個人事業主が廃業した場合、死亡した場合の事業用資産の課税関係について考える。商品や車・パソコンはどうなる?個人的なメモまとめ。
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1、個人事業主が廃業した場合
(1)所得税
今まで事業用として使っていた車やパソコンについては、廃業後は減価償却できなくなる。
在庫の棚卸資産(商品)を自宅で使う場合には、家事転用した商品を売却したとして売上げに計上する。所得税がかかる。これは、仕入金額を経費に計上するので、本来損得が生じないはず。売上額は、仕入額か通常の販売価格の70%のどっちか少ないほうでOK。なので、所得税がちょっと少なくて済むかもね。
ところで、30万円未満の少額減価償却資産を売却した場合には、取得費がない(即時償却しているから)ので、売却価額は所得税の売上金に計上する。では、少額減価償却資産を、家事転用したらどうなるんだろう???
関連条文をまとめている先生のブログを発見。→http://cqkeiriman.blog90.fc2.com/blog-entry-26.html
(たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入)
第三十九条 居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。所得税法施行令
(譲渡所得の基因とされないたな卸資産に準ずる資産)
第八十一条 法第三十三条第二項第一号 (譲渡所得に含まれない所得)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 不動産所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係る第三条各号(たな卸資産の範囲)に掲げる資産に準ずる資産
二 減価償却資産で第百三十八条(少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入)の規定に該当するもの(同条に規定する取得価額が十万円未満であるもののうち、その者の業務の性質上基本的に重要なものを除く。)
三 減価償却資産で第百三十九条第一項(一括償却資産の必要経費算入)の規定の適用を受けたもの(その者の業務の性質上基本的に重要なものを除く。)
少額減価償却資産を家事転用したら、転用時の価額を事業所得・不動産所得の収入に計上だ。収入計上額は、仕入額か通常の販売価格の70%のどっちか少ないほうでOK。所得税法施行令81条より。
一括償却資産て、途中で廃業したら減価償却ってどうなってしまうんだろう?廃業年に、残りの未償却金額を減価償却してOK。法人なりしていなくても、下記の規定を使って問題ない。
新・国税庁HP 法人成りした場合の一括償却資産の必要経費算入 → http://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/04.htm
・家事転用は所得税かかる。
(2)消費税
棚卸資産・事業用資産(車・パソコン)は、廃棄する場合には消費税の課税関係なし。家事転用の場合には、みなし譲渡の規定により、対価のやりとりがないのに、譲渡時の価額で譲渡があったものとみなす特別規定の発動あり!家事転用部分の消費税は納税になる。
免税事業者の時に仕入れた場合には、課税仕入れになっていないのに、廃業時に課税事業者であれば消費税を納税しないといけないのは腑に落ちない?
棚卸資産については、棚卸資産の調整の適用があるので、消費税は相殺される。けど、税率が違っていたら・・・本来は預り金の性質がある消費税が、3%で仕入れて8%時に廃業した場合には差額の5%部分が納税になるね。でもこれは、理論上のことで、さすがに平成9年3月31日に購入した3%の商品を、ずっと持っているということはちょっと考えにくい。相当陳腐化してるし・・・
簡易課税で仕入れた場合には、消費税が損税になるね。
減価償却資産を、免税事業者の最中に購入した場合にも消費税が損税になるね。これは、救済措置がありそうなものだけど??学校では習わなかった。でも、救済されるべきよ。これも宿題。
熊本の先生のブログ→http://www.kizuna-n.com/shittoku/2009/07/post-13.html
大家が父親で、父親が死亡、賃貸人の子が物件を相続した場合には子供の家事転用になる。と記載してある。おもしろいね。
・家事転用は、消費税がかかる
2、個人事業主が死亡した場合
(1)所得税
・事業後継者なし。→死亡した者は、家事転用をしていない。事業後継者は家事転用をしていない。なので、事業用資産・棚卸資産は、死亡した者の事業所得・不動産所得にならないのではないか。後継者も、家事転用をしてない。だって、事業をしていないんだから。
つまり、棚卸資産・事業用資産は、相続税の課税対象となり、所得税の課税関係なし!だと思う!(限定承認は考慮外。実際に限定承認するケースはないでしょう)
・事業承継者あり→死亡した者は、家事転用をしていない。死亡した者の所得税の課税関係なし。
事業後継者は、その事業用資産を家事転用した場合には事業後継者の所得税の課税関係は発生する。そのまま事業用に使っていれば、事業用資産を減価償却費として経費計上し、棚卸資産は売上原価に含まれ経費計上される。引き継いでるからね。
では一括償却資産を償却しきっていないのに、死亡してしまったら?死亡による廃業した場合の一括償却資産の未償却残高については、死亡日に残りをすべて経費計上してOK! もし、事業の後継者がいる場合には、死亡年は被相続人の経費にして、翌年以後は事業承継者の経費としてもOK。
新・国税庁HP 〔少額の減価償却資産及び一括償却資産(令第138条及び第139条関係)〕一括償却資産につき相続があった場合の取扱い)49-40の3
→ https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/12.htm
死亡者の所得税の課税関係なし。事業承継者は通常通り
(2)消費税
相続は、家事転用ではないので、みなし譲渡の適用がない(法4④)と考え、消費税の課税関係なし!(特殊な取引、延払い基準を適用している場合には調整有り)
(当初、非業務用だから調固調整がある!なんて思っていたけど、非業務用の転用は非課税売上げではないからないよね。思い込みはこわい。)
・事業承継者あり→事業承継者は、消費税の相続時の特例がいくつもある。
相続特例により課税事業者に該当する可能性がある。
棚卸調整の適用がありえる。
調整対象固定資産の特例がありえる。
工事進行基準の適用がありえる
届出関係は引き継げないけど、提出期限の特例があるから急ごう。
仕入返還、売上げ返還、貸倒れ、他にも相続特例があったかも。
相続による財産の移転による消費税の課税関係なし
対価性がない。みなし譲渡に該当しないから。
(3)相続税
相続発生により取得する棚卸資産・事業用資産は、相続税の課税対象になる。
相続税の課税関係はあり
まだまだ、調べるよ!
(新・国税庁HP)課税業務用から非課税業務用に転用した場合の調整→ https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/12/04.htm
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