大綱のまとめ発表会、済ませました!~消費税インボイス編~

2023.1.11 横浜のお友達・東京地方税理士会会員向けに、令和5年度税制改正大綱のまとめ発表の講師を行いました~!講師というほどではなく、まとめを発表しただけだけど。

与党税制改正大綱の前半22頁は、主に制度趣旨をメインに書いてあるので、それに”おのでらコメント”を追記しました。1時間でそれを読むだけ。

前回の続き

4、消費税のインボイス課税事業者恩恵特例・予定

インボイス制度がなければ免税事業者だったけどインボイス登録をしたから課税事業者になる方(以下、勝手にインボイス課税事業者と略します)を対象に、期間限定の特例制度を作る予定です。

期間限定に弱いワタシですが、期間が終わったら通常の取り扱いになるので注意が必要ですよん。相手に自分のエゴを押し付けると好感度が下がります。

インボイス課税事業者の特例は、いくつかあります。

①2割納税(~R8.9.30の課税期間)

大きいのは、最大で2割納税でよい制度。課税売上額を10/110をし、最大20%の納税でよい制度です。(軽減税率対象の売上は8/108で割り戻す)卸売業以外は、簡易課税の届け出いらんよ!

インボイス課税事業者の特例、原則課税の人は、原則課税での納税額と20%納税と比較して好きな方を選ぶ。別に原則課税で計算しなくてもいいようで。「20%納税を選ぶ」にチェックマークつければいいだけ。課税仕入れ(消費税がかかる経費)の方が多ければ、原則課税で計算して還付を受けられる!

インボイス課税事業者の特例、簡易課税の人は、簡易課税での納税額と20%納税と比較して好きな方を選ぶ。別に簡易課税で計算しなくてもいいようで。「20%納税を選ぶ」にチェックマークつければいいだけ。簡易を選んでいるので原則計算はダメなので、還付は受けられない。絶対に納税になる。

簡易選択しなかった人は、特例期間が終わったときに自動で原則課税になるので、令和7年あたりから「簡易の方がいいかな~」を考えてくださいませ。簡易選択したい方は、計画的に簡易選択の届出書提出マストです。

②簡易選択(~R8.9.30の課税期間)

簡易課税は、当課税期間が始まる前までに提出しないと選べなかったのだけど、インボイス課税事業者の特例で提出した日の属する課税期間から簡易課税選べる。まぁ、これって恩恵を受けるのは卸売り業者だけなので、多くの人には関係ないかも。簡易不適用もOKにして欲しいですが、さてどうなる。

多くの税理士事務所では、インボイス課税事業者の方に「簡易課税なら50%で済むから簡易課税出しておこう!」など、簡易選択を促したケースが多いと思います。私もきっとそうしていた。

しかしですよ!「設備投資があるか不明だから、損するかもだけど簡易課税にしといたら?」な場合、2割納税を知ってれば言わなかったよね。なので、簡易選択不適用も、今から出せるようにしてほしいですわね。

簡易課税でトクしなくてもいい。簡易課税でソンしなければいい。私はそう思う派閥です。

③課税選択(~R8.9.30の課税期間)

インボイス課税事業者の特例、課税選択を出しちゃった人は、今から(期間限定)でも「やっぱりやめます」が通用します。(”1000万円判定などでインボイス制度と関係なく課税事業者”の方には適用ないです)

「インボイス登録したから課税選択を出さなきゃならない」と思い込んで、既に課税選択を提出してしまったインボイス課税事業者の方(税務署がそういう指導をしていた時期があったようです)は、不適用(課税選択やめます)を出せるようにするみたいです!

税務署に聞いても、「法案が可決していないのでまだその法律はありません。」と言われる可能性が高いです。(令和5年4月以降かな?)

5、インボイス制度の特例

①振込手数料の相殺(ずっと。みんな)

全員対象で、売上や仕入の振込・入金の際に手数料を差し引いて振り込む・差し引かれることがあると思いますが、その手数料相当額が1万円未満であれば、インボイス不要になります。

そりゃそうでしょうね。

②1万円未満の全額控除(~R11.9.30まで、事業者限定)

基準期間の課税売上高1億円以下(特定期間5000万円以下)の事業者限定の特例です。

1レシート単位で1万円未満の経費は、インボイス番号の記載がなくても全額控除してOKに。

たとえば、パーキング代200円、通りがかりの喫茶店ドリンク代400円、タクシー代、助かりますわね。

令和11年9月までの特例です。

もともと、インボイス制度導入に伴う経過措置として、免税事業者が取引から除外されないように考えられていました。

「インボイス制度が始まる最初の3年間はインボイス番号なくても80%で仕入税額控除OK、インボイス制度が始まった4年目~6年目はインボイス番号無くても50%で仕入税額控除OKです」この制度は最近影が薄いですが、存在していますです。

これをさらにパワーアップさせた感じなのでしょうね。(みんなが処理がタイヘンとかいうからこうなった)

特例がある間に、ご高齢の免税事業者はリタイアになるかもね。

③インボイス届出の期限

インボイスを登録します・登録やめますの届出書には提出期限があります。いつから自分が登録されているのかどうか。

・やっぱりインボイス登録したい

免税事業者が令和5年10月以降、「インボイスに乗り遅れたから今からインボイス登録します」は、心を決めたらすぐに登録届出書を出すよ!特例が出来るので、次の課税期間を待たずにインボイス登録できそうです!

”課税事業者になることを政府は歓迎するので、次の課税期間を待たない”という思惑もあるかもだけど、取引先から求められた際にすぐに対応し消費税10%を取引先に請求できるようになります。

・インボイスやめたい

令和5年10月1日を過ぎた後、インボイス登録をしたけどやめたい場合には、「インボイス登録をやめます!」の届出を税務署に出します。課税期間が始まる15日前に提出しないと納税義務がなくなりません。(30日前だったんですよ!)

インボイス登録をやめると、消費税10%と記載できなくなります。継続取引先には”インボイスを○月〇日以降はやめました”のお知らせしておくのがベターよ。

インボイスをやめたいのが個人事業主(12月決算)の場合、たとえば令和7年から免税に戻りたいと思ったら、令和6年12月15日(16日か?)までには「インボイスやめます」の申請書を税務署に出します。

う~ん、起算日の計算が苦手なので、、、締切日は自分で調べて!

とにかく!あらかじめ出さなきゃ損するゾ、です!

こういうの、ギリギリだと「1日遅れたから無理」になるので、決めたら即効出しましょう。駆け込み乗車は事故の元!

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。