2022.5.24 私の町の小さなお弁当屋さん。ココット。本日で閉店です。世田谷通りの拡張のための区画整理事業で。
ありがとうココット。さようならココット。
5月24日、我が家のカレンダーには夫の字で「ココット」と書いてある。
17時過ぎ、最終日の弁当を買いに行った。20時までだけど、早く行かないとなくなっちゃうときがあるから。
17:40、店内はお母さんたちでびっしり。すでにBのササミカツカレー丼550円は完売。完売!?まだ40分しか経ってないのに???
いつもは、今日は小さめなので140円ですのエビフライやポテトコロッケ、ハンバーグやスープなど、たくさんのおかずが並んでいるショーケースは空っぽ。
ショーケースの脇には、昨日は無かったピンク色の花束。・・・・退職祝いだね、分かる。
日替わりAもすでに内容変更、私は最終組にギリ入り込めた感じ。
「すみません、新しいお客様、もう材料がなくなりました、申し訳ありません!」
あ~、私も無理かも。。。
既に店内のお客さんでオーダーがまだの方もいらして。
「時間かかっちゃいます!30分以上かかりますっ」
オーダーを済ませたお客さんは、「では30分後に取りに来ますね」と店を後にする。
わたしは・・・・。取りに戻ってきてもよかったけど、せっかくなので店で待つことにした。
「待っていてもいいですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
*****
私は、ココットの最終日、ココットのお弁当を店内で待つことにした。
背後の壁にお客さんからの「ありがとうココット」たくさんのメッセージを読む。
へぇ。26年間、登戸の町で、お弁当を提供してきたんだ。
私がココットを見つけたのは数年前。何度か買ったこともあったけど、コロナがきっかけで連日通い始めた、弁当屋ココット。26年も前からあったんだ。
職人気質のマスターがお弁当を作り、女性(奥さん?)がお弁当作成補助と接客を行う。マスターが手をけがして、手に包帯を巻いてビニール袋をかぶせてまで、弁当を作ってくれてたこともあった。
運がいいと、焼きそばを買えるんだけど、みそ味で美味しいの。
幻の豚汁、と呼んでいるのだけど、2週間くらいだけ、豚汁が売ってた。寒い日だからってだけじゃないんだ、なんかウマいんだよ。・・・・持ち帰りが難しくてやめちゃったみたい。
このころから割りばしが既製品になったから、区画整理で建物がなくなっちゃうことは話題になっていたんだと思うね。私はココットは移転するだろうな、遠くに行かれると困るなと思っていた。
私は、ココットの最終日、ココットのお弁当を店内で待つ。
忙しくなってマスターの声にイラつきが出てくるのも、今日で聞き納めか・・・。
ココットの窓越しに往来する車と町の人を眺める。そういえば、今日はラジオがかかっていなかった。
私はココットによく通ってきていて、昼ココ弁、夜ココ弁、一日の食事すべてココット弁当という日もあった。夫もだんだんココットファンになり、夫婦でココ弁することも増えた。
あるとき、夫に「今日はココットで、”奥さん、お昼にAを買われてましたよ、Aを2つで大丈夫ですか?(叱られませんか?)”って教えてもらったよ。危なかった」と言われたこともあった。
またココットのドアがカランカランと開く。
常連のお客さんが来て、すみません材料が終わっちゃってとマスターがすまなそうに言い、お客さんが、いいよ、これまでありがとう、お疲れ様、元気でね、淋しくなるよ、と声をかけて店を出る。
私はココットの店内で、暑い日、寒い日、確定申告の繁忙期、暇な日、楽しい日、悩んだ日、あれらの日々と同じように今日もココットの小さいイスでココットの弁当を待つ。
「お待たせしました~」
ほらね。30分もかからないと思ってた。やっぱり15分待ちだった。
「長い間お世話になりました。ご主人にもよろしくお伝えくださいね」
お元気で、と声を掛け合い、私はココットを出る。
世田谷通りで信号を待つ間、今日でココットが閉店だという事実を受け入れたのか、目が汗ばむ。ココットが閉店して明日から、マスターたちの新しい第二の人生が始まるのだから、通りすがりの町民の私が感傷的になってどうする。お世話になった人をそっと応援するんだ、そうだよ。
3月だったかな。ココット閉店のお知らせがあったとき、すぐにココット・ロスになったよ。
あれから私は落ち込んでいたけれど、、、
私は自分の日記にココットへの思いを書くことにした。
他の人から見れば、「たかが」町の小さな弁当屋が閉店したという話。
おわり。