LLP 構成員課税(パススルー課税)

自社株を、個人で所有していると相続税がかかるから一般社団法人に譲渡して相続税対策!はイマイチ。

ところで、なんで一般社団法人なんだろう?と考えだしたら、色んなことが浮かんだ。今回も背伸びして構成員課税を勉強してみたよ。

1、株式会社

株式会社でいいんじゃない?持ち株会社(ホールディングス)を作って自社株を持たせるの。その持ち株会社はオーナーのものにすれば。

→それだと、相続税対策にならないことがある。

2、合同会社 LLC

合同会社でもいいのかもね、他者との取引がないなら。合同会社(LLカンパニー)って、「設立費用ケチった」ように見えて、個人的には株式会社の方が好きだけど。
合同会社は有限責任で、出資金が戻ってこないリスクしか負わない。
株式会社と違って、出資者に対する配当の分配比率は定款で決められるんだって。

→相続発生時には、持ち分を払い戻すなら払戻金が相続税評価額になる。持ち分を払い戻さないのなら、通常の非上場株式の評価と同じ。(国税庁HP)持分会社の退社時の出資の評価→https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/13/03.htm

3、一般社団法人

一般社団法人に持ち株会社を譲渡すると、現状だと相続税対策と言えるけど、将来的には大きな疑問だね。
一般社団法人の設立目的「非営利目的の人のあつまり」がどっかいっちゃってる。(過去記事)一般社団法人で相続税対策?→https://mina-office.com/2017/03/03/ippan-shadan-hojin/

4、有限責任事業組合 LLP

LLP(LLパートナーシップ。有限責任事業組合)という組合もある。分かりやすいブログ見つけた→http://www.ta2hit.net/mm2_01.html

こちらのブログによると、SUICAもLLP(NTT関連3社で)や、長野の善光寺もLLP。番組制作もLLPを使っているところがあるんだって。税理士などの士業がLLPを作ってコンサルしていることもあるみたい。

わざわざ組合を作って自社株を持たせるのは変なのかな。あんまり聞いたことないから、何か理由があるのかも。パススルー課税だけど、自社株が配当しなければ所得は生じないのではない?宿題だね。
だけど、これだと、設立の趣旨がどっかいっちゃってる。

・LLPの豆知識

LLPは法人ではないので契約書に「LLP」と書けないんだって。代表者が契約する。
出資者は出資金額を上限に有限責任があるので、出資金が戻ってこないというリスクしかない点・出資の価額と違う損益分配割合を自由に決められる(税務上はきちんと理由が必要。)点が合同会社と一緒。
合同会社との比較が分かりやすいブログ→http://www.shiodome.co.jp/js/blog/1688

LLPは、法人ではないから法人税がないので、LLPの確定申告書を提出しない。その代り、きちんと帳簿を付けてそれに基づいて、組合構成員に対していくらパススルーしたのかを記載した「有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書(同合計表)」を翌年1/31までに税務署に提出するんだって。(国税庁HP)→https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/annai/23100076.htm

5、LLP 構成員課税(パススルー課税)個人の場合

LLPは、税務上「構成員課税」(パススルー課税)。所得税の受験勉強で学んだよ。

LLPの儲け・損失は構成員で山分けするの。
だから、LLPの損益は、構成員の山分け部分が構成員の各種所得のどれかになるんだった。
どの所得になるかは、そのLLPの活動によるよ。

自分の本業があったり、他の組合の構成員でもある場合には、それぞれに決算書が必要になる。
構成員課税が損失の場合には、色々記載した書類を添付しないとダメなんだって。宥恕規定あり。

6、構成員課税の損益通算の特例

かつては、構成員課税を利用して、租税回避行為(?)が流行したらしい。
これは、例えば次のようなスキーム。

お金持ちがお金を出し合ってLLP形式で組合を作って、高級ジェット飛行機を購入する。
高級飛行機の減価償却は定率法を選んで早期に経費計上してしまう。
最初のうちは損失が出ちゃう。
自分の給与所得などと損益通算して課税所得を減らして所得税率を低く抑える!というスキームが流行った。

課税の公平性が保たれない!なんかズルいぞ!ということで、
損失計上できる金額に制限を付ける、「構成員課税の損益通算の特例」を作ったというイタチごっこがあったらしい。

国税庁HPより 平成 17 年度税制改正の概要 →https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/060117/pdf/01.pdf

相続発生時の注意事項(相続人が新規加入するのに、調整出資金額は引き継ぐ!)・繰り戻し還付の金額計算についても言及されている。考え尽くされてるんだねぇ。

7、構成員の相続税評価額ってどうなる?

有限責任事業組合(LLP)に出資した構成員が死亡したら相続税の計算はどうなる?国税庁HP 税務大学校の先生よりp.31→http://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/66/11/pdf/011.pdf

未収の分配金と、持ち分の払い戻し請求できる金額は、被相続人の財産となりそうね。

8、構成員課税 法人の場合

有限責任事業組合の構成員には、法人でもなれるみたいだね。知らなかった。通達があったよ。

組合が計算した減価償却費については、構成員ごとに各自が選んだ方法で計算しなおすらしい。
構成員である法人の本業と、有限責任事業組合に係る所得計算上とで違う償却方法も選べるよ。法人通達14-1-2。個人の通達には載っていなかったけど、法人だけ?

国税庁HP 法人税法の通達より。→https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/051226/06.htm

9、LLPの消費税の課税関係

消費税も構成員課税だよ!

信託と同じように、構成員ごと・組合に係る売上げごとに簡易課税選択できるのだろうか?分からない、これも宿題!

10、まとめ

LLPは、営利目的設立の合同会社と似てるけど、法人格がない。
LLPは、非営利目的設立の一般社団法人と似てるけど、法人格がない。
LLPは、パススルーなので信託と課税関係が似てるところがある。
LLPは、「節税」に使われてしまい、課税庁は目を光らせているっぽい

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。