政府税調 2022年8月5日開催について、おのでら感想レポ

2022.8.17 政府税制調査会レポ。開催日は2022年8月5日です。税財政の現状と委員の意見発言を聞いて、私の感想です。

政府税制調査会 内閣府HPより→ https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2022/4zen13kai.html

事務局からの説明を受けての続き。前回のわたしの記事 → https://mina-office.com/2022/08/16/seifu-zeicho-2022-13-genjo/

税調の委員意見のおのでらメモ 前回のわたしの記事 → https://mina-office.com/2022/08/17/seifu-zeicho-2022-13-iken/

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1、配偶者控除は扶養控除でいいです。

配偶者控除は、扶養控除に戻していいと思います。

これまでの歴史的経緯として、やっと妻の地位向上したのに、という意見がありましょうが。単純な家族の一員という立場に戻していいと思います。

世帯単位課税、それもいい。

夫婦のあり方について正解がない時代になったから、個人単位課税を続けるなら配偶者控除・配偶者特別控除は止めて扶養控除一本化でいいよ。

2、子育て支援は貧乏な子に限定してください。

子育て大事、こども欲しいわ~は今回も目立ちます。

印象的だったのは、子供支援を企業負担させたことについて、十分な議論がなかった、という意見です。反対できないことを推し進めてしまうのって、徴兵制を想起させますわね。だったら、国民の負担が伴う消費税負担の方がマシかな。

租税教育、広報の話も多くありました。子供を労働者の種と思うのやめてほしい。

金勘定なし、後先考えないで子供を産んでも何とかなっていたんだよね。学校教育はタダだけど、クラスで流行しているゲームを買えないと貧乏な家の子はミジメです。塾にも行けないです。生まれる前から、栄養摂取段階で負けてるし。

せめて、貧乏な子にだけ、支援すればいいと思うんです。新しい下着代と、飢え死にしない食糧代。

貧乏な家の子だけを救うなら、財源は、そんなにかからないと思うんだけど。

・専業主婦でもいいって言いたい

人口が減るから、女性と高齢者を働かせよう、も目立った意見でした。若いママが子育てしながら働けって可哀想だと思うんだけどな~。ママが専業主婦である理由が、「家で子供の帰りを待ちたいから」でもいいんですよ。家族の世話は、立派な仕事です。毎日イライラして職に就くより、ニコニコして贅沢を慎んで暮らせばいい。

3、公的年金等控除と給与所得控除廃止し、基礎控除に一本化で。

公的年金等控除と給与所得控除をやめて、基礎控除を一律120万円でよろしいです。

※毎月10万円×12か月=120万円としました!国税の給与の差し押さえ禁止財産額を参考にしました。

どうして、たくさんの収入がある人に控除が多いのか。公的年金等控除なんか、特にそう思う。収入に見合いの出費がないじゃん?

少数意見で光っていたのは、「高齢者の労働力に期待」です。というと、現役世代からシニアは家にいて(仕事の邪魔しないで)と批判がありますので、程よいコミュニティで仕事をしていただきたいと思います。

4、消費増税になります。多分ね。

ひっそり、消費税増税についての言及もありましたネ。

政府税調を聞いていると、誰もNOと言わないので、「そっか~。消費税率が上がるんだな」くらいのテンションで聞いてしまいます。

まぁ、消費税は増税になるよね。コロナでお金使いすぎたし。令和3年の税収増の大きな要因が消費税増税と知れば、「あぁ、消費税増税になる」と思うよ。。。給与所得や年金所得をちょっぴり増税するのは世論が許さないだろうし。消費税しかないわね。

この記事を読み返した時、「そんなにコロナ対策でお金をジャンジャン使って、なんとも思わなかったんですが、アホか」と思われると思いますが、戦時中みたいなもんでした。飲食店を救わないなんて信じられない、可哀想、という意見が普通だったんですよ。いいからコロナ融資うけとこう、返済の事は考えない、預金残高があるから使っちゃえ、でした。借りてるから返すんだよ、贅沢して使わないで、と止めても聞かない事業主は多かったはず。

私は、コロナ・テレビニュース・SNS・事業主の現状・起こりえる未来、を考えて、恐ろしかった。民意を恐れた。

5、給与所得と雑所得。基礎控除一本化で解決

給与所得控除(公的年金等控除も)を廃止して、基礎控除120万円に一本化すれば、働き方に中立な税制になります。所得区分が給与所得だろうと雑所得だろうと不公平ありません。やって。

6、個人住民税の現年課税化へ

これは実現すると確信します。

個人住民税の特別徴収はさすがに時代遅れだし。個人住民税を現年課税化して、源泉所得税と一緒に源泉住民税(一律10%)で徴収し、一旦は国に納税し、地方消費税のように自治体間で分配すればいいです。

交付税で貧乏な市町村に補給してるなら、個人住民税の自治体独自への入金にこだわる必要あります?

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・意見メモを再掲

下記、委員の意見メモを引用しておきます~。

★佐藤主光委員(一橋大学大学院経済学研究科、国際・公共政策大学院教授)

主光1、受益と負担★

広報について、滋賀県の公共交通税について。地元の住民の負担が増えるため、受益と負担の明確なリンクがあるため、良い。(県がやっていた環境森林税のように、使途が明確なものがいい)

国税・地方税(固定資産税、普通税)では難しいのだが、自分たちが受けている公共サービスに引き寄せる形で(税金が使われているという)説明が出来るのがいい。世帯の属性別(子育て世帯、単身世帯、子供世代、高齢世代、など)に周知できるパンフレットがあるとよいと考える。

主光2、環境税

当面の課題としてGX債。グリーン債の償還財源を明確にしたうえで、とあるので償還財源を明確にすべき。償還財源は環境税になると思う。今でいう炭素税になると思う。償還財源。課税べースの抜本的な見直しを含めて議論すべきだ。

主光3、法人税

法人税について、基調が変わってきた。これまでの政府税調では課税ベースを広くして税率を抑えるという話だったが、いつの間にか賃上げ税制などの措置法が横行している。オープンイノベーション税制の話、法人税の税率アップの意見も出てきている。法人税についても検討すべきだ。

主光4、所得税(働き方に中立な)★

所得税について、金融所得課税の議論は避けられない。(非課税世帯には負担増とさせない前提、のような発言あり)

中長期的な課題、所得税の議論の積み残しとして、所得控除は税額控除にすべきだ。清家委員のご意見のように勤労所得への増税を避けるなら、所得税をある程度フラット化・簡素化すべきだ。働き方の中立性の視点から、フリーランス(事業所得)への概算経費を考える・(給与所得者の実額経費を認めるべきか特定支出の制度だけではなく)給与所得控除の見直しについて議論すべきだ。

所得税は、再分配機能の観点から、給付と一体に考えるべき。

主光5、個人住民税★

地方税について、先日のアメリカ出張で面白い話を聞いたので情報共有しますが、日本は1月1日に所在する自治体に納税するが、アメリカでは住居と勤務地と、と途方もないことをやっている。今の日本では、テレワークが進み、年の半分を避暑地で過ごすということもある。

個人住民税の納め方について、1月1日の基準でよいのか、ライフスタイル変化に伴い、納税は住所地でよいのか、また、個人住民税の現年課税化への流れが当然だと考えます。個人住民税についても議論すべきだ。(所得が変動する、住まいが変動するため)

(PC越しに拍手するわたし)

☆土居委員(慶應義塾大学経済学部教授)

足元の物価高の中、増税するのかと国民から不満に思われないようにしたい。

所得課税から消費課税へのシフトが必要。税負担の世代間格差の是正が必要だ。公的年金等控除の見直しと配偶者控除の見直しの意見に賛成する。ただ、世帯間控除がよいと考えている。

EPPMを構築することが必要。税務データを用いた効果検証が出来る制度を構築するべきだ。

広報について、大学生に効果があるのは医療の給付だと思うのでその視点で広報するのがいい。教科書を作っても教員の方に採用されないと反映されない。教員の理解を得る努力が必要。

01.01.30

★岡村委員(京都大学法学系(大学院法学研究科)教授 )

岡村1、課税単位

配偶者控除について。課税単位の問題としても考えるべきだ。

税と社会保障の一体化という意見があったが、税は個人単位、社会保障は世帯合算であるため、つなげるとするとそうなっていくのかと思う。

岡村2、消費増税

土居委員からのご意見で今、インフレの中で消費に関する課税(増税)がどうかという視点があった。税がどう役立っているかという視点、消費に対する負担が当然だと思う。支援を減らして増税するのは国民の理解が得られないだろう。現役世帯の高齢者の医療費負担が増加する。増税するには、国民に分かりやすい説明が必要であろう。

岡村3、給与所得と雑所得

納税環境整備、雑所得を今度どう考えていくべきか。先ほど必要経費の話が出ていたが、青色申告ができない(記帳しても特典がない)、(勤労)給与所得と雑所得との不公平感、働き方の中立、今まで何も申告の心配いらなかった給与所得者が雑所得者になってしまい、考えていなかった、という不安が生じていることがあるようだ。

岡村4、年金税制

公的年金等控除について(関連し)、学生がキツキツで支払った国民年金の社会保険料控除が受けられないまま公的年金等控除が減るのは理論上は不公平感があるのでは。

(おのでら:その場合はご家族が社会保険料控除を受けるケースが多いと思いますので、大丈夫だと思います。多分、岡村先生の意見は、「払った時に社会保険料控除で税負担軽減し、受取時に公的年金等控除で税負担軽減はヘンでは?」なのかしら)

岡村5、法人課税(国際)

法人税の課税ベースの話題があった。国際基準に合わせた法人税の課税ベースになるならば、発想を広く持って、国際会計基準を受け入れるのか。二重の事務負担がないよう、整合性がとれるようにすべきだ。

☆武田委員(三菱総合研究所研究理事 )

生産性を高めるため、女性と高齢者の労働力。配偶者控除の見直し、退職金税制の見直しをすべきだ。

人への投資をすべきだ。DX,GX、イノベーション、変わっていくべきだ。DXはタスクが増えていく、それを担える人材が必要になる。GXを進めるうえで労働移動・スキルアップ、リカレントが必要。

適正価格への転嫁と賃金上昇が必要だ。

データの活用と見える化が必要。当社が行うアンケートによると将来不安が上位に来る。見える化で漠然とした不安を払拭できる。施策の効果測定も必要。

★田中特別委員(醍醐ビル㈱代表取締役社長 )2回目

子育て支援は必要だが、十分な議論がないまま企業負担をしている。議論はしてほしいと思う。

おのでら:勇気のある発言だと感じる。非常に重要な指摘だと思います)

★沼尾委員(東洋大学国際学部教授 )

沼尾1、租税教育

税に対する広報について。受益と負担の見える化を国民に理解してもらうために租税教育という観点があった。教えるのではなく学び考える視点に期待する。

沼尾2、金融所得課税

スタートアップがしづらい税制だという意見があった。過去の税調でも金融所得課税をかけるべき・いまではない、という議論があった。今、もう一度議論するのがいいと思う。

沼尾3、インバウンド・海外労働力

コロナ感染症が終わった後、インバウント・海外からの労働力について税制の在り方をどう考えていくのか。

沼尾4、個人住民税

佐藤委員から、個人住民税について1月1日でよいのかという意見があった。

沼尾5、観光税

観光税の意見がある。観光税だけでいいのか、という意見。

 

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。