所得税申告の税務支援の際には、
「決算書の提出用、決算書の控え用、確定申告書の提出用、確定申告書の控え用」と、書類を整えながら納税者と最後の儀式のように行う押印が私は好きだわ。
ハンコに朱肉が残っているでしょう、ティッシュがありますから拭きましょうか、と話してみたり、カワイイハンコですねと話してみたり、ケースがカワイイですねとか、成人式の記念で作ったんですとか、嫁ぐときに母が作ってくれたのとか、嫁に入ったとき、姑がくれたのよとか(これは稀)、
そういうちょっとしたエピソードがある。
ご高齢の方だと、「あなたが押してちょうだい」とハンコを渡されることがあり、目の前でゆっくり押印する。ちょっとズレちゃったり、ハンコって難しいよね。
まぁでも、ハンコ忘れくらいでまた確定申告会場に来てもらうのは申し訳ないから、ハンコ不要でもいいんじゃない。サインがあれば。
ちなみにわたしの事務所では、電子申告なのでお名前は印字済なのであるが、一式だけは納税者の直筆サインと押印をいただくようにしてる。事務所控え用として。
なんだろうね。クライアントの承認確認と、自分のケジメなんだろうね。
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相続税の時は、申告の際の調印が私にとっては大きなセレモニーになる。
相続人の方からサインをもらい、納税者用・提出用・税理士用、と順番に押印いただいている際、私がこれまで辿ってきた被相続人の歴史が、この「間」を通り抜けている気がする。
サイン押印をもらった後、仏壇に向かい、ご報告をする。被相続人はいつも何も語らず、自署押印しないわけであるが、私は少しばかり待つ。承認をいただいた実感を得る。
いずれ、税務申告書のハンコは不要になるそうです。いいんじゃない。
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無くなると聞くと惜しくなる。
数年後には時代が戻っていて、「ハンコ業界から多額の献金があった!ハンコは日本の文化だ、ハンコ購入には補助金」とかになりそう笑