法人に所得税・相続税をかければ?

税金のうち経費になる・ならないものがあって分かりにくい。法人税をやめて、法人に所得税・相続税をかけたらいけるんじゃない!?という妄想を綴る。

租税法連続基礎講座 キタノ理論 第2回。@東京 (後編の妄想編)
「課税庁」の立場から読む租税法と、「納税者」の立場から読む租税法は違うらしい。
「納税者」の立場から、租税法を読む。その妄想。

1、法人事業税は払った日に経費になる

法人事業税・個人事業税は地元の公共サービスを受けるための「経費」だから、損金に算入できるんだって。

法人事業税には、儲けにかかるものと、資本金・給与や利子などについてかかる資本割・付加価値割とある。
資本割・付加価値割は、期末資本金が1億円超の会社にかかる。私は実際には資本割・付加価値割の申告書を見たことがないんだけど・・・

税金の種類によって経費になる・ならないの違いは混乱のモトだよね。

中間申告・確定申告で払った税金のうち、事業税・地方法人特別税だけは経費になるよ。税込処理なら、消費税も経費になる。ほかの、法人税・法人地方税・法人住民税・所得税・罰金などは経費にならない。
31.10.1以後開始の事業年度から消費税の増税に伴い、地方法人特別税はなくなるみたいね。(29年から廃止、はあくまで大綱で、その後変わってるから確認してね。)

法人税・地方法人税・所得割・均等割は経費にならないよ。税額が大きい会社ほど利益が減るから、とか色々理由はある。

神野直彦「外型標準課税と地方分離」より

法人事業税は「事業および労働者がその地方に存在するために必要になってくる都道府県施策の経費払い」である。

(中略)

公共サービスの利益に応じた負担の公平を求める応益原則に基づいて、事業活動規模に課税する租税、それが法人事業税なのです

第7版p.119

キタノ理論も同意見みたい。外形標準課税は、キタノ理論がさぞかし反対するかと思いきや、OKだって。ちょっと意外ね。所得と財産で担税力を判断しようって考えているみたい。
まぁでも、外形標準課税の一般化は、二重の消費課税を意味する、と書いてあるので、部分的に文句はあるみたいね。住専事件とかあった時代の後、銀行に対して新設された外形標準課税の話をしているみたいだった。

2、法人税不要説

法人税はいらないって考える税務の専門家は多いらしい。

(関連記事)キタノ理論。なぜ超過累進税率は平等なの?記事の下の方→https://mina-office.com/2017/04/19/kitano-4/

の記事でも書いたけど、法人税は必要だと思う!キタノ理論では、

「国民は(中略)納税義務を負う」と憲法に書いてあるけど、この国民には外国人や法人、団体等を含む、と考えている。

納税義務があるんだから権利行使できるように選挙権を与えるべきじゃないの、という意見もあり、そうだよねえ。色々な問題が待ち受けているんだよねぇ。

3、法人に所得税・相続税をかけよう!

法人実在説について、ドライヤーでアタマを乾かしているとき、ひらめいた。

法人税がいらないっていう人の意見はよく分からない。でももしかして、法人を人とみなして、所得税をかければいいんじゃないか?と考えているのかな、と。

そうすると、法人税はせいぜい実効税率が30%~35%で頭打ち(上記の通り、事業税が経費になるからネ)なので、所得税の超過累進税率と住民税という税金のかけかたにしたら、税収が上がるんじゃない

そうだよ、法人に住民票をあげればいいよ。ドラえもんやアザラシのたまちゃんですら、住民票を持っている(勝手に交付したんだけど)んだし、法人マイナンバーもあるし、地方税の課税職員が登記簿謄本を取り寄せる必要もなくなるし、簡単じゃん!

課税関係は個人事業主と一緒にしよう。
受取配当の益金不算入は、面倒くさいから課税所得1000万円制限なしバージョンの配当控除で対応しよう。
寄付金は、寄付金税額控除のみとしよう。むしろ、個人も寄付金控除はやめて税額控除形式にしよう。
利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得に分ければ?譲渡所得はすべて事業所得へ。
別表調整後の金額を、個人決算書形式に転記すればいいじゃない。税金計算用の決算書が出来上がり。

個人確定申告書で配当について源泉徴収された金額・利子割を記載すればよく、利子所得は個人と同じ取扱いにすればOK。

す、素晴らしい!私って天才かもしれない!

調子に乗って続けるよ、子会社は住所が違うから、別個に確定申告をする。連結納税は、それぞれの税務用決算書を合算すればよし。

合併は?合併は結婚だよね。だけど、2つの法人が1つの法人になって、名前が1つになっちゃうね。・・・・うーん、合併により消滅する法人を被相続人として、相続税をかける方式では?これで適格合併も非適格合併も計算できるんじゃない?法人用の相続税は、基礎控除なしにすればよし。法定相続人は0人。

・・・というやり方があるから、法人税はいらない、と言っているのでは??と考えたけど、法人税をやめて、法人を人と考えて、所得税と相続税で課税関係を完結させましょうって意味ではないのかもね。多分、絶対違うよね。

関係ないけど、個人所得税の所得控除はすべて税額控除で対応すれば税の逆進性はなくなるよね。だから、所得控除の欄をなくして、法人の所得税も作れる様式に変えよう。

単なる妄想だけど、こういうアホなことを考えて、今日も時間だけがあっという間に過ぎていく。

投稿者: 小野寺 美奈

税理士。農業経営アドバイザー試験合格者。認定経営革新等支援機関。相続診断士。FP。 川崎市・東京多摩地方を中心にした、地域密着・現場主義。 税務の記事はご自身で税法を確認されるか個別に有料相談に来てくださいね。