外国人材の相続税・贈与税の見直しを経産省が要望し、一時居住の外国人が日本国内で死亡しても、「居住者」扱いにせず国外財産は相続税の課税対象に含まれないことが平成29年の税制改正大綱で閣議決定された。
経産省は、高度な知識等を持った外国人(金持ち)が、相続税贈与税の関係で来日を嫌がっている!国内に居住させても税務上不利にならないようにして、日本に来てもらおう!という考えなのかな?
関連して、外国人労働者の税金関係・社会保険関係について考える。
所得税法では、非居住者の税務という論点があるけど、ここでは主に給与所得について考えてみることにする。
クリックできる目次
外国人の住民税・所得税の課税関係
ところで、住民税はその年の1月1日に住所があればかかるよね?外国人労働者はどうなのでしょう?
外国人であっても、その年1月1日に住所があれば、住民税の納税義務者になりえるって。(居住期間が1年未満だと、非居住者扱いになるらしいけど)
ただ、租税条約があるので住民税がかからないケースも。・・・面倒くさっ!
(1)外国人従業員(短期滞在)への給与から源泉徴収せずに済ませよう
では、外国人従業員を雇用した場合には、普通に所得税・住民税を源泉徴収し、各外国人従業員に外国税額控除をそれぞれでやりなさいとでも言う?そんなことを要求したらもめ事になるし、仕事も増えるよねぇ・・・
そもそも、所得税でいえば、その外国人従業員が来日したてで1年未満で帰国するケースだと、非居住者扱いになり外国人従業員への給与支払いの際に20.42%を源泉徴収しないとならない・・・
これって、外国人従業員が納得しないよね。ピンハネと思われちゃう。自ら手続きしないと、源泉徴収税額が還付されないよ。居住者ではないから年末調整できないから。(年末調整できるのは、扶養控除等申告書を提出した「居住者」が対象。※)
あらかじめ租税条約を確認し、該当するケース(ほとんどだと思うけど)には、事業主が租税条約の届出書を税務署と外国人従業員の住所地の市役所税務課に提出して、源泉徴収はしません!と届出おけばよい模様。
住所地に届出をして、住定日を定める・・・とかそんなことをするのでしょうね。
※海外転勤などで、これから非居住者になる人は、年の途中でも年末調整ができる!(国税庁)No.2665 年末調整の対象となる人
(2)外国人従業員(1年以上滞在)への給与からの源泉徴収
では、来日して数年(1年以上5年以下滞在の日本国籍がない外国人)の外国人は、というと、居住者だけど非永住者というくくりになる。
1年未満で帰国予定だったけど、延長して1年以上滞在することになると、居住者(非永住者)扱いになり、所得税・住民税は普通の源泉徴収になるでしょうねぇ・・・
(3)外国人(1年以上滞在)の方は、租税条約の届出書を出しておくとよいかも
1年以上5年以下滞在の日本国籍がない外国人は、居住者(非永住者)なので外国源泉所得も一部日本の所得税がかかってしまうのです!なんてかわいそう。
外国源泉所得は、母国と日本に対する二重課税なので、重複した税金は外国税額控除の適用で複雑な計算をして税額控除を受けましょう!これ、学校で習ったやつ。
どうやら、外国税額控除は、外国からの証明書が必要(当たり前だけど)なので、実はハードルが高い!ご本人が租税条約の届出書をあらかじめ提出しておいて、外国源泉所得は所得税・住民税課税されないように早めに防衛しておきましょうー!
国内源泉所得で外国税額控除で引ききれなかった部分は、諦めて納税してください。だって、1年以上住んでるってことは、日本の社会インフラの恩恵を受けているでしょう?なんでもタダじゃないんよ。
外国人労働者の社会保険関係
外国人労働者の方で日本の事業所から給料の支払いがある場合には、事業主・労働者がイヤ!と言おうがなんだろうが、加入要件を満たせば強制加入。
協会けんぽの健康保険・厚生年金・雇用保険、強制加入!これはいいことよね。半分会社が負担してくれるし。
1年以上滞在の外国人労働者が社会保険未加入の事業者で働く場合は、国民健康保険にも加入できる。(1年以上滞在の証明書がいるみたい)1年未満の人は、自費診療なのかな。可哀想。
国民年金も住所があれば強制。(免除などもあるけど。)国民年金・厚生年金は、6カ月以上(だったかな?)加入していれば、帰国時に脱退一時金として返金(支払金額は割り込むかもだけど)できるし、本国の年金制度と通算してくれるケースがあるみたい。
日本の社会保険インフラはすごいね。外国人労働者の方は、加入した方がいい。なんといっても、結構な割合で国が税金で支えているから。
多摩区役所の夜間救急診療所には、外国人の方もちらほらいるよ。(日本語出来る方と来てる)
次は、外国居住の日本人の相続税の課税関係などを考えてみよう!